矢野沙織は今も活躍する女性サキソフォニスト。16歳で衝撃のデビュー
を飾った彼女も今では26歳(2013年現在)のイイオンナだが、本作“02”はデビューの衝撃覚めやらぬ翌年に出された2nd。
このときのメンツは基本1stと同じで、アルトサックスはもちろん沙織、ピアノがHarold Mabern、ベースがNat Reeves、ドラムスJoe Farnsworthというセットに一部の曲でPeter Bernsteinがギターで、Eric Alexanderがテナーサックスで加わる。
彼女の柔らかな感性が感じられるアルバムでとても評価が高い。「女子高生サックスプレイヤー」であることはもはや前置きすることがなくなった作品。
Charlie Parkerを信奉する彼女は1stと同じくBirdの曲でスタートする。ピアノのHaroldのものであろう、靴底でカウントをとった音で始まるミディアムメロウな曲は「LAIRD BAIRD」。Bird晩年の“NOW'S THE TIME”の名曲。沙織は緩急をつけた演奏で、臆せずCharlieを吹ききる。粘るPeterのギターソロ、コード音の分解のランニングベースでメロディをきちんと描き出しているNatのウッドベースがハッピー。エンディングで沙織がタンポをパタパタやってるのがカワイイな。
「砂とスカート」は彼女自身の作品で、初期の代表曲。ボサ調の静かな曲だが、ソロの音取りは、「えっ!ソコにいくの!?」という意外なライン取りで、彼女の自由な感性が見える。Haroldの情熱的なソロも味がある。
「OPEN MIND」は「報道ステーション」のオープニングとして長く使われた曲(2004~2011年。これとは別バージョン)。3小節ひとパターンのようなスリリングな譜割りの夜を感じさせるCOOLなAメロとメロウなBメロの対比が面白い。でもTVでは曲の最初のほうの断片なので、後半に行くに従ってキレたPeterのギターソロと、最初っから飛ばすHaroldのピアノソロという見せ場があるのはわからない。これは通しで聴くべき!
2作目にしてその感性が、Birdの後継者として日本ではナベサダ
に次ぐものとの評価も得た彼女。若いというより柔らかでたおやかな感性が、ジャズ界の巨匠に挑戦、というほど肩肘張らず吹ききる様子は爽快ですらある。小学校のクラブ活動のブラスバンドで「じゃんけんに負けて」やり始めたアルトサックス。それがデビュー2作目にして識者にBirdの後継者と言わしめる成長ぶり。その1/3の確率の妙に乾杯。
【収録曲】
1. LAIRD BAIRD
2. 砂とスカート
3. LOVER MAN
4. RIZLLA
5. THE DAYS OF WINE AND ROSES
6. WORK SONG
7. ZION
8. SCRAPPLE FROM THE APPLE
9. EVERYTHING HAPPENS TO ME
10. BILLIE'S HOLIDAY
11. OPEN MIND
「OPEN MIND」
日本コロムビア該当アルバム試聴ページ
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購入金額
2,940円
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購入日
2004年頃
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購入場所

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