ジャズとロック~ポップスの狭間のジャンルは20世紀には、10年ごとくらいに「Jazz Rock」⇒「Crossover」⇒「Fusion」と変遷していった。しかし1990年頃からつづく「Smooth Jazz」の潮流はまだ引いていない。よりアダルトでCOOL、そしてソフトなエロさ。イージーリスニング風に軽めになってしまっては輝きがない。そこを確かな歌心とテクニックで支えるプレイヤーが入ってこのジャンルを盛り上げてきた。
Gerald Albright。「Smooth Jazz」ジャンルの重鎮。サックスプレイヤーでアルトを好むが、決して一辺倒ではなく、テナーもかなり吹く(ソプラノは少ないが)。またマルチプレイヤーでもあり、ベースとキーボードも演奏する。とくにベースはベーシストとして飯を喰ったこともあるほど確かな腕。サックスの方はどちらかと言えば尖った攻撃的なラインを採る同世代のKirk Whalum
と比べるとややオーソドックスで親しみやすい彼のラインが「Smooth」。
前作
では様々なジャンルにまだ色気を見せていたが、この作品で腰が定まったカンジで多少のバリエーションはあるものの、後の「Smooth Jazz」王道アルバム
に至る道筋が見える。
「My, My, My」はGeraldがベースもプレイする、女声コーラスがエロスwなソウル系コーラスライトジャズ。イントロのベースのパターンがおもしろい味。歌うアルトがイイ感じ。
「Front Street」はKirkばりのリズムマシン然としたドラムとシンベのカタイ音がトレンディな←死語、吹きまくりチューン。テンションかかったメロディラインで、音ともども「デジタル」な感じ。
「Dream Come True」もコーラスが入ったソウル調の曲。Geraldがリズムとシンクロしたディレイがかかったリリカルなメロディで歌うと、Paul Jackson (Jr.)
のギターがパーカッシヴに彩る。Robben Fordの珍盤
で弾いていたDerek Nakamotoのキーボードもスペイシィだ。Geraldは後半になるにつれてコーラスに絡みつつ熱く歌い上げる!
「Smooth Jazz」と言うには少しクロっぽいフレーバーが強く、もう少しCOOLDOWNした方が「ど真ん中」だけど、彼が方向性をしっかり定めたアルバムといえる。
後から振り返ってみれば、現在の彼の、そして「Smooth Jazz」の始まりのひとつとなった作品です。【収録曲】
1. My, My, My
2. Front Street
3. Say Yes
4. Desire
5. Sweet Dreams
6. Kickin' It
7. Dream Come True
8. Can't You Feel
9. Come a Little Closer
10. Growing With Each Other
「My, My, My」
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購入金額
2,400円
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購入日
1990年頃
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購入場所
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