ThinkPad X100eの直接の後継機、ThinkPad X120eです。
先代X100eは、2001年のs30以来の12インチサイズ以下のモバイルThinkPadと言う事で、正式発表前からかなり話題となりました。ThinkPad Edgeシリーズと同時期に発表され、双方共にThinkPadでは初の6段アイソレーションキーボードを搭載しました。
ThinkPad伝統の黒に加え、白と赤というカラーバリエーションを作り、そのカジュアルなスタイルを売りにして、コンシューマー、特にビジネスPCとは無縁な層をターゲットにしたモデルです。そのため、当時は店頭で見かけるThinkPadの殆どはこのX100eとEdgeシリーズでした。
さらに、ThinkPadとしてはK6シリーズ以来のAMDのCPUを搭載。安い価格を追求しています。
調べると、当時K6を積んでいたのは同じくコンシューマー向けを狙ったiシリーズという事で、昔も今も変わらない事情が見えます。
グラフィックには780Gチップセット内蔵のRadeon HD3200を使っているため、グラフィック性能はなんと初代Core iシリーズと比べても遜色ありません。
そんなX100eの後継機のX120eですが、このモデルは日本では販売されていません。
日本ではCore i3を搭載したEdge11"という、ほぼ同一筐体のモデルが販売されていました。これは、X100eが出てかなり経ってから販売されたので、その後にまたX120eを出すのは得策でないとなり、Edge11"が販売されている国ではX120eを販売しないという事になったのです。
しかし、物好きはいるもので、X120eをわざわざアメリカから個人輸入する人が続出しました。そのため、USレノボがいくつかの転送業者にはX120eを販売しない、という事態にまで発展しました。
それでも、かなりの台数が日本に渡り、これはその1台です。
と言っても、自分が輸入したわけではなく、ヤフオクで購入しました。リファブリッシュ品(初期不良品を修理したもの)の、さらに中古品ですが、2週間しか使用していないと言う事で、状態は良いです。
アメリカから来たという事で、当然キーボードはUS配列、OSも英語版が入っています。USキーボードについては大歓迎ですが、英語版OSは特にメリットが無いので、言語パックを落としてきて日本語化しています。
先代と同じくAMDのCPUを搭載しています。このモデルはE-240というシングルコア 1.5GHzのCPUですが、GPUがCPU内蔵のRadeon HD6310となった事で、グラフィック性能は先代比65%アップとされています。そのため、エクスペリエンスインデックス上で、グラフィック性能がCPU性能の倍近くあるという、ノートPCとしては稀な存在となっています。
性能を列挙してみましょう。
CPU:AMD E-240 1.5GHz(L2 512KB)
メモリ:DDR3-1066 4GB(2GBx2)
グラフィック:Radeon HD6310(CPU内蔵)
ディスプレイ:11.6インチワイド液晶(1366x768)
OS:Windows7 HomePremium 64Bit
CPUが変わったことに加え、排気系も改善され、X100eの最大の欠点であった熱問題は完全に解消されています。先代は夏場に使うのを躊躇うような熱でしたが、X120eは布団の上で使っても冷え冷えです。
また、自分の物としては初めてのWindows7であるのですが、同時に初めての64Bit OSでもあります。と言うわけで、メモリはしっかりと4GB(2GBx2、エルピーダ製)積んでいます。
軽量な3セルバッテリーが搭載されているので、重量は1.3Kgほど。省電力設定をしっかりとすれば3時間近く使えそうです。これは、X100eの6セルと同じくらいの時間の気がします。
ところで、何故このようなキワモノを購入したのかというと、1年半ほど前に先代のX100eをレビューする機会があり、その時に、安いのにちゃんと作ってあるなぁ、と感心したのが一つ。
日本でのX100e/Edge 11"の後継機、X121eは、普通のネットブックにトラックポイントが付いているようなデザインになってしまったのが一つ。
後は、バッテリーの使えるちっこいのが欲しかった、というぐらいですかね。
実際、品質は5万円クラスのミニノートとは考えられない程良いと思います。筐体・キーボードはしっかりと作ってあり、他のThinkPadと同じく、大和研究所での数々の拷問試験をクリアしています。また、X100eには付いていないHDMIポートを装備しています。もちろん、D-SUB15ピンは健在です。
天板のレノボロゴが無いという、2010年のThinkPadの特徴や、液晶が180度開く点などは、しっかりと引き継がれています。(X121eは180度開かない)
また、これはThinkPadらしいと言うよりは、最近のノートPCの特徴ですが、裏面のネジを3本取るだけでHDD、メモリ、mini PCIeにアクセスできるようになっています。
キーボードについて、もう少し詳しく。アイソレーションキーボードの特徴を生かし、高い剛性を持っています。確かに真ん中あたりは若干たわみますが、許容範囲でしょう。薄型化のためにストローク量が通常よりも0.5mm削られ、2.0mmとなっていますが、言われなければ分かりませんね。適度なクリック感と、高い剛性によって心地良い底打ち感が得られます。600系の打鍵感とはまた異なる味ですね。
X120eは、カクッと入ってガツンと止まるという感じですが、600のそれはスッと入ってシトッと止まるという感じです。(だれも分からないかも)
ただ、このキーはぐらつきがほとんど無いという、600を越える特徴を持っています。
実際のところは、このような長文を打つと指先が少しつらくなりますが、打鍵感としては完成されていると思います。指先がつらくなるのは、僕の大好きなバックリングスプリングキーボードも同じですしね。
唯一、不満があるとすれば、CPUの性能が思ったほど良くない・・・と言う事ではなく、X100eであったカラバリが無くなってしまった事です。以前レビューしたX100eは白で、閉めると全面白、でも開けると伝統の黒と赤が出てくるという、脱ぐとすごいのよ的なデザインで、僕はすごく気に入っていたのですが、X120eはいつも通りの黒のみです。HDMIポートが追加された事でUSBポートが移動した事と、排気口が大きくなった事で、X100eの外装を流用するという事は実質不可能です。法人向けに白が存在するようですが、これはさらに希少なので難しいでしょう。
というわけで、UltraBookやスマートフォンによって駆逐されつつあるクラスですが、適度に小さくて、しかも安いという特徴を持っているので、まだまだ捨てたものではないと思います。
さらに、このX120e(100eも)は、クラス最高峰のキーボードを持っていると思うので、人にすすめられるパソコンに仕上がっています。
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購入金額
30,000円
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購入日
2012年04月09日
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購入場所
ヤフーオークション
Manyaさん
2012/04/19
小さいマシンだと尚の事、その差が出てきますが、
写真で見ているだけでも打ちやすそうですね♪
名湯さん
2012/04/19
キーピッチだけでなく、打ち心地も申し分ないですよ。