レビューメディア「ジグソー」

石ノ森章太郎が紡ぎだす無情の世界

私が小学生の時分に、東京に住んでいた母方の祖父ちゃんが買ってくれた。
たしか手塚治虫の「バンパイア」や「ミクロイドS」なんかと一緒に送ってもらったような気がする。
「ブラックジャック」や「火の鳥」などの殆どが、祖父ちゃんからのものだった。
中学生頃になると送ってくるヒーローものが時代小説に変わった。
もらった池波正太郎や柴田練三郎の本(おかげでその頃の私のヒーローといえば眠狂四郎)に夢中になってはまり込む私を見て、父親が「祖父さんも困ったもんだ・・・」と苦々しげにもらしていた記憶が残っている。

「キカイダー」や「仮面ライダー」、「009」を再び読み始めてこちらも購入。
思えば漫画を読むことは本当に久しぶりだった。高校生の時に友人の持ち物を借りて読んだりしたことはあったのだが、買ってまで読むことって小学生以来かもしれない。

物語は江戸時代。忍びの世界が舞台である。
父を殺された主人公ハヤテが成長し、旅をしながら仇を取る復讐譚。
ハヤテは嵐という鳥人に化身(変身)する秘伝を父から授けられている。
敵は魔神斎率いる悪の組織である化身忍群「血車党」。ハヤテの父もかつては「血車党」に属していた忍びである。
「仮面ライダー」の世界を江戸時代に置き換えたものといってもいい。
ほぼ一話完結型のストーリーなのだが、物語の随所に「鍋島家猫騒動」や「葛の葉狐」、「小栗判官伝説」、そして中島敦の「山月記」などの話しが巧い具合に織り込まれておりめっぽう面白い。
敵である化身忍者たちにもそれぞれに悲哀の物語があって、単純な勧善懲悪モノとは一線を画している。そしてお約束の壮絶な結末。
ストーリーはもとより画もまた素晴らしい。
CIMG7874.JPG
CIMG7874.JPG
  • 購入金額

    660円

  • 購入日

    2011年07月24日

  • 購入場所

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (9)

  • お富さん

    2011/07/24

    や、やばいっ!また読みたいっ!
    と・・いうか、買っちゃおう〜〜(笑)
  • vingt-et-unさん

    2011/07/24

    ここ最近、本屋の石ノ森コーナーや手塚コーナーに行くたびに

    >や、やばいっ!また読みたいっ!

    ってなっちゃいます(笑)
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