ふとした瞬間に思いついたり、気付いたりした、小さな疑問。
或いは、どこにも解説が無いように思われる現象。
そういったものに出会った人からのニューサイエンティスト誌への質問投稿に対して、同じく投稿によって、解説、回答がなされたもの。
その中でも興味深く、優れた質疑応答が掲載されている本となりますね。
どの質問も、実はそれほど珍しい現象や、複雑には見えない疑問だったりするのですが。
改めて、真剣に向かい合うと、難しい事があったりします。
例えば、列車が猛スピードで走行中に、反対方向から飛んできたハエのような小さな虫が正面にぶつかった場合には、認識出来ない位に微小な刹那の間でも、列車は停止するのか、どうか。
という質問。(私が質問文を簡略化していますので、本文はもう少し違います)
物理法則で言うと、お互いの運動エネルギーを交換する瞬間(衝突した瞬間)に、それぞれの進行方向をプラスとするならば、マイナスに転換されるので、ゼロを通ります。
概念上は「ハエが列車にぶつかって停止して、跳ね飛ばされるならば、列車も、ハエにぶつかられて停止している瞬間はある」という事になりますね。
しかし、これは、ハエがぶつかった瞬間、ぶつかった場所に限られる訳で、列車全体が停止するという現象にまでは、運動エネルギーが足りません。
ぶつかったのが窓ガラスであるならば、その部分だけが一瞬たわんで、停止するのだけれども。
列車全体の持つ運動エネルギーによって、直ぐに元の速度に戻る事になるのでしょう。
単純化した思考で考えると、ハエ=1個の原子、列車=ハエとは比べ物にならない位大きく重いが一個の原子、というようなモデルを想像してしまいます。
そうなると、確かに、たわみとか、反動で凹むとか、そういう現象が起きる余地がなくなると考える事が出来るので、ハエがぶつかった列車は、ハエが停止した時間と同じ時間、停止状態であるといえる、と考えてしまう理由になる訳ですね。
この質問に対して、真っ当に正面から物理法則で答えようとすると、実は、質問者の錯覚と、回答者が錯誤している部分が合わさって、科学的に正しいのに、現象を説明出来ない、なんていうオチがついてしまったりしますw
回答を投稿する人達は、知識の量もさることながら、質問の意図や、そこに含まれている認識の誤りなどを紐解いて、スマートに、或いはユーモアたっぷりに回答している質問も多いので、読んでいて面白いですし、雑学の素としても、優秀な気がしますね。
-
購入金額
798円
-
購入日
不明
-
購入場所
北のラブリエさん
2017/01/26
最近は水玉さんを思い出してすこし寂しくなるので手に取っていませんでしたが、読み直します。
L2さん
2017/01/26
質問に対する回答者の姿勢が良いですよね。
その辺りが興味深くて、参考になります。