jamiroquaiは20世紀末興ったacid jazzを代表するアーティスト。「jazz」と言うと伝統的な4ビートを想起するかもしれないが、UKクラブシーンでは「jazzで踊る」ということはレアではない。ジャズファンクとも言われるこの分野は踊れるビートを持ち、ロック、ファンク系のわかりやすい節回しながら、ジャズの理論を入れたCOOLなコード進行やシカケで支持を得た。
本作は彼等の2ndアルバム、“The Return of the Space Cowboy(スペース・カウボーイの逆襲)”からのシングル。jamiroquaiは今でもその特徴的なヴォーカルとアピアランスで強く人を惹きつけるJay Kayを中心に活動を続けるが、残っているオリジナルメンバーは彼一人。もともとはバンド形態を取っていたので、オリジナルメンバー、特にその中でも強烈な個性を放ったベーシストStuart Zenderが在席した1st~3rdを「初期三部作」という。
今まで1st
と3rd
はレビューしたが、ご紹介していないその2ndからのMaxi。
実はこのMaxi、US盤と他国盤では大きくその内容が異なる。US盤は「Space Cowboyづくし」ともいえる構成で、 「Space Cowboy」の「Radio Edit」から始まり、「Classic Radio Remix」、「Album Version」、「Classic Club Remix」、「Instrumental」、「Babinstrumental」と曲の長さも短くカットされたものからループを使って伸長されたものまで倍ほどの開きがある様々なミックスが入っている。
しかし他国盤は今回の構成。「Demo Version」が含まれているのがキモ。彼らの楽曲は荒々しく聴こえるがその実とても完成度が高い。それができあがていく前の本当に粗いグルーヴが感じられてとても良い。
その「Space Cowboy」から。COOLなToby Smithのエレピのコードから静かに始まり、ちょっとモコっとした独特の音色のStuartの抜けきらないスラップが存在感があるラインを採る。軽く口ずさむようなAメロから粘るサビのファンクポップへの転換と、さらに濃さを増す間奏のカオスさへの場面転換が素晴らしい。
初期jamiroquaiを代表する楽器、ディジリドゥー(Didgeridoo)を使った小曲「Journey to Arnhemland」を挟んでファンキィでダンサブルな「Kids」へ。これは日本でだけシングルカットされた「The Kids」なんだけれど、なんでこのMaxiでだけ定冠詞がないんだろう?おせーて、エライ人。ベースとクラビの織りなす「濃い」ファンク。
「Space Cowboy - Demo Version」はデモであり、曲の原形。「One,Two..」とJay Kayのカウントから入るが、間奏部分のカオスさはTobyのコード進行のCOOLさか際立つ造りだし、Stuartのベースも「ちょうどいい頃合い」。でもなんと言っても聴きどころはJay Kayのワケのわからんスキャットか?wこのMaxi、今でもUS盤は流通しているが、国内盤やUK盤、オーストラリア盤は手に入りにくい。Maxiを単なる表題曲のシングルカット、としてだけでなく、アルバム未収録音源として捉えるならばおさえておきたい作品です。
【収録曲】
1. Space Cowboy
2. Journey to Arnhemland
3. Kids
4. Space Cowboy - Demo Version
「Space Cowboy - Demo Version」
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購入金額
1,500円
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購入日
1994年頃
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購入場所
パッチコさん
2014/08/09
このSpace Cowboyだけ持っていないですが、Traveling Without MovingのVirtual Insanity が好きですねー。
他にもEarth wind and fireとか。ジャンルはバラバラだけど、結構好み近いかもしれませんね。
ELOとかも好きだったりしてね。
cybercatさん
2014/08/09
「Virtual Insanity」の変なダンスもJay Kayらしさ満載で!