The Doobie Brothers。
ここでも紹介したがアメリカ(西海岸)を代表するアメリカンロックバンド。長寿バンドで幾多のメンバーチェンジの繰り返しと一時解散を挟みながら現在も活動を続けるが、最盛期は1970年から1982年の12年。しかしその12年の間でも1975年以前とそれより後では大きくカラーが異なる。
それはソングライター兼フロントマンの交替。初期はギタリストのThomas(Tom) Johnstonの野性味溢れるサザンロック系ハードナンバーとフォーク/カントリー調のアコースティックナンバーがファンキーなリズムに乗るというカラー。これが1975年以降はTomの健康上の理由により加入したキーボーディストMichael McDonaldの洗練されたコード進行と美しいコーラスをもつ都会的なAORカラーに変身する。もともとMichaelは当時としては先鋭的な音楽ユニットSteely Dan
にいたため泥臭いエネルギー溢れるロックではなく、インテリな作風が身上。声もTomのパワー溢れるカントリー風のだみ声からMichaelのブルーアイドソウルと言われるファルセットを多用する歌唱法。
懐が深いThe Doobie Brothersといってもこの激変を消化するには数作かかったが、Tomがツアー同行しなくなって影響力が薄れてMichaelのカラーが定着したこのアルバムで全米1位を獲得する。ファンキーなでもソフィスティケイトされた曲達で、とりあえず最初の3曲は「ネ申」。
「Here To Love You」は2拍目を喰う(16分音符で4つ目)スネアと4拍目のタムが印象的な粋な曲。ピアノのR&B色強いコード弾きが特徴的な曲。ギターはミュートカッティング程度しか出てこず、アルバムの出だしからしてディストーションの効いたエレギのコードワーク中心のTom時代とは明らかに異なる。
「What A Fool Believes」はシングルとしても1位に輝いたコーラスの美しい曲。ファセットコーラス多用で「ザ・AOR」だ。今となってはカワイイともいえる「シンセサイザ~」丸出しの音色によるキーボードアルペジオが70年代。
「Minute By Minute」はエレピの凝ったリズムのイントロから、6/8のスローロックに行く。間奏に行く前のキメ、エレピ中心が一転ギターソロになりその後のブリッジではMichaelがソウルフルに歌う。コード進行がひねってある「考えられた」曲。
もちろんTomが参加した「Don't Stop to Watch the Wheels」の様な若干泥臭さ汗臭さを感じるロックや、「Steamer Lane Breakdown」のようにバンジョーやフィドル(ヴァイオリン)が使われたカントリーチックなインスト曲もあり、懐の深さを見せるが、やはりかなり都会的になった事は事実。この作品は古くからのファンには大論争を巻き起こした。
しかし、ライヴでやると、このあたりのAOR系楽曲とTom時代の「Long Train Runnin'」や「China Grove」が一緒に演奏されても違和感があまりない。このバンドはメンバーチェンジも多かったが、新旧メンバーが仲良く、脱退後もツアーに同行したり、再加入したり、ソロアルバムに参加したりと争いがない。この違いを受け入れる懐の深さが、Doobiesの最大の特徴だったかも、しれません。
例によってAmazonは試聴ファイルのあるSHM-CD盤に繋いでいますが、自分の持つのは初CD化あたりの盤です。
【収録曲】()内邦題
1. Here To Love You
2. What A Fool Believes (ある愚か者の場合)
3. Minute By Minute
4. Dependin' On You
5. Don't Stop To Watch The Wheels (轍を見つめて)
6. Open Your Eyes
7. Sweet Feelin'
8. Steamer Lane Breakdown
9. You Never Change
10. How Do The Fools Survive?
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購入金額
2,000円
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購入日
1988年頃
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購入場所
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