レビューメディア「ジグソー」

絶滅危惧種T4Pカートリッジの中では安価です.音はともかく品質に難あり

TechnicsのSL-10 には、EPC-310MCというMCカートリッジが付属しておりますが、それにはとても細いピュアボロンカンチレバーが採用されています。
Technicsらしい繊細な音を奏でるカートリッジなのですが、残念なことにそのカンチレバーがポキリと折れてしまいました。
針掃除がしづらいSL-10の構造と私の老眼というダブルパンチがカウンターとなったのでしょうか?
気づいた時には折れた針先の行方も分からず仕舞い。 トホホです。

 

予備に置いてあったSONYのXL-MC104Pという高出力MCカートリッジは、既に針先が摩滅していたようで、音は歪っぽいし、使いづづけるとレコード盤を痛めてしまいそうな気がするので廃棄処分。


さて、25年ぶりに新しいカートリッジを探すことになりました。

更新: 2015/10/20
総評

最初に書いておきます。

T4P準拠のカートリッジで安価な製品をお求めの方にはオススメできます。

既に提唱社たるTechnicsはカートリッジ自体を生産しておりませんし、オーディオテクニカ製品も

在庫限りのようです。  選択肢がありません。

購入後、すこしお手入れをしてご使用下さい。

大雑把ですが、骨太で楽しい音質が得られると思います。

 

ユニバーサルシェル対応金具が付属していますので、普通のトーンアームに対応しますが、

わざわざこの商品をお選びになる理由は見つかりません。

 

SHURE製品なら、もう少し予算を上げてM97等。

オーディオテクニカのVMカートリッジなら、SHUREに負けず劣らずの力強い再生音と

確かな品質が手に入ります。

 

ではこのSHUREの品質に問題があるとでも? あるんです。

更新: 2015/10/20
使用感

音はこれはもう、見た目どうりと申しましょうか、価格なりと云うべきでしょうか。

これまで使っていたTechnicsのEPC-310MCが、非常に細いピュアボロンカンチレバーを採用していた事を改めて思い出しました。

見えないデジタルの世界とは異なるアナログレコードの世界。
レコード盤面を眺めると、溝の深さや振幅が目に見えて違う事が判ります。
ほとんど溝が切られていない部分はピアニッシモ。
荒れた溝に見える部分がフォルテッシモ。 間違いありません。
溝を眺めると、楽曲の様子が想像できると言っても過言ではありません。

同じことがカンチレバーにも云えることがよく判りました。
SHUREの太いアルミニウムカンチレバーからは、ざっくりとした大掴みなサウンドが奏でられます。
繊細なTechnicsとは真逆のサウンドでした。

但し、なめらかさは感じられますし、既に寿命を迎えていたSONYから感じられた歪っぽさはありません。 価格を考えると、十分納得できる出来栄えだと思います。
ICレコーダーを経由してデジタルアーカイブを製作する用途には十分な力があると思います。


ただ、貴重な時間を割いてアナログの名盤を楽しもうという用途には力不足だと言わざるを得ません。
GRADOの上級機種がどのようなものなのか、未だ知るすべが無いのですが、TechnicsのEPC-310MC装着時のSL-10から供給されるサウンドを思うと、カートリッジ次第で その音の世界は変わると思います。

更新: 2015/10/20
スペック

低価格ながら楕円針仕様が嬉しい

■トーンアームマウント: 標準取付けアダプター付きT4P
■カートリッジタイプ: MM
■出力: 5,0 mV
■適正針圧: 250 pf並列負荷時47 KΩ
■トラッキングフォース範囲: 0,75 - 1,50 g
■トラッキングフォース最適条件: 1,25 g
■トラッキング: 400 Hz: 24 cm/s
■(スタイラス)カンチレバー:Shure Type I熱処理アルミニウム合金パイプ厚さ1.0ミル/直径30ミル
■ダイヤモンドスタイラスヒント: バイラジアル 0.4 x 0.7 ミル
■コンプライアンス: 25 ?m/mN
■周波数帯域: 20 Hz - 18 kHz
■ステレオチャンネルバランス: 2 dB
■チャンネルセパレーション: 20 dB
■総重量: 5,9 (7,4) g
■付属品:標準取付けアダプター 取付ハードウェア 針ガード

注目すべきは、低価格モデルながら楕円針が奢られていることでしょう。


これまでずっと楕円針を愛用していたので、そこに丸針を使うと、レコード盤に対して違う面での接触となりそうなので、不安だったのです。


MM型で5.0mVと高出力なのもデジタルアーカイブ化には好都合だと思いました。

更新: 2015/10/20
実用性

T4Pという国際規格故に調整の必要無し取り替え時にはコツが必要

取り付けに際して
ジャケットサイズのSL-10のカートリッジ交換は、ユニバーサルシェルのモノに比べると簡単なようでもあり 面倒でもあります。


針圧やオーバーハング値、シェルに対しての位置決めなどに悩む必要は一切ありませんが、SL-10はコンパクトであるがゆえにカートリッジ自体の取り外し・取り付けにコツが必要なんです。


奇跡的に残してあった純正ドライバーを使って作業を行いましたが、そもそもネジがマイナス頭である事に時代を感じます。

 
ここはプラスネジでしょうが! 回しづらいわ!


筐体に対して左側からネジを回すのですが、左利きであったとして面倒な作業となります。
ダイナミックバランス型のトーンアームに無理な力がかからない様に注意しながらの作業です。
最初と同じ位置に新しいカートリッジが納まれば、後はネジ止めを行うだけです。
若干コンプライアンスを感じますが、一応はこれで全てが終わりです。

SHUREに付属していた針カバーは最後に外すようにすると、不意のトラブルが防げます。
普段は全く必要ありませんが、T4P規格カートリッジ交換時に役立つ装備だと感謝しました。

SL-10の場合は、背面に本体内蔵のMCヘッドアンプの経由スイッチがありますので
今回はMMを選択しなければなりません。

更新: 2015/10/20
クオリティ感

ホワイ・メキシカンピーポー? ドゥユーノー・クレンリネス?

過去に愛用していたカートリッジの交換針より安価に入手できたSHUREのカートリッジですが


目に見えて「ダメなところ」もありました。
装着前にルーペを使って針先を確認したのですが、小さな針先は真っ黒でした。
まるで中古品の体です。 手持ちのDENON製の音波クリーナーブラシで清掃すると、透明な光を放つ状態に復帰しました。


また、T4P端子は金メッキされていない銅製だと思われますが、この部分の汚れが酷い状態でした。
耐水ペーパーと研磨スポンジで磨くときれいな状態になりましたし、音の出方には問題ないようですが、このあたり「メキシコ製」だからか? と疑いたくなる部分があります。


製造・保管品質に問題大有りだと書いておきます。


アナログサウンドを楽しむと云うことは、それがテープでもレコードでも、デジタルの世界なら必要の無い「手入れ・掃除・調整」を覚悟しなければなりません。

過去に「腕に覚え」をお持ちの方なら難なく処理できる「トラブル」ですが、これからアナログオーディオを始めようかとお考えの若い方々には 注意喚起を促しておこうと思いました。

 

因みに購入価格は一年前のもの 現在は円安後出荷なのか7560円でした。(Amazon調べ)

  • 購入金額

    5,700円

  • 購入日

    2014年11月20日

  • 購入場所

    Amazon

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