矢野沙織。1986年生まれのジャズサキソフォニスト。以前、ご紹介したのは弱冠16歳のときの1stだが、
これはその4年後、既存の4枚のアルバムに新録を加えたベスト。少女からオンナへと変身していく彼女の内面が音に現れている。
「Donna Lee」はCharlie Parkerの筆になるトランペットとユニゾンで疾走する小品。ハイスピードな4ビートで高揚感溢れる。沙織のサックスソロに続いて、Nicholas PaytonペットソロとMike Le Donneのオルガンソロが続く。前者は沙織の最後のフレーズをなぞるように始まるが、流れるようなサックスの運指と対照的なキレのよいペットのフレーズがキモチイイ~。最後のオルガンソロはコロコロとパーカッシヴなプレイが夏って感じ?
「Crazy He Calls Me」はMikeのブルージィなオルガンソロとPeter Bemsteinのファットなギターソロが泣かせるスローバラード。Carl Sigmanの“Crazy She Calls Me”が原曲だが、“Crazy He Calls Me”となっているのでBillie Holidayの女性バージョンに基づいている(といってもインストなので Billieが書き換えた詩の内容は関係ないけど)。女性の立場で吹いている、ということなのだろう。そんなオンナを感じさせるプレイもできるようになったワケ。
「How To Make A Pearl」は1stからだけど比べると若いね。軽やかだけど不安定なテーマを沙織が奏でると、ハイスピードなリズム隊と前のめりなピアノがぐいぐい引っ張っていく。ところどころにリムショットを交えたドラムのメリハリある演奏、8分音符でランニングするベースにのって沙織のプレイも弾けてる!ピアノソロはスケールアウトバリバリの緊張感溢れるもの。
あの時少女の心で感じたJAZZへの憧れ。海を渡った彼女は時を刻み、歳を経て女性の深さを感じさせるプレイになってきている。現在では結婚もした彼女はこのあと母性のブルースを奏でていくのか。
あの幼かった顔立ちの少女が、女性用ヘアケア製品のCFに自らのロングヘアーを晒して立つ(CF曲はこのアルバムに入っている「I&I」)。ひとりの女性の成長が見える、作品です。
【収録曲】
CD
1. Donna Lee (Charlie Parker)
2. 砂とスカート (Saori Yano)
3. Crazy He Calls Me (Carl Sigman & Bob Russell)
4. Rizlla (Saori Yano)
5. In A Sentimental Mood (Duke Ellington)
6. Manteca (Dizzy Gillespie)
7. I&I (Saori Yano)
8. Greenism (Saori Yano)
9. My Ideal (Richard A. Whiting & Newell Chase)
10. How To Make A Pearl (Saori Yano)
11. Lover Man (Roger Ram Ramirez & Jimmy Davis)
12. Tico Tico (Zequinha Abreu)
13. Open Mind (Takashi Matsunaga)
DVD
1. I&I (PV)
2. Greenism (PV)
3. I Got Rhythm (PV)
4. Rizlla (PV)
5. How To Make A Pearl (PV)
「Crazy He Calls Me」
Saori Yano Official Website
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購入金額
2,940円
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購入日
2012年頃
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購入場所
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