皆さんこんにちは!白輝望です。
今回はI-O DATA様企画のプレミアムレビューに当選させていただきまして、I-O DATA様、zisow様をはじめ、皆様には大変感謝しております。
今回は実は応募したのは最終日の締め切り1時間前でした。今までI-O DATA様のプレミアムレビューに当選したことはなく、まあ無理だろうなぁと思いながらも応募。そして数日後にメッセージが届きました!周辺機器のレビューは初めてなので、いやはやどうなるやら。
さて、今回は「PLCアダプター」のレビューです。レビュー内容は以下の通り。
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○ レビュー課題
【1】と【2】について必ずレビューしてください。
レビューする際には必ず写真を用いてください。可能であれば動画もご活用ください。
【1】PLCアダプターは、“ コンセントに挿すだけで ”簡単にネットワークを構築することができます。
ネットワークに詳しくない人もレビューを参考にして導入できるように、その手軽さを紹介してください。
設置場所、導入後の使い方、導入のメリットについても併せて掲載してください。
可能であれば、ネットワークに詳しくない方(ご家族の方など)に、機器の接続を体験してもらってください。
【2】お使いの環境で受信感度や、通信速度についてレビューしてください。
なお、レビュー製品をご使用された環境(ハードウェア、ソフトウェアなど)についても記述をお願いいたします。
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レビュー課題から察するに、お手軽にネットワークを構築できることを紹介できればと思います。
1)PLCアダプタの基本
そもそもPLCアダプタというのは何なのか?簡単に解説します。PLCとは「Power Line Communication」の略で、日本語では「電力線通信」と言います。元々は諸外国で実用化されていた技術でしたが、2006年に規制緩和が実施され、日本国内でも機器の販売が可能となりました。
現在、家庭内のネットワークを構築する場合、無線LANが一般的です。新しい戸建住宅やマンションでは各部屋に有線LANを予め設置するケースもありますが、既存の建物内に有線のネットワークを構築するのは容易ではありません。かといって、無線LANは速度低下やセキュリティーの問題等があります。PLCは家庭内に施設されている「電力線」要するにコンセント経由でネットワークを構築するシステムです。
一般的な無線LAN、有線LAN、PLCのそれぞれの違いを簡単な表にしてみました。
今回もこのような結果になるのか!?楽しみであります☆
2)内容物の確認
レビュー品が到着した段階ではこのような箱に入っていました。
中身はこのようになっており、リテールのパッケージとレビューの指令書になります。箱の左下に
「240Mbps」の表記がありますね。これは第三世代PLCの最高速度です。
今回の製品は「設定不要」が売りのようで、そのロゴと、「非売品」のシールが輝いています♪
続いて、箱を開けて内容物の確認ですが、端末が2台、LANケーブル2本(1本は写っていませんがちゃんとあります)、それとマニュアル類です。設定不要とあってCDの類は入っていません。
端末について詳しく見ていきますと、まず側面には「MASTER⇔TERMINAL」の切り替えスイッチがありますが、これには決して触らないように!と説明書に注意書きがありました。また、合わせてルーターとの接続側とPCとの接続側で使い分ける必要もないと記載がありましたので、ここでは触れないでおきます。
下部にはLANのコネクタとCLEAR SETTINGボタンがありますが、これも通常時は触れる必要はありません。廃棄や譲渡の際にネットワーク設定を初期化して設定の漏洩を防ぐ役割を果たします。
3)接続環境紹介
我が家で使用しているインターネットサービスプロバイダは「J-COM」になります。従いましてCATVの回線です。
契約しているのは「J:COM NET40M コース(赤枠)」です。近々160Mコースに変更しようという話が出ているのですが、具体的な実施時期は決まっていません。
使用しているモデムは「モトローラ製ケーブルモデム SB5100」になります。月々のレンタル契約です。 モデム紹介
また無線LANルーターとして「Buffalo製 DWR-HP-G300NH」を使用しています。
今回のテスト環境では
モデム(SB5100)-無線LANルーター(DWR-HP-G300NH)-PLCアダプター(PLC-HP240EA-S)
のように配線して行いました。これは実際には無線LANとPLCは共存させるケースがほとんどであると考えたためです。自宅にPLCでネットワーク構築すると言っても、スマートフォンを初めとするのWifiを使用する機器普及が著しく、PLCのみでネットワークを利用するケースよりは無線LANとの併用が多いのではと考えた次第です。
次に、家の電気配線ですが、まあはっきり言ってよくわかっていないので分電盤の写真と自宅の見取り図をお見せします。
ルーターのあるのは「居間, 食堂」です。私の自室は2階になりますが、(1)か(2)かは不明です。そこで今回は「和室」での速度も測定してL1/L2系統の違いを確認することにします。
自宅は軽量鉄骨の2階建て、建売で築20年ほどです。この軽量鉄骨というのが厄介で、無線LANの電波は届きにくいッ!
見取り図を見ていただければわかりますが、無線ルーターの位置と自室のPCの位置は家屋内で最も離れた対角線上に位置しており、接続環境は最悪と言えます。これがPLCで改善すれば文句なし!です。
4)接続!
それでは、いよいよ接続です!
・・・と言っても、悩むことはほとんどありませんw
Step1 ルーターとアダプターをLANケーブルで接続し、アダプターをコンセントに挿す。
Step2 PCとつなぐアダプターをコンセントに挿し、LANケーブルで接続する。
以上!
回線が開通するとこのようにランプ3つがすべて点灯しますが、LANはオレンジ色のままです。
PCを接続するとオールグリーンになります!
状態としてはこんな感じになります。
とても簡単。というかこれ以上簡単にはできないでしょう。家族にもそれを体感してほしかったのですが・・・妹がOKしてくれたものの、休日の日程が合わずにできませんでした。
5)回線速度測定
メインイベントの回線速度測定に入ります。
使用PCはいつも通り、富士通製 LIFEBOOK SH760/5B プレミアムブラック (FMVS765B)です。無線LAN使用時は有線LANを無効に、有線LAN使用時は無線LANを無効にして測定しました。
OSはWindows7 64bitとなっています。
測定方法はBNRスピードテストの下りを3回測定してデータを分析しています。
この測定そのままだと2回の測定のうち速いほうを回線速度としていますが、これを3回、測定回数計6回の平均を計算しています。
測定場所は3か所、それぞれ条件を違えて測定し計8データを比較します。
リビングの3条件(無線LAN/有線LAN/PLC)
和室(PLC)
自室の4条件(無線LAN/PLC/PLC+節電タップ/PLC+雷サージTAP)
また節電TAPはこちらを使用しています。
雷サージTAPはダイソーで販売していたものを使用しています。
<結果発表>
表とグラフの見方ですが、
平均 Mbps:6回の回線速度の平均。
SD:標準偏差。ばらつきを示します。
MAX Mbps:6回の回線速度のうち最速の数値。
上り Mbps:上りの回線速度(1回のみ測定)。
となっています。
また、グラフは平均 Mbpsを表し、バーは誤差を示しています。バーが長いほど速度のばらつきが大きくなります。
<個別解説>
平均速度の順位順に解説を行っていきます。再度見取り図を載せておきますので場所も確認しながら解説します。
【第1位】 リビング/PLC 平均16.36 Mbps/MAX21.08 Mbps
測定場所は見取り図の緑の■部分です。ルーターから接続した場合よりも速いという結果になりましたが、大差はないのでルーター直接の有線LANと同値とみていいでしょう。PLCの性能を十分に発揮していると思います。
【第2位】 リビング/有線 平均14.45 Mbps/MAX21.64 Mbps
惜しくも2位でしたが本来はこれが一番高速なはずの接続です。測定場所は見取り図の黄色の■部分。
【第3位】 自室/PLC 平均12.49 Mbps/MAX19.55 Mbps
2Fにある自室で測定した結果です。測定場所は見取り図の赤の■部分。PLCを壁コンセントから直接取ったので一番速度が出ておりMAX速度はほぼ限界まで出ています。これがPLCの一番有効な使用法ではないでしょうか。また後の和室の結果からL1/L2分離ではリビングと自室は同じ系統であると思われます。
【第4位】 リビング/無線 平均9.11 Mbps/MAX14.39 Mbps
4位にはリビングで無線LANを用いて通信した場合がランクイン。測定場所はちょうど「リビング」の文字が書いてある辺りです。最近接ですが平均はPLCを用いた場合の約半分。やはり無線LANはロスが大きいようです。
【第5位】 自室/PLC+雷サージTAP 平均8.88 Mbps/MAX11.30 Mbps
自室でPLCアダプターを雷サージTAPに接続した場合どうなるか?ですが、やはり壁コンセントよりは落ちます。測定場所は見取り図の赤の■部分。それでも6位の無線LANと同等の数値が出ていますので十分実用の範囲だとは思います。
【第6位】 自室/無線 平均8.20 Mbps/MAX12.18 Mbps
現在の環境がこちらです。測定場所は見取り図の赤の■部分。ルーターの約半分の速度しか出ていません。思ったよりばらつきが小さいのは僥倖でしょうか。
【第7位】 自室/PLC+節電TAP 平均7.23 Mbps/MAX8.75 Mbps
節電TAPを使用した場合は雷サージTAPよりもさらに落ちました。測定場所は見取り図の赤の■部分。一方でばらつきは一番少なかったので安定した通信は確保できているのでしょうか。
【第8位】 和室/PLC 平均6.89 Mbps/MAX7.81 Mbps
L1/L2系統の異なると思われる和室での結果です。測定場所は見取り図の青の■部分。ばらつきは少ないものの平均速度は半分以下、MAXは実に約1/3と非常に残念な結果です。これなら無線ルーターからの物理的な距離が近い分、無線LANに部があると思います。
この和室の結果から自室はL1/L2系統では同系統であると推察されます。
【上りの回線速度について】
上りについてはほぼ変化なしでしたので本レビューでは特に言及は致しません。もっと回線速度の速いインターネット回線だとレビューできるのかもしれません。私の環境では2Mbpsが最大となっているので、ほぼ最大近くまで速度は出ていることになります。
6)総括
PLCアダプターと無線LANは上手に使い分けることが肝要であると思います。有線LAN、無線LAN、PLCにはそれぞれ長所と短所があり、うまく使えばPLCは有線LANに匹敵する速度をたたき出しますが、無線LAN以下になることもままあるようです。簡単に3箇条にまとめておきます。
鉄則1 自宅の電気配線はよく確認すること!
L1/L2系統が異なるとだいぶ速度は落ちます。同系統で使えない環境ならば無線LANが有効です。
鉄則2 TAP類は使わないほうが無難!
やはりTAP類は速度低下します。やむを得ない場合を除きTAP類は使用しないほうがいいでしょう。
鉄則3 予算と建物に応じた柔軟な対応を!
現状このスターターキットは15000円程度しますが、同価格かそれ以下で高性能の無線LAN機器を購入可能です。予算と建物に応じてベストな選択を行うべきでしょう。
7)謝辞
写真多めかつ長文という骨のあるレビューになってしまいました。PLC導入の際に少しでも参考になれば幸いです。ご協力いただいた皆様に深く感謝いたします。
2012/10/21 秋深まりつつある日曜日 白輝望
砧順一さん
2012/10/21
表記されていても実際にはADSLレベルしか速度は出ません。
・・・とはいえ、そのADSLレベルでは安定性能限界値スレスレまで出るということ。
つまり、元となるマスター回線が速ければある程度の恩恵は受けられます。
実際当方も上りこそ5Mbps出ませんが下りは速いと30~35Mppsぐらいは出ます。
実用性能ではこれぐらい出れば十分ですし下手なWiMAXよりも速いでしょう。
白輝望さん
2012/10/21
規格値いっぱいまで速度が出ないのは当然、ですが今回は元の回線速度も低いなぁという気がします。
実用には確かに十分だと思いますが、不安定な無線より条件次第では安定してくれそうなので有効に使えるかも知れません。
リーダーさん
2012/10/21
「コンセントを埋めてしまう」というデメリットと
「コンセントで通信?」という不思議な感覚があったので
手を付けずでした(^^;
設定用のCDとか一切ないのが手軽でいいですねーー
砧順一さん
2012/10/21
本気で性能試験をやるとしたらマスター回線として何か適当なPC同士をつないで
オーバーヘッドを起こしにくくした状態でデータ転送でもやってみれば面白いかもしれません。
ちなみに当方はフレッツ光ネクストの戸建てタイプを使用していて、ルーター配下に
パソコンが6台ぐらいぶら下がっているようでいて速いと下りで30Mbpsぐらいでます。
これが無線だとあまり速度は出なさそうですね。
むしろ周囲の民家の間隔が広いので電波が余計に飛びすぎて窃用されるほうが心配です。
そういった意味でもPLC機器は使えそうですね。
白輝望さん
2012/10/21
私も興味だけはという感じでした。初期の製品が安く売っているのを見ると買おうかなと思ったこともありましたけど・・・
コンセントが埋まってしまうのはマイナスポイントなんですよね。最小限としても、PC本体、モニター、PLC端末、それにプリンターやらモデム、ルーター、etc・・・私の環境だとTAPをかませると速度低下がありましたので場所によりけりということになりますね。
>>司波順一さん
今回は本気の性能試験というよりは「実際に使うであろうセッティングでどのくらいの速度が出るのか?」を検証した次第です。性能試験も興味はあるんですけどねー。
フレッツ光はうらやましい・・・。うちでも導入はできなくはないのですが、色々考えると今のから乗り換えるのは面倒でありまして。
そうそう、無線LANは電波の漏洩がありますので、それを防げるという意味では重要だと思います。
リンさん
2012/10/21
PLCは大変興味があるのですが結果を見るとまだまだなのかな。
見取り図など設置方法が解り易くて良かったです。
レビューしてみたかっただけに大変参考になるレビューでした。
白輝望さん
2012/10/21
半日で書き上げたので疲れましたー。
本文中にもありますが、結局は建物との兼ね合いです。無線LANで十分ならそれでOK、でも不満ならPLCを検討する価値はあります。
ただ、検討段階でしっかり検討しないと効果はあまり上がりませんよ、ということです。
無線LANの面倒な設定(最近AOSSとかあるのでそれほど面倒でもないかもしれませんが)がないのはいいことだと思います。
愛生さん
2012/11/10
電子レンジ使用中やデスクトップPC使用中にも影響が出そうな感じですね。
大変、参考になりました!
白輝望さん
2012/11/10
PLC対応TAPが販売されているので、そちらを使用すれば速度低下は生じにくいそうです。もし導入をお考えでしたら、一緒にご検討ください。
>電子レンジ使用中やデスクトップPC使用中
試していないので何とも言えませんが・・・
電磁波の影響を受けやすいということですので、電子レンジは影響は十分あるでしょう。
他のPCはほとんど影響はないのでは?有線や無線LANでも複数接続すると速度低下したりしますのでその程度ではないかと思います。