Microsoft Windows 8 Pro 発売記念優待版 は、Microsoftが2012年10月に発売したWindows 7に続くOS(基本ソフト)だ。
Windows Xpに始まり、Windows 7を経て長らく使い込んできたメインのPCもパーツを入れ替え延命してきたが、いい加減限界を感じリプレースを考えていた。
そんな時2013年1月31日までの期限付きでアップグレード版が格安で入手出来る事を知り、OSだけでも押さえておこうと入手した。
その後いろいろとあって、結局メインマシンをリプレースし、Windows 8をインストール出来たのは2015年に入ってからであった。
さて、本パッケージは所謂アップグレード版に位置するパッケージで、32bit板、64bit板の二種類のバイナリが同梱されている。
アップグレード前の環境に応じてユーザーが選択する形だ。
言うまでも無く、このパッケージに付帯するライセンスは1ライセンスのみとなり、32bit、64bitの双方を別々の環境にインストールする事は出来ない。
また、原則としてアップグレード版であるため、既存環境がシステムに組み込まれていないと利用を継続する事も出来ない。
原則と書いたのは、既存環境が無い状態でもインストールし利用を開始する手段があるからだ。
詳細は省くが、興味のある向きは一通り調べてみると多くの情報が得られるので、見てみるのも良いだろう。
■インターフェイスへの戸惑い
そんなWindow 8だが、世間一般の認識は必ずしも良いものでは無いようだ。
その要因はいくつか思いつくが、主立ったものとしてはUIの激変が要因として挙げられるだろう。
Modern UIと呼ばれるこのインターフェイスは、既に使っている方は良くご存じの通りスマートフォンやタブレット端末での使い勝手を考慮に入れたインターフェイスになっている。
ちなみにWindows 8発表前後まではMetroと呼ばれたUIがModern UIと表記される事になったが、このModren UIも正式に発表された名称では無く、MicrosoftのWindows開発者ブログにて表記された為、現在ではこう呼ばれる事が多い、というだけである。
個人的にはこれはこれでアリだと感じているが、周囲の反応は「使いづらい」の一言に尽きる。
ではこの使いづらさはどこから来るのかと言えば、ズバリ「タッチUIへの最適化」が甘い、という事だと思う。
標準で用意されている「メール」アプリひとつ取ってみても、機能的な内容はWeb板Outlook.comと変わらない。
しかし操作方法があまりにもデスクトップ版(ブラウザ版)とは食い違い過ぎている。
見た目と操作感がデスクトップ版と祖語が少ない様になっていれば、ここまでの評価にはならなかったのでは無いだろうか。
事実Windows 8.1がインストールされたEvery Pad Proでは、デスクトップの各種ボタン、リンクが小さく押しにくい為、Modern UI版アプリを使用する事も多い。
タッチパネルでの操作に限った話で言えば、このUIも完全な失敗とは言えないと感じる。
後述するが、今後の更なるブラッシュアップに期待したい。
Windows 8 はその後Windows 8.1、Update 1とアップデートを経ている。
Microsoftの近年の方針に従い、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り込み、アップデートを短いスパンで行っている。
筆者が使っていて目につく大きいところは
・ログイン時にModern UIとクラシカルデスクトップのいずれかを選択出来る。
・スタートボタン風のボタンがタスクバーに常時表示される様になった。
細かい部分での違いは様々で、他にも多々あるのだが、この二点は特にユーザビリティの観点で大きく変わったと感じる。
特にデスクトップ選択は旧来型のインターフェイスに慣れ親しんだ者にとっては使い勝手の点でMicrosoftが大きく譲歩したと言える。 IntelのBay Trailシリーズの登場でタブレット型端末は大きく花開いたが、モバイルを前提としないデスクトップ型PCやクラムシェル型ノートPCでは思う様にタッチパネルディスプレイは浸透していないのが実情だ。
MicrosoftとしてはWindowsのインターフェイスを大きく変化させる事で、ユーザーの変化を促す狙いがあったのだと思われるが、デスクトップであってもタッチパネルであっても操作性に違和感の無いインターフェイスを用意できなかった事が見方によっては退化、停滞とも取れる8.1、Update 1という流れを生んだと言えよう。
この流れは2015年後半に登場すると見られる、次期Windows 10にも引き続き受け継がれる。
Windows 8ではModern UIにデスクトップが付帯していたのに対し、8.1以降はデスクトップにModern UIが付帯する見た目となる。
Windows 10のスクリーンショット等からも一目でわかるとおり、復活したスタートメニューにModern UIによるタイルが付属する形になっている。
これまでのWindowsの使い勝手を残したまま、新たなインターフェイスを残す事によりユーザーに対して選択肢を与えているのは、戦略の変更に他ならない。PC、タブレットに留まらない広範囲なデバイスをWindows 10でカバーしようとするMicrosoftにとってはユーザーにとって使いやすいタッチインターフェイスを提供する事は絶対に避けて通れないチャレンジだ。
そして時間の経過に伴い、タッチパネルインターフェイスは確実に広がっていくだろう。 これはスマートフォンやタブレット型端末の隆盛を見れば誰が見ても明らかだ。
もしこのままデスクトップ型UIとタッチパネル型UIの融合が進まなければ、PCはガラパゴス化の道を歩んでゆくかもしれない。 その結果はフィーチャフォンの様な袋小路に追い詰められていく未来とも取れる、もしかしたらMicrosoftだけでなく、我々ユーザーにも譲歩が求められている時代なのかもしれない。
■出来の悪いOSじゃない
とにかくインターフェイスの改悪(個人的に改悪とまでは言えないと思うが、世間一般ではそう見られているのだろう)が評判として目につくWindows 8だが、逆に言えばそこをクリアすればWindows 7以前から見て良くなった部分も多い。
中でも多くのユーザーにとって、体感しやすい機能はPCそのものの起動、終了の高速化だ。
これは「高速スタートアップ(Hybrid boot)」と呼ばれ既存環境からのアップグレードでもOS側から対応と見なされれば有効となる。
更に、UEFIに準拠したパーツ構成であれば、コールドスタートからの起動も高速化される。
これにより数秒~十数秒での起動が可能になり、PCの電源を投入してからコーヒーをいれる…と言う様な事が無くなる。
コントロールパネル→電源オプション→電源ボタンの動作を選択する、から確認した高速スタートアップの状態。高速起動が有効になっている事がわかる。
それ以外にも
・記憶域プール(ストレージの管理)
・強化されたWindows Defender(ウィルスとスパイウェアへの対策強化)
・データの暗号化(BitLocker / BitLocker To Go)
・強化されたバックアップ機能(ファイル履歴)
・One Driveが統合されたエクスプローラ(クラウドストレージとの連携)
・ファイルコピー時の利便性向上
・強化されたタスクマネージャ
など、様々な部分で強化が施されている。
Windows 8.1 Update 1が公開され、タスクバーへのピン留め等を用いて、Windows 7と同等の使い勝手を代替するなど、ユーザーの使いこなし術も多くのブログ等で散見される様になってきた。
徐々にではあるが悪い部分を払拭する土台は出来上がりつつある様に思う。
何よりWindows 10はWindows 7以降のユーザーに対し限定的ではあるものの無償によるアップグレードを発表している。
先にも書いた通りModern UIは無くなるわけでは無い、いずれユーザーは全面的にであれ、一部であれ新たなUIに振れざるを得ないのだ。
であれば、悪い面ばかりでなく、良い面にも目を向けてまもなく登場する次期Windowsを受け入れる準備をしておくのも良いのでは無いだろうか。
Windows 8はMicrosoft自身にも我々ユーザーにも変化を求めたOSなのだと、改めて感じる次第である。
UI以外は多くの面で向上
使っていれば気付くが、本当に細かいところで手が加えられている。
一番に目につく部分が悪評になったのは致し方なしとしても、機能面の向上はユーザーにとってプラスになるものが多い。
是非、食わず嫌いをせずに一度触ってみて欲しいと思う。
問題なく使えるが、不安がゼロと言うわけにはいかない。
高速スタートアップは実用面で素晴らしいが、パーツに故障があった時に足かせになる可能性がある。
互換モードが廃止された事により、過去のソフトウェア資産が使えなくなる可能性がある。
などの問題点がある。
いずれも回避方法は用意されているが、わかりにくかったり、敷居が高かったりする。
これらの不安要素が払拭されれば満点をつけたかった所だ。
一手間かければ、これまで通り
Windows 8では出来なかった事が、Windows 8.1にアップデートされた事により出来る様になった。
という部分が多々ある。
本文でも振れたが、カスタマイズの方法がだいぶ出そろってきており、ユーザーの一手間は必要だがこれまで通り、あるいはそれに近い使用感を再現できる。
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購入金額
3,300円
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購入日
2013年01月15日
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購入場所
Amazon
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