まずはパッケージの箱を見てみます。
240Mbpsでの通信に対応しているとのことで、インターネット接続には十分な速度が出る期待できます。無線LANは場所が良く変わる場合や、同一の室内などには便利ですが、上下の階では木造でも壁などでの減衰が大きく、ほとんど通信できないような場合もあるため、離れた場所にある据え置きの機器などではPLCの方が便利に思えます。
接続保証の「ペイバックシステム」は電話サポートでも接続できなかった場合に返品を受け付けるものだそうで、実際に接続が可能か心配な場合にも安心して購入できるでしょう。
内容物はPLCアダプタがとLANケーブルがそれぞれ2つ、セットアップガイドと注意書きになります。
入っているPLCアダプタは最初からそれぞれマスター、ターミナルの設定がしてあるため、本当に設定なしで使えます。
PLCアダプタの下部に有線LANのジャックがあり、裏面には直接コンセントが付いています。
この構造でさらにPLCアダプタ自体、幅があるためコンセントやタップの場所によっては差し込むと不便を強いられる場合があります。WLAE-AG300N/V2みたいになっていればと少し残念です。
PLCアダプタ本体にいくつかのステータスLEDが付いており、マスターかどうか、LAN機器と接続されているかどうか、PLCアダプタ間でリンクが確立できているかが一目でわかります。
今回は、前々から知り合いの大学の先生がPLCアダプタに興味があると聞いていたので、協力をお願いして実際に試してみました。木造住宅でも上下階では通信が厳しいのですが、分厚い鉄筋コンクリートの建物では離れた研究室間で無線を使うのは絶望的です。
テストではWindowsXPのインストールしてあるノートPCを2台用意し、TTCPでPLCアダプタを経由してUDPでの2台の間の通信速度を測定しています。
PLCアダプタそのものは最高240Mbpsでの通信に対応していますが、準備したPCの片方がうかつにも100Mbpsまでしか出ないものだったので、短距離では今回の結果より高速な通信ができる可能性もあります。
まずはノイズの影響が少なそうな教室棟でテスト。1階の端の部屋にマスターを設置します。ターミナルを同一室内の別のコンセントに取り付けて測定すると11,619KB/sの結果で、100MbpsのLANの実効速度の上限が出ていると判断できます。
それからターミナル側を持ち運んで同一階の20m程度離れたコンセント、2階、3階、4階と移動しながら測定してもほぼ同一の数値を示しており、直線距離で40m～50mほど離れた場所でも100Mbps以上の速度をキープできるという結果でした。
次に理系学部の研究棟でテストしました。
同一室内で天井に伸びている2つの電源レールの先にぶら下がったコンセントの先にそれぞれ取り付けて測定すると4,930KB/sという結果で、実質的な距離は10m程度なのに速度がそれほど出ないという結果になりました。研究棟のこの階だけで80台以上のPCやプリンタなどの機器が接続されていると思われ、そのノイズの影響を受けているためだと思われます。
ターミナル側を室外に移動し、20m程度離れた場所に移動しても4,814KB/sだったため、距離よりも環境による影響を強く受けるように感じられました。
また、そのまま別の階に移動してみると違う階では全く接続できませんでした。事前に階が違うと電源系統が違うことを確認していたため、これはある意味想定通りの結果になりました。
実際には大学の建物内で利用することは場合によっては十分に効果があると言えるのですが、実際に運用する場合はネットワーク管理者の許可を取らないといけないなどの問題があるため、利用が可能なケースは限られてしまうのではないでしょうか。
また、今回は2台でのテストだったのですが、複数台で同時に通信した場合に速度低下要因が発生しないかが気になりました。
ただ、これらの結果から見ると個人の自宅で利用する場合は十分に実用的であると言えると思います。
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