PC-9821Xt13/C12の場合には、配線が一部省略されたPCIスロットが1本用意されていて、これを通称「Millennium専用スロット」と呼んでいました。このスロットでは正常動作しないボードが数多くあり、後にVoodoo Bansheeを搭載するボードが発売されるまでは、確かにほぼ「Millennium専用」のスロットでした。
PC-9821で標準搭載されていたこの製品もMatroxから直接供給されていて、ボードも単売品とほぼ同等のものでした。ただ、通常のMillenniumでは175MHzのRAMDACが搭載されていたのに対して、PC-9821向けのものは135MHzのものにダウングレードされていました。型番ラベルも末尾に「/NEC」の文字が追加されていて、一応差別化されていたようです。
通常のPC/AT互換機向けのビデオカードは、VGA BIOSの干渉という問題がありPC-9800系に直接搭載することは出来なかったのですが、MillenniumではVGA BIOSをDIPスイッチで物理的に切り離すことが出来るよう設計されていたため、PC-9800系向けでもPC/AT互換機向けでも特に関係なく使うことが出来ました。このような設計のボードは、他には初期のNumber Nine製品などで見られましたが、Matroxの後継製品であるMillenniumIIを含め、これ以降の世代では殆ど見られなくなりました。
描画性能については、2D性能の高さと画質には定評がありました。もっとも、個人的には画質についてはNumber Nineの製品の方が好みでしたが。
その反面3D性能は壊滅的といって良く、ゲームで遊ぶためにVoodoo/Voodoo2やPowerVR(Matroxからもm3DというPowerVR搭載製品が発売されていました)を別途搭載するユーザーも少なからずいたようですが、PCIスロットの本数が少ないPC-9800系のPCではそれも難しく、3Dを諦めるなら使えるビデオカードという認識でした。
前述の通り、私も標準搭載品以外にも複数枚所有していましたが、結局Voodoo BansheeやSavage4などの製品と次々と入れ替え、最後には全く使われなくなった製品でした。1995年頃の製品ですから、むしろ2D性能の高さで納得するべきではあるのですが。
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