レビューメディア「ジグソー」

彼がやりたかったこと

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。複数の系統の違った楽器を操る才人がいます。そんなプレイヤーのCOOLな演奏が聴ける作品をご紹介します。

青柳誠。NANIWA EXPRESS

のキーボード兼サキソフォニスト。そう、同グループでのデビュー当初はどちらかと言えば担当はサックス。サックスは単音楽器のため、他の楽器がソロを取るときに(やることないので)キーボードを弾いている、という風情だった。同じグループに正(?)キーボーディスト、中村建治もいたし。

それが同グループ活動休止直前のあたりになると、徐々にキーボードの比率を増やし、以前サックスでソロを取っていた曲もキーボードソロに置き換えていた。

後にインタビュー記事を読んだら、「頭の中で鳴っている音を再現するには単音楽器(サックス)では限界がある」とのことで鍵盤楽器に傾倒していったよう。その後はまたサックスも吹くようになったけれど、この時期(2000年前後)は最もサックスから遠ざかっていた時期で、この作品も全編キーボード。

それを支えるのは妖怪水野正敏(ベース)

と「間」のドラマー、池長一美。
3人の個性が良く、出てマス
3人の個性が良く、出てマス

「Blue One」。池長のダイナミックなドラムのシンコペーションリズムで始まるイントロに続いて、青柳の饒舌でロマンチックなプレイが続く、耳に残るテーマだ。どジャズと違うのはストリングス風のキーボードのバッキングが入って、少しフュージョンの香りがすることか。途中の16小節に渡るフィルイン以上、ソロ未満のドラムとベースの見せ場がある。あ、ドラムはエンディングもオンビートソロでフェードアウトになだれ込むけどw

「Circle Beeds」。6/8のイメージで演られるミディアムチューン。リズムリードでなく、装飾に徹するドラムが「間」の池長か。妖怪水野のベースは指板に弦がバシバシ当たっている熱い演奏。でも青柳のピアノはあくまで流れるようだ。

「I'll Never Fall In Love Again」はロマンチックでダイナミックなピアノの調べと、かなり崩したリズム隊ではじまり、まるでジャズバーで演られるアドリブの嵐、という感じ。ピアノもスケールアウトしていくアグレッシヴなライン。

NANIWAの中でももっともジャジィなアプローチを魅せていた青柳の初リーダー作。やりたかったのはこういうヤツなのね、というのが見える作品。

酒を飲みながら聴きたい、でも酒をゆっくりとは飲ませてはくれないんだろうなwという感じで。

【収録曲】
1. Blue One
2. Circle Beeds
3. Sleepwood
4. Enokorogusa
5. Wives And Lovers
6. Eclogue
7. I'll Never Fall In Love Again
8. Third Scene
9. Only Tune
  • 購入金額

    3,045円

  • 購入日

    2002年頃

  • 購入場所

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