幅広いジャンルの音楽ソースを持っていると、その音楽の最もオイシイ聴き方は何かと探りたくなる。空間で包まれる大型スピーカー、目の前に小さく焦点を結ぶデスクトップミュージック、プライベートな音楽環境を持ち出せるDAPを使ったポータブルオーディオ...そして、いろいろとヘッドホンやイヤホンを持っていると、このヘッドホン/イヤホンにはどんな曲が、どういうフォーマットのデータが適しているのか探りたくなる。より高音質と言われる音楽データを持っているとさらなる可能性を追求したくなる...
これを音楽✕オーディオの螺旋的向上、もしくは底なし沼への沈降というw
取りあえず、今は「ハイレゾ」が流行。ただ配信の中には昔のトラックダウンされたマスターテープをそのままCDフォーマット(44.1kHz、16bit)ではなくハイレゾフォーマット(一般に96kHz、24bit程度以上)に焼いただけのものもある。元のエンジニアが素晴らしく、使っている機材も良ければこれでも十分よい場合もあるのだが、元が昔のデジタル機材の録音ではサンプリング周波数以上の音は「ない」のでまったく無意味だったりもする。
そんな時ハイレゾの「すごさ」(必ずしも「良さ」ではないこともあるが)を実感するには、そのフォーマットを活かすために新たにつくられた/録音されたトラック、というのが最適だ。そこには結構技術やノウハウもあるらしいので、真のハイレゾトラックを謳えるものを創れる技術者、というのも必要だ。
そういった「ハイレゾエキスパートのハイレゾ機材によるハイレゾトラックのための録音」は一般にも売られているが、さまざまなトラックを楽しみたいならばオーディオ系雑誌の特典を入手するのも一案。
ハイレゾトラックはその緻密さと超高域までの周波数分布でオーケストラ系の楽曲で作られることも多いが、もう一つ「アニソン」も大きな勢力。
アニソンって、アニメ・ゲーム系の主題歌・BGMのことを指すが、それは厳密には音楽的な見地からの「ジャンル」ではない。戦闘ものアニメのように激しいロックのような曲もあれば、アイドル声優さんを使ったポップなJ-POPもある。挿入歌まで入れれば、荘厳な交響曲のようなモノからテクノっぽい電子音中心の打ち込みまである。一般に「アニソンが気持ちよく聴ければそれは全ジャンル気持ちよく聴けると同義」と言われるし、さらに本誌の「アニソン」の定義は「アニメ作品に用いられた楽曲」だけでなく「アニメタイアップ、サウンドトラックはもちろん、アニメに関わる声優諸氏の単独名義作品、さらにアニメの世界と密接に結びついているゲーム音楽」も含む広義なもの(本誌7ページより抜粋転載)。
そういった広義のアニソンに関わる人、曲、それらを心地よく聴くためのツール、機器などを広く解説したモノ。ただvol.1
とは微妙に比率が変わり、単なる機器のレビューはグッと減り、インタビューや楽曲レビューが増えて、いわば「ハード」から「ソフト」へ軸足を移した感じ。
付録DVDには現在の技術の粋をこらした高音質ハイレゾ音源が入る。それもロック系J-POPといえるものからピアノと弦楽を中心としたシンフォニックなインストもの、無機質なループ系環境音楽系まで広く入るので「とりあえずハイレゾ」には取っつきやすい。
ただ、今回は付録収録曲自体は増えたのだが、残念なことに同一曲の異フォーマット収録がなく、聴き比べができないこと(前回は同一曲のDSF2.8MHz1bitとWAV96kHz24bitがあった)と一部の曲はあまりにハイレゾ過ぎてAK120
ではエミュレータでも再生できないこと(DSF5.6MHz1bitやDSDIFF11.2MHz1bit!などもある)が「cybercatにとっては」減点対象。ある意味「現時点の最高ハイレゾ」なのだが、再生できないと宝の持ち腐れなので(PCではfoobarにプラグインを入れると再生できる)。
また、vol.1よりハードレビューの割合が下がったのでモノオタクのcybercatの方向性とはちょっと離れ気味。
でもDVDのアルマギア -Project-はシンフォニックオペラ系J-POP(なんじゃそりゃw ともいえる感じのモノで、バンドサウンドに厚いストリングスと「声楽的」コーラスが絡み、大島はるなのアイドル系の声が載るという音質チェックには良いモノ(WAV 96kHz/24bitのハイレゾ)だし、前回Vol.1でフルアコ+ヴィブラフォーン+アコースティックベース+ブラシのドラムでジャジィに攻めた「トモシビ」は今回もSuaraがによって歌われるが、やや速めの演奏でピアノ+ヴァイオリンをバックにしたJ-POP系のアレンジのライヴ録音で収められていて、前回のスタジオで録られた個々の楽器の分離やヴィブラフォーン自体の響きが美しいテイクと、今回の求道会館(文京区)のライヴな反響が一体となってSuaraの歌声を支えるのを聴き比べるのも興味深い。
ただ、この本高いんだよねー。ハイレゾ音源の入ったDVDが付くとはいうもののVol.1が税込み2000円、Vol.2が同じく1800円。1200円程度なら買いなんだれど。自分は盤がある方が好きなんだけれど、場合によっては付録を配信にして少し価格を下げる努力をした方がよいかも。「アニメ系のマニアは凝り性なのでアニソンを聴くオーディオにも金をかける」という思い込みで造っているような...vol.1よりターゲットに揺れを感じます。
そうそう、先日までプレミアムレビューされていたADLのH128に言及した個所もあり
【内容】
●レーベルの“いま"と“これから"を聞く
(アニプレックス、キングレコード、フライングドックグ、5pb.Records)
●アーティストインタビュー(田中公平、川井憲次、伊藤真澄、寺島拓篤、StylipS)
●特別企画
・5pb.Records×ハイレゾ
・アイドルマスター、ラブライブ! 楽曲レビュー
・この曲聴くなら 〜ベストマッチ・オーディオを探せ! 〜
・超☆ネットオーディオ入門
●オーディオ体験レポート
・ラブライバーが選ぶベストマッチ・ヘッドフォン
・アニソンの送り手側がオーディオを聴く
・大島はるなのオーディオ体験記
・リアルアキバボーイズ×オーディオ
●付録DVD内容
1. アルマギア -Project-
・アルマギア-diva. Affinis- (WAV 96kHz/24bit)
・アルマギア-diva. Affinis- (Instrumental WAV 96kHz/24bit)
2. Rie fu supported by iFI Audio
・I Wanna Go To A Place (DSDIFF 11.2MHz/1bit)
3.Suara F.I.X.RECORDS <Special Place Recording -Suara at 求道会館-より>
・トモシビ (DSF 5.6MHz/1bit)
・夢想歌 (DSF 2.8MHz/1bit)
4.5pb.Records
・スカイクラッドの観測者 (WAV 96kHz/24bit)
・GATE OF PHENOGRAM symphonic ver. (WAV 96kHz/24bit)
・SHIBUYA (WAV 96kHz/24bit)
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購入金額
1,800円
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購入日
2015年01月16日
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購入場所
ザ・リブレット
れいんさん
2015/02/26
ここに一匹
cybercatさん
2015/02/26
vuronさん
2015/02/26
cybercatさん
2015/02/26
輝き、きめ細やかさだったりするので、「ニュアンス」に近いものです。
以前流行った圧縮音源と現在のスタンダードともいえるCD音質はさすがに聴き比べればほとんどの人がわかると思いますが(可聴域の間引きなので)、ハイレゾのサンプリング周波数を高いほうに動かしたのは単音では聴くのが困難な領域のため、「劇的」ではないです。一方16bit⇒24bitの方はわかりやすいとは思いますが。