今回はSONY WALKMAN NW-ZX1と組み合わせて試聴しています。

まず、元の銀色ケーブルでは比較的柔らかくストリングスなどが聴きやすい音となっていたのですが、TR-IE1に交換するとベースやバスドラム、ハイハットなどの解像感と力感が加わります。解像感は全帯域で増すのですが、その分NW-ZX1の音質上の弱点も強調されるきらいはあります。たとえば「Green Flower Steeet / Donald Fagen」を聴くとタイトなバックトラックが全体的に平面的に表現されてしまい、一言で言えばつまらない音となってしまいます。

また、「The Little Things / TOTO」では空間の広がり自体は元のケーブルの方がやや上にも感じるのですが、TR-IE1はギターの弦のタッチが明瞭となり、リアリティーが大きく増します。オーディオ的に整っているのもTR-IE1の方の音でしょう。

元のケーブルと比べると総じて標準的なバランスに落ち着くため、ソースをあまり選ばず万能性が高い音となります。強いていえばLPから24bit/88.2KHzで起こした「Echoes In Rain / Enya」を再生すると、スケール感不足でこぢんまりとしたつまらない音にはなってしまいますが、これはインナーイヤータイプのイヤフォンで鳴らすこと自体が厳しい気もしますので、やむを得ないところでしょう。

このケーブルと「IE80によく似た何か」の組み合わせでは、購入価格の割にかなり水準の高い音が出ています。またイヤーフックなしでもシュア掛けに対応できる形状になっていて、使い勝手の点でも大きな魅力があります。ステレオプラグ側のケーブルが斜めに出ている辺りは好みが分かれると思いますが…。

audio-technica ATH-IM02＋TR-IM3の音もかなり魅力はあるのですが、より万能といえるのはこちらの方ではないかという気がするほどです。現状ではTR-IE1はSENNHEISER IE8/IE80向けのケーブルとしては最廉価クラスとなっていますので、かなり魅力的な品といえます。