所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ボーカロイドを使ったボカロ曲、単に鑑賞するだけではなく、広がりをみせています。当初音域や速さの面で人間には難しい曲に注目が集まりましたが、全国（全世界）のクリエイターが創る良質な楽曲も多くの支持を集めています。そんな曲達をジャズアレンジした作品をご紹介します。

紅い流星。東方系、ボカロ系あたりを中心にプレイし（最近は艦これ系にも進出）、ニコニコ動画を作品発表の場として活躍するキーボーディスト。その名の通り紅いキーボード（Clavia Nord Stage 2）を使った3倍速いｗプレイで有名。

そんな彼がボカロ曲をジャズアレンジしたのが前作“ボカロ爆音ジャズ”。

元々れるりりの人気ボカロ曲「脳漿炸裂ガール」でピアノを弾いている本人が、ヴォーカルパートまでプレイしたそのインスト版はその爆速キメキメの疾走感．．．というより四方八方なぎ倒しの爆走感で人気が高い。その他の曲もCOOLなフリージャズ風にリアレンジされた「炉心融解」や紅い流星の流れるようなリリカルなプレイが心地よい「ピアノ×フォルテ×スキャンダル」など良曲が多かったが、その続編がこちら。

前回もメンツとしては紅い流星がリーダーを務めるバンド[Mint]を中心にしながら外部プレイヤーを入れた感じだったが今回もそう。ピアノが紅い流星、ベースが蒼い刹那、ドラムはショボンと[Mint]系のメンツだが、ギターは紫曹長こと佐々木秀尚、テナーサックス山石本薫、トランペット水無軽火、パーカッションあつしという布陣。[Mint]の3人は全曲参加だが、あとは曲によって．．と言う感じ。

前回の時に「脳漿炸裂ガール」や「炉心融解」、「千本桜」などの超A級楽曲を使ってしまったので？今回のラインアップは少しcybercatが元歌を識らないものも混じるが、識っているモノすらぶっ壊すことがある爆音ゴリゴリｗ どの曲も新たなおもしろさを魅せてくれる。

最も有名な？「吉原ラメント」は最初と最後で曲調がチガウ。叙情的なピアノ音での静かな導入のあと、ブラスが2管とも入ったハッピーな展開になり、8分音符で刻むベース、装飾音に富んだドラムスが入ってブラバン風の元気良さに。ウッベも走る走る、ドラムもグイグイのゴキゲンさ。原曲で感じられる「ハネ」より、前へ前への疾走感が強い感じのノリ重視曲。

「カンタレラ」は．．．ヘンタイ！←褒め言葉。原曲はアコーディオン風音色で奏でられる物悲しい曲（というにはチョイ速いが）。それが5拍子6拍子入り乱れる変態拍子に（厳密には5/8と6/8か）。この「足りない系」拍子でつんのめるような不安定さがAメロに生まれ、Bメロ以降の6/8一本の落ち着きとの差が面白い。フレーズが歌っている長いベースソロがかっけー！！

「十面相」はリズム見本市。最初は速いとはいうものの4ビートっぽく始まるのだが、途中サンバ調～16ビート～スカ．．．最後にはヘヴィメタまでとめちゃリズムチェンジある曲（左記はメインのリズム変遷だけ⇒実際にはもっと変わる）。1コーラス目から速いが、2コーラス目のキーボードソロ（の前のベースソロ）からさらにブースト。紫曹長こと佐々木もその名の由来となったcrews製の紫の「7」弦ギターに途中で持ち替え弾きまくり！

後半はいわゆる「ニコカラ」で、「歌ってみた」UP主のために？このジャズアレンジのメロディレスヴァージョンが収められる。

1枚目に比べると聴く方が馴れた？のか衝撃度はやや低いが、曲の（cybercatにとっての）有名度が若干落ちるのを補うアレンジは成長している感じ。

シンプルな装丁です。

これはジャズではないかもしれない。でもジャズ自体が西洋音楽と黒人音楽のフュージョン。難しく考えなくても良いのかもね。

感じるんだ。ビートを、スウィングを。

【収録曲】－各曲リンクはオリジナルに接続－
1. ダンシング☆サムライ / かにみそP
2. 吉原ラメント / 小山乃舞世・亜沙
3. おちゃめ機能 /ゴジマジP
4. カンタレラ /くろうさP
5. 十面相 / YM
6. メランコリック / Junky
7. ダンシング☆サムライ for Vocal ver.
8. 吉原ラメント for Vocal ver.
9. おちゃめ機能 for Vocal ver.
10. カンタレラ for Vocal ver.
11. 十面相 for Vocal ver.
12. メランコリック for Vocal ver.

「十面相」

「ボカロ爆音ジャズ2メドレー」