レビューメディア「ジグソー」

耳とはケンカしないんだけど....

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。「ヒーリングミュージック」というジャンルがあるCDショップがあります。そこに置かれているのは緩やかに流れる音楽。大部分はアコースティックの楽器を使い、激しくない曲調、そしてどこか日本的旋律...そんな癒やしの音楽に分類される作品をご紹介します。

宗次郎。オカリナ、という土笛を吹く。原理的には非常に単純なこの笛は、リードなどの振動して発音する部分を持つわけではなく、どちらかというとフルートに近い発音原理。でも、音程は管長で決まるわけではなく、笛の共鳴室と押さえていない穴の大きさの関係で決まる。矩形波系の比較的倍音の少ない音で素朴で、丸く耳に刺さらない音が特徴の楽器。

この作品はNHK特集「大黄河」の音楽担当として彼が世に知られるようになったすぐ後の作品。多作で現在も活動を続ける彼としてはかなり初期の作品に属する。

「こころ」。左右に散らされたシンセサイザーのキラキラした音が、しんしんと降る雪のような情景を思い起こさせる中、宗次郎のオカリナが低い音で始まる。すぐオクターブ高い管に替えてメロに来る。あまりアタックが強くない「ポーポー」という感じの音で暖かい。

「思い出の小箱」は(後にシンセもはいるが)当初ピアノとのデュオで、少し日本的なもの悲しい旋律で懐かしい感じ。中期以降の村松健

にも少し通じるピアノのライン(熱田公紀か坂本昌之。個別クレジットなし)。宗次郎は少し吹きはじめのリップノイズを乗せて日本的な笛(尺八や横笛)風の感じを出している。

「地平線」。オイコラChicago(素直になれなくて-Hard To Say I'm Sorry)だろっ!ていう感じのイントロ。打ち込みではあるものの、ややリバーブが大きめにかけられたドラムスとベースがはいっているのでコーラス間のブリッジはまさにそんな感じ。メロ自体はスケールを上下する宗次郎独特のものだけど、シンセでメロが採られる部分は符割りも喰っていてちょっと合わないかな?宗次郎洋楽Verという感じ。

全体を通すと「大黄河」のイメージが強すぎる?もう少しオカリナの素の音を活かしたアプローチの方が良かったような気がするけれど。自分にとってはなんか流れてしまうんだよね。たしかに耳には心地よいんだけど。自分にとってはもっと音楽は密に聴きたいのかな?
喜多郎と同じSHIZENレーベル(サウンド・デザイン)時代の作品
喜多郎と同じSHIZENレーベル(サウンド・デザイン)時代の作品
持っているのはAmazonにある心象画のようなジャケットではなくて、「大黄河」路線の風景写真+筆書きのタイトルの1987年の初盤タイプ。そのころってかなりビンボーだったんだけど、これなんで買ったんだろ?それとももらった?ww

【収録曲】
1. こころ
2. 四季-愛しき子供達へ
3. 清流
4. 思い出の小箱
5. 若葉の頃
6. 雲を友として
7. 地平線
8. 光のなかで
9. 大地の神

宗次郎オフィシャルサイト
  • 購入金額

    3,300円

  • 購入日

    1988年頃

  • 購入場所

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