Hearty Notes...
これをCASIOPEAの「1枚」として登録するんだから、私もよほどへそ曲がりだな。
CASIOPEAは現時点(2011年3月現在)では活動休止中のかつての日本を代表するフュージョンバンド。
1970年代末の活動開始で、THE SQUARE(のちのT-SQUARE)や先にご紹介したナニワエキスプレスとともに「フュージョン」というジャンルを固定化した世代。
代表的な曲はASAYAKEで、2ndアルバムの初出から何度も再録されているがライブベストアルバムである「Mint Jams」バージョンが名高い。このときのメンバーは、オリジナルメンバーであるギター野呂一生、キーボード向谷実、ベースの櫻井哲夫に3作目から参加のドラム神保彰を加えた黄金期メンバー。プレーも若さあふれるエネルギーとライブアルバムなのにほとんどすべてのオーディエンスノイズを殺し、積極的なアフターレコーディングエフェクトをいれたことでスタジオアルバム級のクオリティーに仕上がり、CASIOPEAのみならず「日本を代表するフュージョンアルバム」を選べばベスト3には必ず入るというもの。TVのドラマの挿入歌や天気予報のバックでこの分野に疎い人もぜってー1回は聞いたことがあると断言できるほどいろんなところで使われている。
..って、今回紹介のモノ以外で熱く語っちまったゼ。
当然(?)Mint Jamsも持ってますが、今回ご紹介はポスト黄金期のしかも異端アルバムHearty Notes。
CASIOPEAは前述の黄金期を過ぎて、フロント2人とリズム2人が分裂し、大きくグループとしてのまとまりを失った。「CASIOPEA」として残ったフロント2人がベースにナルチョこと鳴瀬喜博とドラムに熊谷徳明を迎えた後期安定期を迎えるがそのときの1枚(この安定期に入る前にドラムが一度メンバーチェンジしてます)。
でもこのアルバム、ファンのなかでも賛否両論なんだよね。
フュージョングループにもカラーがあって、T-SQUAREのロックス色が強いポップな曲調やナニワエキスプレスの力業でねじ伏せるブルージーで泥臭いエネルギーあふれる演奏に対して、CASIOPEAは確実なテクニックに裏打ちされたクールなグルーヴが特徴。それを表現するのは野呂一生のYAMAHA SGから奏でられるハムバッキングピックアップ独特の尖っていないシンのある音色と「向谷エレピ」として有名なYAMAHA DX7以来のきらびやかなシンセサイザーエレピの音。フロントのこの二つの音があって「あぁCASIOPEAだな」と分かる。
でもこのHearty Notesは「アンプラグド」アルバム。野呂のSGも向谷のシンセもなく、チョッパーの達人ナルチョでさえチョッパー封印のフレットレスベース使用。とっても「CASIOPEAらしくない」アルバム。もしCASIOPEAに興味をもって聴いてみるなら1枚目には勧めない(←そんなの紹介するなヨ)。
でもこのアルバム水戸黄門黄金パターンならぬ「CASIOPEA黄金パターン」を期待せず、フラットな気持ちで聴きこむとかなり良質なアルバムと判る。特に黄金期の曲の再録2曲がとてもイイ。2曲目のDazzlingが9枚目のPHOTOGRAPHSから、9曲目のMagic Rayが2ndのSuper Flightから選ばれているが、とくに前者のアレンジがCOOL!元曲はメンバーがスキャットでメロディーをとる異色の曲だが、当時を反映して音にもエレドラの効果音が入っており今聴くと少し古い感じ。向谷のシンセソロも定番な感じだが、曲調としてもローズかアコピでしっとりいってもらいたいと思っていたので、今回のアコピで効果音なしのバージョンはまさに「こっちの方がイイ~」。後者も元曲はフレットレスギターがフューチャーされた典型的なクールな初期カシオペアタッチの曲だが、アコギになったことで眠い感じのメロディーラインがスパニッシュなイメージになり元曲より遙かに良い。
この2曲のみが突出して良いのは、あとのこのアルバム用に書かれた曲と、あまたある初期名曲からアコースティックセットに適した曲を選別した質の差か(もしくはCASIOPEAというのはこの頃の曲調のイメージが強いということかもしれませんが)、この2曲だけが録音スタジオやレコーディングエンジニアが違うという外的要因か、わかりませんケド。
ちょっとヘンタイなセレクトです。
【収録曲】
1. Sweet Vision
2. Dazzling
3. Justice
4. Pleasure
5. Believe Again
6. Distance To Paradise
7. Sombrero
8. So Long
9. Magic Ray
10. Shinning Voyage
CASIOPEA Official Web
↑現在活動休止に伴い更新中断中。⇒2012年「CASOPEA 3rd」として活動再開
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購入金額
2,400円
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購入日
1994年頃
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購入場所
N-DRさん
2011/03/21
カシオペアというとスピード感のあるイメージがあったんだけど、こういうまったり聞けるアルバムもいいですね♪
cybercatさん
2011/03/21
>こういうまったり聞けるアルバムもいいですね♪
CASIOPEAお得意のスピード!キレ!シンコペーション!ユニゾン!って感じではなく、落ち着いて聞けます。
でもそこがファンにはイマイチなところなんでしょうが。
わたしゃ結構好きですが。