DIMENSION。現代日本を代表するフュージョンバンド。キーボードの小野塚晃、サックスの勝田一樹とギターの増崎孝司の3人構成。ここにベースとドラムがゲストとして加わる。上物のみの三人組。ここ
にも書いたけど、出会いは結構古く、1997年はじめ。つまりこのアルバム。このアルバムに入っているTOTOの名曲「Georgy Porgy」に興味を持って聴いてみた。すると、イイ、いいんだよね~。いいんだけどね......実はそのときはあまり印象に残らなかった。
・確かなテクニックに裏打ちされて安心して聴ける。
・原曲のイメージを壊さない、王道のアレンジ。
・かといってインストであることの優位性はきちんと出してダイナミックレンジは広い。
とケチを付けるところがない。
他の曲も佳曲揃いで、平均点は高い。
でもそのときはガツンと来るものがなかった。
アルバム全体のカラーは、爪を隠したオオカミといった形で、テクニックはあるんだけどそれを表に出すのではなく、サックス中心にAORカラーでまとまっている。それは曲順にも顕れている。
普通の構成なら出だしに来そうな、キャッチーでリズムがたった「Daydream」でなく「It's Not All Truth」をオープニングに持ってきた。アコギのアルペジオで導入され、勝田のソプラノが歌う。叙情豊かな出だしなんだけど、フュージョンイコールテクニック、みたいに感じてた当時の自分は少し物足りなかった。
んで、次作の「Ninth Dimension "I is 9th"」を聴いて開眼する。そして彼らの他の曲を知ってからもう一度このアルバムの曲を聴き直すと...
いいんだなこれが。
味がある。
バリバリテクニックの刀で袈裟斬りにされた後聴くと、彼らの懐の深さに気づく。
このアルバムは清涼剤なんだと。
実はそのはず。これは「月刊DIMENSION」として3ヶ月連続でアルバムをリリースした連作の最後のひとつ。残り2枚はテンションノートバリバリの高速チューン「Cricket Smorker」を擁す“SEVENTH DIMENSION”とライブアルバム=“Sixth Dimension"LIVE"”。3枚で一組と考えた場合、1枚は場の緊迫感、後一枚は曲としての緊張感を出すのに力を入れてるので、このアルバムは担当が「静」。通して聴くとストンと心に入ってくる。
「Daydream」本来ならオープニングを獲れる曲。ピアノのコードカッティングに続いて、ギターの気持ちよい歪み音のメロディ。勝田のサックスソロは歌う歌う。チョッパーの硬い音で抜群のスローグルーヴを作り出してるのは故青木智仁!
注目の「Georgy Porgy」は一見(一聴?)オリジナルに忠実だが、アタマを少し欠けさせた旋律は不安定さを増し、記憶に残る。サビの部分のサックスのかっちりしたプレイと、Steve Lukatherばりのギターソロを聴かせるブリッジ部分、エンディング前は今度はギターがフェイザーを効かせたカチっとしたカッティングで迫り、サックスは崩しながら迫る。
続く「Stella」は壮大なバラードで、サックスの勝田が吹くロングトーンは一聴の価値あり!!
彼らの特徴の一つである超絶テクニックの曲こそありませんが、噛めば噛むほど味が出る、するめのような、作品です。
【収録曲】
1. It's Not All Truth
2. Dear You
3. Daydream
4. Goodbye Girl
5. Kindness
6. Georgy Porgy
7. Stella
8. Into Your Heaven
9. Blue Moo
その(Georgy Porgy)
Dimension Official Web Site
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購入金額
3,000円
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購入日
1998年頃
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購入場所
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