Scythe(サイズ)の虎徹(SCKTT-1000)は2013年10月に発売された、阿修羅の流れを汲む弟分と言えるサイドフロー型CPUクーラーである。
阿修羅(SCASR-1000)は大型サイドフロー型クーラーであるが、大型故の宿命とも言えるメモリスロットへの干渉を、放熱フィンをCPUの直上からずらす事によって緩和する構造を取っているが、本製品は放熱フィンそのものを小型化することで干渉回避を実現している。
阿修羅の弟分と書いたが、放熱フィンの形状、クーラーの固定方法などはほぼ阿修羅の構成を踏襲しており、全高はそのままに幅や奥行きを小型化したような形状は正に弟分と言って良いだろう。
対応するプラットフォームはAMD、Intel共に現行のプラットフォームにほぼ全て(LGA 1150/1155/1156/2011/1366/775 Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2)対応しており、今時のPCケースであればCPUクーラー用のカットアウトホールも装備している事が多いためマザーボードを取り外す事無く組み付ける事が可能だ。
スタンドオフスクリューを使用して台座を組み、その上にクーラー本体を乗せた後に台座部分とCPUに設置するベースプレートを挟み込む様にブリッジプレートを渡して固定するブリッジ式リテンション方式は、大きく図解されたマニュアルに沿って組み付けていく事で問題無くがっちりと固定される。
また最終的にクーラーを固定するブリッジプレートはナット形状にプラスドライバー用のねじ穴が切られたものだが、添付品に小型のレンチが同梱されている為ドライバー径が合わない場合もしっかりとねじ止めをすることが出来る。一般家庭にごく普通にあるドライバーで組み付け作業は完了出来るがこうした配慮はうれしい。
本製品に付属するファンはサイズオリジナルの120mm角ファン「隼120」のPWM制御対応モデルを採用。ファンブレードに風切り音を低減するためのモールドがあり、LEDを用いて光るといった派手さはないものの、「冷えそうだ」という印象を与える。
フル回転に近い状態になれば流石に無音というわけにはいかないが、それほど耳障りな風切り音がするわけでもなく、低回転時には極めて静かに放熱フィンに風を送り込みCPUの熱を確実に冷却してくれる。
実際このレビュー記事を書いている状態でもCPU温度は50度を下回っており余程の高負荷運用でない限り十分な冷却をしてくれるだろう。
先にも書いた通り、LEDによる装飾や、メッキ処理によるプロダクトとしての美しさは無いものの、大事な部分にはきちんと力を配分しており、値段を考慮に入れれば極めて良好なコストパフォーマンスを持っている、それが虎徹というクーラーだ。
リテールクーラーの冷却能力に不安があったり、騒音が気になるといった向きには気軽に手を出せる価格帯のCPUクーラーとして高レベルにまとまった製品であるし、サイドフロー型クーラーに手を出したことが無いという方にも最初の一台として是非使ってみて欲しいCPUクーラーである。
この値段で手に入るクーラーとしては類を見ない満足度
自作PC中級者あたりまでならば、このクーラーで満足しない方はなかなかいないのでは無いだろうか。装飾は最低限だが、定格運用を前提とすれば、その機能は全く不足の無いものであり、全高160mmという高さ制限をクリアできるPCケースをお持ちの方であれば万人に勧められる製品であると言える。
空冷限界にチャレンジ! といった向き以外には全方位に隙の無い製品
この完成度の製品が、3000円そこそこで手に入るのは驚きという他ない。 組み付けの難易度、冷却性能、騒音値、どれを取っても申し分ない。
ただし、ファンの最高回転数は1300rpmと低めに設定されている事から極限OCでの運用には向かない。 常用目的のOC程度の範囲であれば十分に熱容量の範囲内なので自作上級者には物足りないかもしれないが、それ以外のほぼ全方位に対して満足のいく出来であると言える。
繰り返しになるが、この製品は3000円そこそこのレベルでは無い、迷っているなら是非とも導入して頂きたい製品である。
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購入金額
3,280円
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購入日
2016年02月28日
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購入場所
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