レビューメディア「ジグソー」

「洋楽」への扉を開いた作品

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。 日本での人気とアメリカ本国での人気が合致していないバンドがあります。日本人は「技に惚れる」傾向にあり、高い演奏力を持ったバンドはそれだけで評価されますし、ジャンルに寛容なので多彩な音楽性を持つバンドを容認する傾向があります。一方、アメリカでは歌詞のメッセージ性が重視されたりスター性が必要だったりで、必ずしも職人集団は評価されませんし、色々な音楽性を内包する=カテゴライズできないということであまり歓迎されません。本国よりも日本で先に火がついた職人集団のファーストアルバムをご紹介します。

TOTO。一度解散宣言をしながらも、現在も活動を続けるバンド。もともとBoz Scaggsの超名作、AORの輝ける金字塔であるアルバム、“Silk Degrees”

のレコーディング/ツアーメンバーが母体となっているが、実際にはロスで昔から親交のあったスゴ腕スタジオミュージシャンが集まった形ともいえる。そのスタジオミュージシャンというメンバーの生い立ちからか音楽性はバラエティに富み、AORを中心としながらもハードロック~プログレ~ポップス~ファンク~フュージョン~ジャズと曲ごとに万華鏡のように新たな局面を見せ、魅せる。

これは彼らのファーストアルバム。日本盤にはそのジャケット(TとOを組み合わせたと言われる剣の紋章のような)デザインから“宇宙の騎士”と大上段なタイトルがついているが、元題はシンプルに“TOTO”。
黄金期メンバー。TOTOというとこの剣のモチーフが何度も使われた。
黄金期メンバー。TOTOというとこの剣のモチーフが何度も使われた。
このときのメンバーは
・David Paich:キーボード、ヴォーカル
・Jeff Porcaro:ドラムス
・Steve Lukather:ギター、ヴォーカル
・Bobby Kimball:ヴォーカル
・Steve Porcaro:キーボード
・David Hungate:ベース
の6人。最大のヒット作“Ⅳ”

の制作時まで続くこのメンツが、やはり黄金期メンバーか。その後David Paichは現在でもバンドにとどまるが、一時期レコーディングのみでツアーには帯同せず半身引いたような関わり方に、名ドラマーJeff Porcaroは8作目の“Kingdom of Desire”完成後若くして死去、Bobby Kimballは“Ⅳ”に続く“ISOLATION”

の制作途中に離脱、一時期(“Mind Fields”~“Falling in Between”)までは戻っていたが、現時点では再離脱。Steve Porcaroは“Fahrenheit”

で正メンバーから外れ、サポートメンバー扱いになったが現時点では返り咲き、David Hungateは“Ⅳ”で脱退とこのメンバーは頂点を極めた“Ⅳ”以降かなり出入りがあって、デビュー時点から全期間通しで在籍するのはギタリストのSteve Lukatherだけという状態だが、基礎を築いたこの作品から4作は不動だった。

その後のTOTOを象徴する多彩で、テクニカルで、でも聴きやすい作品が並んでいる。

「Child's Anthem」。TOTOで最初に聴いた曲。ラジオの特集でアルバム1曲目のこれから始まり、ヴォーカルレスの変拍子風の符割り、クラシカルなヴォイシング...当時プログレなんか識らなかったので、すんごいクラシカルなアプローチのロックもあるんだと...次の「I'll Supply The Love」のあっけらか~んとした16ビートのアメリカンロックとの落差にやられたり。

「Georgy Porgy」。先に「DISCO VERSION」をご紹介したが

こちらがオリジナル。二つ打ち16ビートのこの曲はDavid Hungateのファンキィな薫りするベースラインが秀逸。最初に聴いた当時まだドラムは始めてなかったが、この曲が「ベースラインを聴く」ということを教えてくれた。この盤にはクレジットがないので不思議に思っていたが、その後このサビの所のソウルフルな女声ボーカルはCheryl Lynnと識る。

「You Are The Flower」。このアルバムからシングルカットされたのは「Hold the Line」、「I'll Supply the Love」、「Georgy Porgy」、「Rockmaker」だか、そうならなかった曲にも捨て曲がない。シブイこの曲はTOTOのロック一辺倒でない懐の深さが見える、出色のソウルロック。粘るボーカルにフルート、という意外な音色が挟まれる、フュージョン系の薫りもある複雑な曲。

クラシック、アメリカンロック、プログレ、ソウル、ファンク、バラード.....よくも詰め込んだり。
彼らの懐の深さを識ったcybercatはこのアルバム(当時アナログ盤)で、それまでThe Beatlesくらいしか識らなかった洋楽の扉を開くことになる。

想い出の一枚です。

【収録曲】
1. Child's Anthem (子供の凱歌)
2. I'll Supply The Love (愛する君に)
3. Georgy Porgy
4. Manuela Run
5. You Are The Flower
6. Girl Goodbye
7. Takin' It Back (ふりだしの恋)
8. Rockmaker
9. Hold The Line
10. Angela

「You Are The Flower」

  • 購入金額

    2,800円

  • 購入日

    1988年頃

  • 購入場所

23人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • アイヴァーンさん

    2015/01/17

    (全然関係ないのですが)テッカマン!?と思ったオサ~ン(*´ω`*)
  • cybercatさん

    2015/01/17

    鉄火饅…もといテッカマン!
    なつかしー
    あれってヤマト時代ですよね。

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