レビューメディア「ジグソー」

新しいCASIOPEA、今後の展開に期待

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。バンドも人間の集合体。永く続けると言うことはそれなりにパワーが必要です。さらにプロのバンドの場合には、「商売」という一面があるため、さらに難しい部分もあります。感情面の他にも音楽性・芸術的な志向、仕事としてとらえた場合の立ち位置といった差異でバンドを解消したり、休止したりする例も少なくありません。日本を代表するフュージョンバンドに数えられながら6年もの間休眠し、違った形で復活を遂げたバンドの作品をご紹介します。

CASIOPEA。ギタリスト野呂一生を中心とするフュージョンバンド。1980年前後の日本でのフュージョンブームの時代には、テクニックに人気やセールスなど高い次元でバランスしていて、誰もが認めるトップバンドだった。その黄金期は1980年から89年。CASIOPEAの名を内外に知らしめた名作ライヴアルバム、“Mint Jams”

を世に問うたときのメンバーの時代。このときはリーダーでギタリストの野呂一生、向谷実がキーボード。そしてベーシストが櫻井哲夫にドラムス神保彰という布陣。約10年間にわたるこの構成がいわゆる“黄金期メンバー”であるが、実はこれに先立つデビューから2作はドラムス担当は佐々木隆。しかし、 櫻井哲夫が在籍したこの期間を「第一期」と称する。その後このグループはフロント2人とリズム隊2人に分裂するが、SHAMBARA

での活動がきっかけで袂を分かつこととなった櫻井は再びCASIOPEAに復帰することはなかった(同時に脱退した神保は10年経たないうちにサポートメンバーとして復帰)。このあと1990年から彼等はベーシストにチョッパーベースの大御所、鳴瀬喜博を迎え活動することになる。ドラムスは日山正明、熊谷徳明といった若手テクニシャンを迎えるが長続きせず、後年は前述のように神保が準メンバーとして支えた(元T-SQUAREの則竹裕之を加えたツインドラム時代もあり)。比較的コンスタントに作品を発表していたが2006年野呂から突然の活動休止宣言。ここまでを「第二期」と呼ぶ。そして昨年(2012年)、6年間の沈黙を破り活動再開した彼等は「CASIOPEA 3rd」と「第三期」であることを明確にしたバンド名で活動している。メンバーはリーダー野呂一生、ベースは御大ナルチョこと鳴瀬喜博 キーボーディストはメジャーデビュー以来苦楽をともにした向谷ではなく、2000年前後からテクニック系のミュージシャン(村石雅行や菅沼孝三、矢堀孝一など)と活動しているオルガニスト大高清美。これに相変わらずサポートメンバーで神保が加わる。

本作はCASIOPEAの黄金期の曲を今のメンツで演奏したライヴ演奏によるベスト盤(2012/10/19のSHIBUYA-AXでの演奏)。神保が復帰していて、今となってはオリジナルメンバーの櫻井よりも永く在籍していることになる鳴瀬がいるため、「第二期」とあまり変わらないかと思いきや...キーボードという比較的音色の表現の幅が広い楽器担当が変わったことは大きく、かなり違った風合いの曲もある。

ライヴは「第一期」の名曲「EYES OF THE MIND」から幕を開ける。ライヴでは必ずしもオルガンのみを用いているわけではないのだが、さすがオルガン奏者大高、オルガンの音色を中心としたオーソドックスな厚い音でバッキングすると懐かしいこの曲がスタンダードの風合いを持ってくるから不思議だ。ソロになるとラテンな奏法・フレーズとバッキングとの落差があり、どちらかと言えば「向谷エレピ」など音色で魅せた前任の向谷との違いを際立たせる。

元曲はスキャットが入り、ブレイクもあって、ややソリッドでタイトな感じの「DAZZLING」は、スキャットがオルガンに置き換えられゴージャスな感じに。ギターの合いの手もヘヴィに、ベースはナルチョのディストーションベースで存在感を増し、ドラムスは間を切り取るアレンジに。

2分にわたる、正確無比な打ち込みのようなドラムソロに続いては「MID-MANHATTAN」。これはオルガンの音色が合う!エレピ(の音色)のソロもオーソドックスな感じだけれど、音色でなくフレーズで魅せよう、という大高の気概が感じられる演奏。

特典のDVDは東京国際フォーラムで2012/9/9に行われた「東京JAZZ」のステージ。相変わらず背筋がピクリとも揺るぎなく直立した正確無比な神保の演奏や、演奏の粘りに比して躰の芯がぶれていないナルチョのプレイが、変わらずピッキングが正確な野呂のプレイが堪能できる。大高はと見るとオルガンに加えて使うのはRolandのJupiter-50とFantom-G7。明らかにYAMAHA系だった向谷の煌びやかで繊細な音と太く暖かみのある大高の音は使用機材(メーカー)の差によるのかもしれない。

懐かしい曲を多くちりばめたこの作品、「新生」CASIOPEAの温故知新的な作品となっている。ただ「3rd」としては今回CDとなった部分の「Live Liftoff」を収録したライヴDVDと本作がでているだけ。本作の演奏が単に「過去のコピー」ではなく、新曲「ARROW OF TIME」など、新しい彼等の展開を期待できる出来だっただけに新作オリジナルアルバム期待で!
6年間待ってたよ!!
6年間待ってたよ!!
「Eyes Of The Mind~Dazzling~Domono Line~Space Road~Golden Waves~Twilight Solitude~Freak Jack~青い炎~Asayake」


【収録曲】
DISC1<CD>
1. EYES OF THE MIND
2. GALACTIC FUNK
3. DAZZLING
4. DOMINO LINE
5. SPACE ROAD
6. SET SAIL
7. GOLDEN WAVES
8. ARROW OF TIME
9. Keyboards - Solo~TWILIGHT SOLITUDE
10. HOSHI - ZORA

DISC2<CD>
1. Drums - Solo~MID-MANHATTAN
2. AKAPPACHI - ISM~Bass - Solo
3. Guitar - Solo~CRY WITH TERRA
4. FREAK JACK
5. 青い炎
6. ASAYAKE
7. TOKIMEKI
8. FIGHTMAN

DISC3<特典DVD>
1. FIGHTMAN
2. EYES OF THE MIND
3. SET SAIL ~MC~
4. DOMINO LINE
5. SPACE ROAD ~MC~
6. ARROW OF TIME
7. GALACTIC FUNK ~MC~
8. ASAYAKE
9. GOLDEN WAVES
  • 購入金額

    3,980円

  • 購入日

    2013年02月10日

  • 購入場所

    TOWER RECORDS

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