東芝製の「ハイブリッドドライブ」。
SeagateのSSHDと似たコンセプトのの製品で、8GBのNAND型フラッシュメモリをHDDのキャッシュ用として搭載。SSDほど極端な速度は無いのであくまで「高速なHDD」と思っておいた方がいいが、通常のHDDに対して体感速度をアップさせてくれるドライブ。
今まではSeagateのSSHD以外あまり出ていなかったジャンルだが、PS4への換装需要なのか今年から店頭で見るようになった。WDのBlack2共々PCショップの価格表に「ハイブリッドドライブ」の項目が出来ていたのが印象的。まあWD Black2はコンセプトが異なる別物だが。
現在入手できるのは1TBモデルで、ほぼ1万円。同じく2.5インチの1TB HDDが7000円~なので若干高いが許容範囲。2.5インチのSSDと比べるとむしろ安く感じるが、速度と容量の性格が異なるのでやはり適材適所。ドライブが1台しか搭載できないが容量は確保しておきたい場合や、大容量のSSDを使うほどの予算をかけたくないが高速化・延命化したい場合に向いているドライブ。
見た目は単なる2.5インチHDD。Seagateの「SSHD」ロゴのような明確な表記もない型番だけの姿なので、本当にコイツがハイブリッドモデルなのか判らなくなりそうだ。
製造時期は2013年7月。国内でコイツを見るのはつい最近になってからなんので意外だが、リリース自体は1年以上前から行われていたのだ(プレスリリースなんか2012年9月)。
まずはベンチマーク。Z77チップセット内蔵SATA3に接続してCDMを回してみる。以前Seagateの3.5インチSSHDでCDMを回した時はベンチマーク上は3.5インチHDDに対してあまり大きな数値は出なかったのだけど…
左上:東芝2.5インチ 1TB ハイブリッド(今回の) 右上:2.5インチ1TBHDD(WD RED)
左下:Seagate 3.5インチ SSHD 右下:東芝2.5インチ128GB SSD
今回の東芝は2.5インチHDDに対してスコアが異なり、特にランダム系の速度は大きく上がっている。比較対象として使ったWD REDも2.5インチHDDとしては高速な部類なのにだ。
もちろんSSDと比べるとスコアはまるで違うが、「高速なHDD」としてみるならすばらしいスコア。SeagateのSSHDは間違いなく体感速度が上がるのにベンチマークスコアがあまり出ないという点で損をしていたのだが、こちらは数字面でも目に見えて上がってくれる。
お次は消費電力。いつもどおりACアダプタで給電してそれをワットモニターで計測。ACアダプタが1Wほど消費するので表の数値から1W引いたものが実際の消費電力に近い。
グラフは拡大でどうぞ。
というわけで2.5インチHDDの範疇に収まっている。アイドル時は若干ほかの2.5インチHDDより微かに高いが、動作時の消費電力はむしろ抑えられていて、旧型SSDのIntel 320に迫る低さ。まさに今までのHDDからそのまま置き換え可能だ。
ちなみにCDIで取得できる項目もHDD的。回転数は5400rpmらしい。
さてSeagateのSSHDもそうだったのだが、このタイプは実際使ってみないと効果が判りにくい。今回の換装対象は…
VAIO Type-L(VGC-LJ51DB/B)。同じSONY製のPS4にこのハイブリッドドライブを使うのが人気のようだが、SONY繋がりだ!
このVAIO、「ボードPC」を称する一体型PCなのだけど、内部はS.O.DIMMに2.5インチHDD、Celeron530と殆どノート。メモリ容量は512MB*2の合計1GB。そしてOSはWindowsVista。
電源ボタンを押してからデスクトップガジェットの時計が表示されるまで6分かかるというどうしょうもない状態になっていたのだが…
メモリを倍の2GBにすることで2分35秒まで短縮。大幅な改善が見られたが、言って見ればこれでやっとその辺のもっさりPCレベル。今まではまともに設定変更さえやってられなかったのだ。しかも現在搭載されている2.5インチHDDはFUJITSU製の古いモデルで元々速度が低い上にSMARTが少々あやしい。データ保護の観点からみても早々に交換したほうがよかったのだ。
前回のメモリ交換の時もちらっと写っていたが、このVAIOはHDD交換もネジ1本でフタが外れる。もちろんそこから4本のネジを外してマウンタを外し、マウンタから4本のネジを外してHDD交換となるわけだが、一体型PCとしては親切。HDDマウンタも耐震ゴムが施されていてステキ。
見た目はやっぱり区別がつかない。今回は既存のデータのバックアップも兼ねて、クローンソフトで丸ごとハイブリッドドライブにデータ移行。今まで250GB弱の容量だったのが1TBになるのだから容量面でも大幅なアップだ。
そしてデータ移行後ある程度キャッシュの最適化を進めるために何度か再起動してから計測。
交換前…デスクトップ画面1分5秒/ガジェット表示6分以上
メモリ増設…デスクトップ画面58秒/ガジェット表示2分35秒
メモリ増設+ハイブリッドドライブ…デスクトップ画面41秒/ガジェット表示1分25秒
メモリ増設からの比較でもデスクトップガジェット表示までの時間が1分ほど短縮されている。このデスクトップガジェット表示がこのPCの場合ある程度操作できるようになる目安なので、今までいかに時間がかかっていたのかが判る。
さらにメモリ増設ではあまり変化の無かったデスクトップ画面標示までの時間も17秒短くなった。何より起動した後のブラウザ表示等レスポンスが明らかによくなっている。
今回のPCは2.5インチドライブ1台しか搭載できないPCだったので、ある程度の速さと1TBの容量を両立できるハイブリッドドライブの恩恵は大きい。確かに今まで200GB程度のHDDを使っていたのだからSSDでも間に合うといえば間に合うのだが、PCに詳しくない親戚にSSD容量を気にして使ってもらうのも逆にストレスになるだろうし、だからといって大容量SSDを買うほどお金をかけるべきPCでもない。
今回のような容量が不足気味かつHDDが不調になってきたPCの延命用&性能アップとして、速度と使い勝手を両立させてくれるドライブだ。
但しこれでもところどころで詰まる感がある。SSDを搭載したATOMネットブックに近い状態だ。そのネットブックはHT搭載で一応2スレッド動作が可能だったのだが、このVAIOはCeleron 540…純粋なシングルコアCPUなので、何か一つ常駐ソフトが負荷をかけだすとモロに影響が出てしまう。こればかりはメモリ増設でもSSHDでもどうしょうもない。恐らくこのPCにSSDを搭載しても結局同じような詰まり方をしてしまうだろう(チップセットがGM960なのでSATAの速度もあまり期待できない)。
しかし今まではその動きさえわからないほど重かったので、このハイブリッドドライブによる体感速度への影響はやはり大きいのだ。
最終手段へつづく
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購入金額
9,680円
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購入日
2014年03月12日
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購入場所
TSUKUMO
jive9821さん
2014/03/15
Q.SSD部が寿命を迎えたら(故障したら)どうなるの?
A.ただのHDDとなります。
とのことでした。まあ、SSD部とディスク部のどちらが壊れやすいかは何ともいえませんが…。
下小川さん
2014/03/15
SeagateのSSHDもそんな感じなんですかねえ。
まあ今回のPCの場合初期のVista機なので先に本体の故障かOSのサポート期限がきてしまいそうですがw
hachiさん
2014/03/15
と言っても、そんなに長くはないですけど…。
ついこの前、友人に「TOSHIBAの MQ01ABD100H が良いぞ」って教えたら、最後に「H」の付いていない「普通のHDD」を買って来て「安かったから、これで良い。換装してくれ!」と言われました。
全然、「別物」なのに…。
下小川さん
2014/03/15
こちらはまだ使って2日なのですが、いい感じで気に入っています。
SSDはどうしても値段や容量が気になってしまいますが、これは意識せずにHDD同様に使えるので、PCに詳しくない親戚が使うPCにもいいかなと思って選びました。
家の自作PCの1台はSeagateの3.5インチSSHDが搭載されていてこちらではいい結果を出しているのですが、今回のVAIOとその自作PCの性能・構成差がありすぎて使用感を比較できないのが残念です。
それにしても型番は紛らわしいですよね。別物クラスなのにHがついただけって…私も買うとき本当にコレでよかったっけと悩むくらいでした。
白輝望さん
2014/03/15
manya嫁さん
2014/03/17
下小川さん
2014/03/18
モバイル系PCは少容量のストレージで十分ですが、15インチクラスの大型ノートやこのような一体型PCは曲や動画の母艦として使う人も多いので、1TBの容量と体感速度を兼ね備えたコレは魅力的かと。
で、やっぱり続きました。