所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストは単独でも、いろいろな刺激を受け、上達し(あるいはすり減り)、変わっていきます。二人以上で構成される「バンド」というものであればなおさら。あるバンドの変化の兆しを感じた作品をご紹介します。
FLYING KIDS。バンドブームの1980年代末、オーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」を勝ち抜いてデビューしたバンド。最初は熱く、アツクルシイ、どろくさく、エネルギーにたぎった歌だったが、徐々に洗練されたファンクポップとなっていく。
その萌芽は初期3部作のラスト、“青春は欲望のカタマリだ!”
から見られたが、本格的なのは本作、“GOSPEL HOUR”から。1992年の3月に約半年ぶりに出されたこの作品は「天国まであと3歩シリーズ」の「STEP1」として、1992年に趣向をやや変えつつ約3ヶ月ピッチで出されたミニアルバムの1枚目として出された。
ゴスペルである。
彼等がw
“いろいろあったけど青春は欲望のカタマリ”な彼等がw
いきおい、宗教音楽的な荘厳なものではなくて、コーラスの付け方がイロクなオールディーな感じのポップスが並んだ。
「胸のチャイム」。「ゴスペル」といってもこの作品に収められたのは「ゴスペル調アレンジ」のJ-POPなのだが、この曲は最もその元のゴスペルのイメージに近い。オルガンとハンドクラップ主体のバック以外はやや控えめで、黒人音楽風コーラスをフィーチャリングしている。出だしはギター1本の弾き語り風のなんの変哲もないポップス系なのだが、途中でコーラスが入るとともにハンドクラップが加わり、一気にソレ風に。あまり広くないホールの中で歌っているような残響の♪ハイハイ、ハイヨ!ハハハイハイ、ハイヨ!♪という部分のコーラスが特に!
「進め!進め!進め!」はゴスペル..というよりはドゥーワップというかオールディーズの雰囲気がある曲で、ハイスピードなリズムに合わせて、罰当たりな歌が歌われるw♪くさむらに隠れて良い事しようね/そりゃないぜ/ぬけがけひどいよ♪♪とりあえず見上げようあの娘のヒップを/どうしようもないくらいイカシてるぜ♪....ゴスペる?w 最後にヴォーカルのハマザキ(浜崎貴司)が叫ぶ♪どうみんな気分はイイカイ! ♪は違う意味だよねぇ...
ピアノとパーカッション+コーラスのシンプルなバックで、ハマザキの特徴ある声が堪能?できる「Brothers & Sisters」。これも、♪二人で一つの枕を使えば♪なやや罰当たりな歌なのだが、♪あーいつの日か/いつの日か結ばれますように♪と、やや罰当たり度は低い?
それまでの良くも悪くもアマチュアリズム満載の、濃く、クドイまでの楽曲から、少し半身退いたような立ち位置の作品。退いたことで空いた隙間に、「ゴスペル」という緩衝材を積めて、コンセプチャルに攻めたもの。
熱いたぎりが噴出したかのような初期3部作と、彼等の後期の最大のヒットアルバム、洗練された“真夜中の革命”
の間をつなぐ、大切な第一歩。でもそれを「ゴスペルごっこ」にしてしまうのが彼等らしい。
FLYING KIDSの名の通り、子供の頃の心を忘れないヤローどもの、変革に向けた第一歩、そんな作品です。
【収録曲】
1. 胸のチャイム
2. カナリア
3. 進め!進め!進め!
4. 恵み深き緑と水と君と
5. Brothers & Sisters
6. 恋人だけじゃ愛が足りない
「胸のチャイム」
ハロウィンからクリスマスにかけて聴きたくなる
この手の曲はこの季節が合う
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購入金額
2,000円
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購入日
1992年頃
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購入場所
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