TOTO。アメリカンロックバンド。なぜか日本での方が早くから高評価されたグループ。もともとBoz Scaggs
のツアーメンバーとして集められたメンバー~その多くは「シルク・ディグリーズ」のレコーディングメンバーでもある~が母体のため、決して無名ではないし、演奏も高評価されていたのだが、本国ではデビュー曲の「Hold the Line」がビルボード5位、1stアルバム“TOTO-宇宙の騎士”が同9位まで上昇したくらいで、ファーストのプログレ色が根底にあるアメリカンロック路線を突き進めた次作の“HYDRA”はそれに大きく及ばなかった。
そこで3作目で彼らは大きくその表現形を変えてみた。ツインキーボードを前面に出したメロディアスかつシンフォニックでプログレ的エッセンスがある楽曲と、残響コントロールで比較的構築された音像だった1st、それにさらにストーリー性を付け加え楽曲の肌触りを統一した2ndから、ソリッドで「近い」音像とヨーロッパ的な闇さを持つ楽曲で一気にハードさを高めた。
キーボードの比率が下がり(特にシンセが、鍵盤が目立つ曲もピアノやオルガンが中心)、ギターアルバム!という感じ。音が近く、ソリッドでガツンと来る。故Jeff Porcaroのタム回しなどはタムの揺れまで感じられるほどだ。
「English Eyes」。重いディストーションギターのリフのみで始まるが符割が裏からはじまり、ドラムが入るとリズムが裏返るようなトリックが仕掛けてある。ハードで暗い、ヨーロッパ的薫りのするヘヴィチューン。ブリッジの幻想的な音響処理から戻るときのJeffのドラムは弾けるよう!Steve Lukatherのエンディングソロもいつになく歪んでる。
「Goodbye Elenore」はハードシャッフル。Jeffのオンビートのスネアロールからはじまり、ピアノ低音弦をガンガンぶったたくDavid Paich、シャウトで映えるBobby Kimballのボーカル、そしてJeffの三つ打ち??のバスドラムとスピード感満点!Steve Lukatherのソロはハードロックギターのお手本のようなスケールとアウトスケール、フレーズと符割、アームとライトハンドと様々なテクニックを駆使した必聴モノ。
「Turn Back」。この表題曲が最もヘヴィでハード、1st、2nd路線とは明確に異なる。オーバーダビングされたギター、小節割りを判りづらくするような符割り、あくまでヘヴィなギターと重いリズム。少し異国的なギターのリフとピアノとベースで採られる変わったラインのベース。最もそれまでのTOTOらしくない。この曲をタイトルチューンに持ってきたのが彼らの覚悟か。
このアルバムは当時的な目で見れば失敗?セールス的には1、2作に遠く及ばず、4作目では1~2作目に回帰、さらにこのアルバムとは正反対のテイストを加えることでシングルが全米1位、2位、10位、アルバムもビルボード4位という最大のヒット作“TOTO IV ~聖なる剣”
を出し、当時はcybercatも「このアルバムは『違った』な」と思った。
でもTOTOはこのあとメンバーチェンジを繰り返し、初期のサウンドの核だったツインキーボードDavid Paich+Steve Porcaroの体制が崩れ、チームリーダーJeffの亡き後Steve Lukatherがリーダーを取り、一時Bobbyの離脱時にはメインボーカルまで担当して、最終期はTOTO=Steve Lukather中心のバンドとなっていった。
不動のメンバーの時代に急激にギターバンドに舵を切った本作は当時では違和感あったけれど、今聴くとむしろ後期TOTOに通じるモノがある。そうして改めて聴くと曲の良さもすんなりと入ってくる。
時間を置くことで、自分が素直に作品に向き合え、真価がわかったアルバムです。
【収録曲】
1. Gift With A Golden Gun
2. English Eyes
3. Live For Today
4. A Million Miles Away
5. Goodbye Elenore
6. I Think I Could Stand You Forever
7. Turn Back
8. If It's The Last Night
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購入金額
2,800円
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購入日
1988年頃
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購入場所
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