レビューメディア「ジグソー」

SCSIのLVDとSingle-Endedを変換

既にSCSI自体が絶滅危惧種であり、この製品の意義もあまり理解されることはないのかもしれません。

一時期MOやスキャナといった、比較的低速度で済む機器を接続するために利用されていたSCSIはSingle-Endedといわれ、1つの信号当たり1本の信号線を割り当てその信号線の電圧の高低によって信号を表現するというものでした。しかしながらこの方法では信号の劣化が大きく、またノイズ分の影響を受けやすくなるため速度を上げることも困難でした。

そこで1つの信号当たり2本の信号線を割り当て、その2本の間の電圧差で信号を表現するという、ディファレンシャル(差動駆動)という方式が採用されるようになります。初期のディファレンシャルは5V駆動で、Single-Endedとは信号の互換性を確保していなかった(間違えて混在させると本当に壊れた)のですが、比較的最近のものは駆動電圧が3.3Vとなり、また信号配置をSingle-Endedと共通化したことで機器の混在を可能とした(信号自体はSingle-Ended相当で伝送される)LVDと呼ばれるものです。

このIOI-141LSはLVD用機器とSingle-Ended機器との間に挟むことにより、単にLVDとSingle-Endedを混在させるだけではなく、LVD機器に対してはLVD転送を保つことが出来るというものです。つまり、LVD本来の速度性能を保ったまま、LVD SCSIの持つ後方互換性を活かすことが出来るというわけです。例えばLVD対応のHDDを接続したホストアダプタに、SCSI対応の光学ドライブを接続することが出来るわけで、ストレージを完全にSCSI化したシステムにおいてはかなり役立つアイテムでした。

以前アイ・オー・データ機器から発売されていたSCSIホストアダプタである、SC-UPU2やSC-U2PSはボード単体でLVDとSingel-Endedに対応していましたが、実はこのボードの心臓部となるSCSIバス変換コントローラと同じ、53C141をボード上に実装してこの機能を実現していて、簡単に言えば通常のLVD SCSIホストアダプタにIOI-141LSの機能をオンボード実装で追加したということになります。

実際にはこのIOI-141LSはLVDのバスリピータという機能も持っていたのですが、そちらについてはあまり使われることがなかったと思われますので、ここでの説明は割愛します。
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