レビューメディア「ジグソー」

バランスのいい簡易水冷(しかし用途がおかしい)

CORSAIR製の簡易水冷。同社製の簡易水冷はコレを書いている時点で4種販売されており、これは下から2番目。リンクスさんからもらったパンフレットを元にざっと整理すると…

●H40(CW-9060001-WW)…最廉価モデル。何故か型番が別物。
 ラジエーター…12cm薄型(H60と共通) / CPUベース…丸型・アルミニウム
 水冷チューブ…ゴム / FAN…2000rpm 3pin(標準1/最大2)

○CWCH60…たぶん標準といえるモデル。上位にある3段ファンコン機能無し。
 ラジエーター…12cm薄型(H40と共通) / CPUベース…角型・銅
 チューブ…プラスチック / FAN…最大1700rpm 4pin(標準1/最大2)

●CWCH80…厚型ラジエータにサンドイッチのデュアルファン。ファンコン機能付き。
 ラジエーター…12cm厚型 / CPUベース…角型・銅・ファンコン・ファン給電端子付き
 チューブ…プラスチック / FAN…1300・2000・2300rpm 3pin (標準2/最大2)

●CWCH100…2つの12cmファンを並べた大型ラジエータ搭載モデル。ファンコン機能付き。
 ラジエーター…12cm厚型 / CPUベース…角型・銅・ファンコン・ファン給電端子付き
 チューブ…プラスチック / FAN…1300・2000・2300rpm 3pin (標準2/最大4)

というラインナップ。H40のスペックならより安いScythe製等が選択肢に入ってくるしH60との価格差もさほど大きくない。一方H80はコントロール機能等より拘る人向け。H100に至っては装着できるケースを選ぶ。ファンも一般的な4pin PWMを持ち、CORSAIR水冷の中で最も扱いやすいモデルがこのH60と言えるだろう。
実物&取り付け
実物&取り付け

ポンプ&ヘッド部
ポンプ&ヘッド部

ヘッド一体型ポンプはご覧の通り薄く、それ自体の重量も大したことがない。対応ソケットもIntelなら775/1156&1155/1366/2011と一通り揃っているが、2011のみ製造時期によって非対応品があるらしいので要パッケージ確認。もちろんAMDならAM2~AM3+&FM1までの安心設計。手前にある「コ」の字型の部品がAMD&Intelでの差し替えパーツ。

ホースがプラ製で、ホース潰れによる水流停止は無いものの、その分取り回しは硬めで取り付けできるパターンは限られる。事前にラジエーターとポンプの向きをしっかり確認してからの装着がいいだろう。
インテル1155系環境ならヘッドの向きを4方向自由に固定できるのだが、AMD環境だと純正リテンション流用なので2方向に限定される点にも注意。

まず動作確認としてP183-MSI&P8Z68-V PROの(我が家にしては)一般的構成でいってみよう。




装着方法は説明書に従えばまずラジエーターをケースに固定し、その後水冷ヘッドを固定するようになっている。
黒くて判り難いが土台ネジ装着状態
黒くて判り難いが土台ネジ装着状態

2011以外のインテルソケットの場合、バックパネルを使用してネジ止めすることになるのだが、バックパネルと土台ネジのみを固定できるので、マザーに土台を設置→ケースに収める→ラジエーター装着→ポンプ装着とやれば、メンテナンスホールの無いケースでも設置は容易だ。
但しサイズ製空冷クーラー等と異なり、穴位置がフリーダムなのでズレないように注意。まあポンプ自体は軽くて取り付けやすい。

AMD環境なら純正リテンションに金具をはめ込むだけなので変な話リテールより簡単だ。先述の通り向きが限られるのが残念だが。


さて、ラジエーターの固定はケースの外側から専用の長ネジを使い、ファンのネジ穴を貫通してラジエーターに締めていくカタチ。当然ながら12cmケースファンが搭載できないケースでは装着できない。
搭載例
搭載例

ファンの向きは問わず、サンドイッチ型のデュアルファン構造にする事もできるのだが、ネジは標準で4本しか付属しない。ネジを追加で購入(純正品ならリンクスアウトレットで500円)することになるが、それをやるなら最初からCWCH80を購入したほうがいいかもしれない。

さて、まともに情報をチェックしないで買ってしまったのだが、ちょっとした…それでいて盛大な罠がある。この専用の長ネジ、ネジの頭が結構外側に張り出すのだ。なんとこれのせいで…P183のサイドパネルが閉まらない!
ネジがっ
ネジがっ

CWCH60装着時の写真を撮り忘れてしまったので通常のテーパーネジでの写真だが、P183のサイドパネルはケースファン固定用のテーパーネジに覆いかぶさるようにして装着される。つまりこのCWCH60の頭がでかい長ネジだとサイドパネルが閉まりきらず、ビミョーに隙間ができてしまう。この状態だとサイドパネル固定ツメがちょっとだけひっかかる程度なので最悪サイドパネル固定ツメを破損してしまう可能性もある。代わりのネジを探すか、サイドパネルの干渉部分を削り取る等の作業が必要だ。

ちなみにトップファンも固定方法が特殊なのでラジエーター装着不可。あと望みがあるのはフロント&3.5インチベイの代わりに装着する内部ファンだが、内部ファンはクリップ固定方式なのでやはりうまくつけられない。そしてフロントファンまでひっぱるとホース長がシビア。

…まあ、今回P183に搭載しようとしたのは動作テスト的な感じだったので、背面装着&サイドパネル緩め固定で動かしてみる。

さすがにi7 2700Kの定格なら余裕で冷やしきる。また空冷クーラーと違って温度変化が緩やかなので、高付加→即高回転という訳ではない。なので断続的な負荷なら更なる静音性能が期待できるだろう。少なくともSandy系のCPUなら極端なOCでもしない限り、このH60の冷却性能で十分以上にカバーできそうだ。

但し同等のファン回転数で冷やしきれる空冷クーラーがあるのなら、そちらの方が構造も単純だし音も大差無い…というかポンプが無い分静か。今回は元々付いていたのがファンレスでケースファンで冷やすオロチだったので、むしろポンプ分余計な音が増えてしまうことになったのだ。まあ、比較対象が極端すぎる。



静音と冷却性能のバランスがいいアイテムなのは間違い無く、大型空冷クーラーと比べてラジエータの装着位置さえ決まれば干渉も少なく扱いやすい。
しかし「騒音は気にせずOC状態における極端な冷却性能」「超静音PCにおける極端な静音性能」を狙うならやはりそれぞれに特化した別製品(空冷含)に部がありそうだ。しかしミドルハイクラスのCPUを静かに、軽くOC状態で常用するという用途になら、静音と冷却力のバランスを遺憾なく発揮してくれるだろう。

以下まったく持ってゲテモノな実使用編
以下まったく持ってゲテモノな実使用編

まあまともな内容はここまでだ。「本来の目的」はコイツダッ!


VAIO J15/HP d330ST/AntecP183(地味モード)
VAIO J15/HP d330ST/AntecP183(地味モード)

P183と比べると最早ミニチュアに見える程コンパクトなVAIO J15のATX電源化。
本来の電源位置&サイズ(青部分)
本来の電源位置&サイズ(青部分)


マザーの真上に電源が!
マザーの真上に電源が!


ニブラーの時に書いたように、本来SFX電源のあるべき位置にATX電源を装着してしまったので、CPU周りの高さの余裕がまるでなくなっている。こうなると超ローハイトなクーラー(小槌など)に頼るのが普通なのだが、ここはあえてCPU周りがポンプ&ヘッドだけで済む簡易水冷で遊んでみようという訳だ。

内部は元々Duron800MHzだったが現在は890GXにPhenomII X3とそれなりに発熱のある構成だ。



しかし当然VAIO筺体に12cmファン…いや元々SFX電源の排気が唯一のコンパクト筺体なのでケースファンという概念すら存在しない。いったいどこにラジエーターをぶち込むんだ。
ラジエーターつったらフロントだろ!!(車じゃねえって)
ラジエーターつったらフロントだろ!!(車じゃねえって)


元々ケース内を負圧にして、フロント下部の吸気口から空気を流す構造になっている。今回はそこの開口部を増やし、吸気口→ラジエーター→ファンによる吸出しという構造にした。なぜファンとラジエーターの順番を逆にしてファンを吹きつけにしないんだって?
ピッタリ
ピッタリ

…ファンよりラジエーターの幅が広いからその張り出しをマザーとフロントパネルの間にはめ込むようにしないと収まらないんだよ!!
ファン&ラジエータによりマザーボードのSATA2つとファン1つのコネクタが使用不可能になるが、まだ使えるポートは残っているので大丈夫だ問題ない。ちなみに側面緑色のテープはサイドパネルを付ける時にパネルのツメでラジエーターに傷をつけないようにする為。

ちなみにこのラジエータを設置したフロント部分、本来は3.5インチHDDを2台搭載できるマウンタが位置する。元々このHDDマウンタは共振が酷いのではずす事に躊躇いはなかったのだが…当然HDDの居場所がなくなる。
SSDなら自由が効くが今回は3.5インチHDDのママ。拡張スロット2つを潰し、別のケースから分捕った3.5インチHDD用土台を貼り付けて仮運用。やっつけ設置電源が無くなったのに結局やっつけ設置HDDがそこにくるのかよ。

しかしこれでは明らかに排気不足。電源ユニットのゆるゆる排気と、吸気口が限られるとはいえCPUファンによる吸気ではバランスが悪く、ケース内がほっこりする可能性大だ。そこで登場するのがブラケット搭載用ブロアファン。ついでにやっつけ設置HDDを押さえ込む役割もある。

これでケース下部からも排気する事で、ラジエーターからばら撒かれた風を吸い出す訳だ。
もちろん電源側からも排気されるが、電源がマザーギリギリ位置になった副作用で、本来水冷化によって疎かになるチップセット&電源フェーズの熱を排気してくれるというステキ機能もついたぞ!
最終的な内部配置
最終的な内部配置

窒息しかけの吸出し構造と狭いケース。こんな悪条件でありながら、PhenomII X3 700eの温度はPrime95回しっぱなしにしようがネトゲで放置しようが40度以下を維持、温度が低いのでファンコントロールも1000rpmから変化せず、よっぽど電源&ブラケットファンの方がうるさい。

確かにTDP65Wと低発熱なCPUを使っているとはいえ、この悪条件でここまで安定するとはお見事だ。一般的な使い方なら大半のCPUを静かに冷やせる証拠だろう。

空冷クーラーと同じように気軽に導入できながら、CPU周りがポンプだけになることにより、空冷クーラーではやれなかったような配置も可能性を見出してくれる。簡易水冷の1つの楽しみ方…かもしれない。

まあ外観はWinMe時代のまんまですが
まあ外観はWinMe時代のまんまですが


※今回CWCH60とニブラーにはっきり言ってあまり関係ないVAIO改造内容を長々と書いてしまったので、それぞれの内容は後日VAIO本体のレビューに移植してこちらはダイジェスト程度にする予定です。
  • 購入金額

    7,500円

  • 購入日

    2012年05月頃

  • 購入場所

コメント (11)

  • ヒロ妨さん

    2012/06/08

    CWCH50とH70は、
    バックプレートの取り付けで苦労しましたが、こちらは問題無く装着できましたか?
  • sakさん

    2012/06/08

    >※~
    別にこれで良いと思いますよ?
    ものリンクでPCからこれやニブラにリンクさせると良いかもですね

    しかしよくやったわ…  COOL!
  • 下小川さん

    2012/06/08

    バックパネルはこんな感じの×型で、ネジ穴位置のずらしで少々手間取りますが、穴位置さえあわせればカポっとマザーの穴にはまるようになるので、そしたら手回しで土台用のネジを手回しで回しこむだけなのでかなり簡単な部類ですね。
    メンテナンスホールの無いケースでも、土台ネジ4本さえつければ、後はマザーボードをケースに入れて作業ができますし、旧製品からはやはり改良されているようです。

    >※
    ありがとうございます、確かに本体からリンクさせて概要を書いてPC本体側にダイジェストでもいいですね。どちらにせよVAIO本体記事は前のやっつけ改造状態のままなので、後半大幅に書き換える事になるんですが。

    これでこのVAIO、夏も安心Coolです!
    実は以前の後部開放状態だとうまくフロントから吸気されず、ケース前方とチップセットがかなり熱くなってしまい、結果的にファン回転数を上げてフォロー→爆音になってたんですよね。今回はラジエータの熱が入るとはいえ、前から後ろに空気の流れができたので夏場もなんとかなりそうです。
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