所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストにとって「新作」というものは難しいものです。ファンの多くはそのアーティストの生み出す作品が好きなのであって、そのアーティストが創り出すものならどんなものでも何でもかんでも受け入れる、というほど波長が合う/もしくは/入れ込んでいる、ということは多くはありません。そのため突拍子もないほど前作と異なるものは受け入れがたいものです。さりとて、あまりに変わらないのもマンネリ化し飽きられます。毎年オリジナルアルバムをリリースし続ける長寿バンドの最新作はどうだったのか、ご紹介します。
T-SQUAREは、前身のTHE SQUAREの時代から数えると、35年以上の歴史を持つ老舗フュージョンバンド。長い歴史の中には出戻りを含むメンバー変遷も多く、通しで在籍しているのはリーダーのギタリスト、安藤正容(まさひろ)だけと言う状態だが、ここ数年はメンバーが固定されており(気がつけばメンバー変遷がない期間としては最長?)、春にオリジナルアルバム、秋に過去の作品のセルフカバーアルバムの年2枚ペースでコンスタントに作品を発表し続けている。セルフカバーアルバムの方は現在正式ベーシストがいないためか、歴代のベーシストを呼んで録音したり、多彩なゲスト陣を加えたりで新味を出しているが、オリジナルアルバムの方は永くリズムの要だった則竹裕之のオンタイムなステディさから、ジャンルにこだわらない新人類ドラマー坂東慧への変更の衝撃から時も経ち、彼の手数ドラムにも慣れてしまって、ちょっと変化に乏しい感じ。
そんな状態で届けられた2012年の新作。
「Heroes」。ある意味王道。ノリの良い8ビートにのせて、ギターとEWI(ウインドシンセ)がユニゾンでメロディを奏でるキャッチーな曲。ラストの坂東クンのフィルインじゃなくって単なるパターンなんだけど、バスドラムが遊んでるのが聴き所?
「Sunshower」。ハーモニカのような音のイントロと矩形波中心の丸い音でのメロディが懐かしい感じの曲。エレピソロが激してなくてコロコロと丸い感じのプレイなのが、肩の力が抜けている感じ。坂東の曲だが、従来路線とはちょっと毛色が違う。
「Tell Your Story」。この曲は新しさを感じる。リズムが良い。スピード感ある16ビートなのだが、定石をハズして、ベースはスラップレスで攻める(ソロの部分はスラッピングもあるが)。細かい16分音符の刻みで奔る田中晋吾の高速ランニングベースが、坂東のこれも通常のハイハット16個打ちではない音符の分解がトリッキーなドラムに乗りグングン引っぱる。ベースとドラムスのバトルソロもフィーチャリングされ、サポート歴の永い田中の正ベーシスト昇格の布石?とも感じてしまう。
「Tell Your Story」のような若い力を感じる曲もあるが、全体としてみれば「ザ」T-SQUAREという感じで危なげがない。でも、この作品を絶対買わなきゃ!という強い動機付けになるような曲にも乏しい。
ファンが期待するところ、予想するところを、ほんの少しだけ裏切って「なにか」を積み増す。ファンの期待を期待の延長線からナナメ30度ぐらいでそれた感じで伸ばす。そんな采配が長寿バンドに課せられた義務なのかも知れません。
【収録曲】
<Disc 1>
1. Heroes
2. The Bird Of Wonder
3. The Flight Of The Phoenix
4. Sunshower
5. 夏の足音
6. Cheer Up!
7. Tell Your Story
8. Sympathy
9. Flashpacker
10. Fast Break
<Disc 2> -Bonus Disc-
1. TRUTH
2. UNIVERSO INTERIOR (Saudade Mix)
「Heroes」
一部新たな風を感じる曲もあるのだけれど...
「どこかで聴いたような」曲が多い...
もう一歩「踏み出して」欲しかった...
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購入金額
3,400円
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購入日
2012年06月頃
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購入場所
退会したユーザーさん
2013/02/28
ポールマッカートニーとウイングスが頭の中に
出てきます。
cybercatさん
2013/02/28
>ポールマッカートニーとウイングスが頭の中に
そ、そりは古すぎr