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HTTとSEE4.1,4.2を備えた中堅モデルを試す

発売当初から気になっていた32nmプロセスを採用したIntelのバリューセグメント向けGPU内蔵デュアルコアCPU「Core i3 530」を購入してみました。

先日Pentium G6950を購入したのですが、折線グラフマニアとしては4スレッド同時実行可能なHTTや動画エンコードの高速化の期待できるSEE4.1,4.2の実効率が気になってしまい我慢できずに購入してしまったという感じです(^-^;

Core i3-530は32nmプロセスで製造されるClarkdaleコアを採用したH55/57チップセットのLGA1156プラットフォーム向けのローエンドモデルです。デュアルコアCPUのCoer i3/i5シリーズのなかでは最下位モデル(Pentium G6950除く)となります。早速ベンチマークを計測してみましたのでレビューとして紹介したいと思います。


検証に使用したPCのパーツ構成は下記のとうりです。
ドライバーはオンボードGPUはマザーボード付属の物を使用しています。

<Clarkdale/LGA1156>
・CPU:Core i3-530 2.93GHz
・マザー:GIGABYTE GA-H55M-S2H (BIOS F2d) レビューはこちら
・メモリ:Patriot PSD34G1600KH(2GB)
・電源:Amacrox FreeEarth AX550-GLN (550W)
・OS:Windows XP Pro SP3

<CPUのクロック設定>
・定格:2.93MHz(Auto,BCLK133MHz,QPI Link 4.8GHz)
・OC:4.20MHz(1.300V,BCLK191MHz,QPI Link 4.58GHz)


●Clarkdaleコアとは
ClarkdaleコアはGPU機能を内蔵しているLGA1156(主にH55/57チップセット)向けのローエンド・デュアルコアCPU。GPUコアクロックは733MHzとPentium G6950の533MHzより200MHzほど差別化のためでしょうか高く設定されています。

GPU機能については内蔵といっても32nmで製造されたCPUコアと45nmで製造されたGPUコアの二つダイが一緒のパッケージに乗せられているという代物です。そのためGPUコアの消費電力は高いという検証結果もあるようです。


●Core i5シリーズからの変更点
今回購入したのはCore i3シリーズの最下位モデルです。Clarkdaleコアを採用した上位モデルCore i5-600シリーズからターボ・ブースト機能(TB)が削減されています。

TBはOCで十分カバーできるので不要ですのでお買い得感は高いと思います。

HTT(マルチスレッド対応アプリで効果あり)やSSE4.1,4.2(動画エンコードなどの処理の高速化が期待できる命令セット)などの機能も搭載されているので、Pentium G6950より高速なのではないかと期待しています。(実際のところは下記にベンチマークで検証しています。)


●オーバークロック(OC)耐性について
32nmプロセスのおかげでOC耐性が非常に高いという情報がありますので比較的低めな電圧で常用可能なクロックを探ってみました。(写真3)

手始めにVcore 1.200Vと定格動作に近い電圧とBCLK 200MHzに設定して4.4GHz化してみたのですが起動中にブルースクリーン。Vcore 1.300Vに昇圧しても変化無し(^-^;

最終的に1.300V、BCLK 191MHz、GPU533MHz(ダウンクロック)の設定で4.20GHzで安定することがわかりました。QPI Linkも5.8GHzから少し下げています。購入したロットがハズレなのでしょうか。Pentium G6950より悪い結果と非常に残念です。

使用しているマザーボード「GIGABYTE GA-H55M-S2H」は廉価モデルながらもOC設定項目は非常に充実しています。マニュアルで設定したのは下記の項目のみです。他の項目はAutoのままです。

今回はオンボードGPUについてはOCは試してません。CPUコアをOCするとGPUが足を引っ張るようなのでGPU性能よりCPU性能を優先しまし533MHzにダウンクロックしています(^-^;


<設定した項目>
・CPU Enhanced Halt(C1E):Enebre
・CPU EIST Runction:Enebre
・BCLK:191MHz
・QPI Link:x24(4.58GHz)
・Internal Graphics Clock:533MHz
・Vcore:1.281V
・メモリ:1528MHz(8倍)

CPU Enhanced Halt(C1E)とCPU EIST RunctionをAutoからイネ-ブルに変更している理由は、Autoのままでは無効になってしまうためです。ベンチマークスコアのみ追求するなら無効でもかまわないのですが、アイドル時にクロックが下がらないのは個人的に許せないのでイネーブルに変更しています。

GPUは733MHzでは消費電力面での問題なのか安定しないため533MHzにクロックダウンしています。CPU-Z 1.53.1のGPUクロック項目には反映されていないようです。


●HTTについて
HTT(ハイパースレッディング・テクノロジー)について簡単に説明すると、CPU内部で特定部分のみを二重化して処理を行い論理的に2つのプロセッサのふりをすることが可能な技術です。(Wikiより抜粋)

HTTを備えるデュアルコアCPUのCore i3-530は、OS上からはあたかもCPUコア数が4個あるように見えるというわけです。

実際にはデュアルコアなわけで4コア分の性能がでるわけではありません。海外サイトの検証ではCore iシリーズでは「HTTを有効化すると実効率で20%ほどの性能向上が得られる」という検証結果がでているそうです。


●GPUコアについて
GPUコアはLGA775チップセットに内蔵されていた物から改良は加えられていますが大幅な進歩は無く性能はまだまだです。45nmプロセスで製造されているため、あまり低消費電力ではないようで「GeForce 220あたりを別に取り付けたほうがトータル消費電力は低くなる」との情報もあります。内蔵GPUを使用するとメモリの帯域ロスが発生しますので、CPUの性能をフルに引き出したいなら別途GPUを取り付けるのも良いかもしれません。


===============


●ベンチマーク
オンボードGPUは高速ではありませんので一昔前のベンチマークテストを中心に行ってみました。比較用にPentium G6950のスコアも載せてあります。
カッコ内は各CPUを4.2GHzにOCしたときのスコアです。

<Core i3-530 オンボードGPUのスコア>
・3DMark06:1689(1771)
・3DMark05:3380(3519)
・3DMark03:4847(5155)
・MHF Benchi:1253(1286)
・FF Bench3(HI):3841(5403)
・SuperPI-MOD 104万桁:17.437秒(10.281秒)

<Pentium G6950 オンボードGPUのスコア>
・3DMark06:1285(1871)
・3DMark05:2572(3729)
・3DMark03:3751(5462)
・MHF Benchi:922(1365)
・FF Bench3(HI):3746(5532)
・SuperPI-MOD:18.235秒(10.875秒)

定格動作での3Dベンチマーク系はL3キャッシュの容量とCPU/GPUのクロックの差の分、Pentium G6950より良好な結果となっています。

CPUを4.2GHzにOCするとSsuperPI以外の3DベンチマークはPentium G6950より低い結果となりました。理由は分かりませんがQPIクロックの差でしょうか。低いといってもその差はわずかですから問題ないレベルとは思います。


●発熱
CPUの発熱に関しては後日追記する予定です。

軽く試した感じではPentium G6950同様、非常に低発熱でした。


●消費電力
ワットチェッカーを使用して消費電力を計測してみました。

消費電力については所有している変換効率の高い電源は使用中のためAmacrox FreeEarth AX550-GLN (550W)というすこし古めな電源を使用しての測定となります。この電源はそれなりの変換効率はあることを確認しておりますが80Plus認定などない古いモデルですので参考までにお願いします。m(_ _)m

<Core i3-530 消費電力オンボード/定格(OC)>
アイドル:49W(70W)
負荷時:94W(129W)

<Pentium G6950 消費電力オンボード/定格(OC)>
アイドル:48W(72W)
負荷時:83W(117W)

消費電力はPentium G6950よりGPUコアクロックが高い分消費電力も多くなっているようです。定格動作でも負荷時には10Wほど開きがありますので省電力性はPentium G6950のほうが優秀です。


●動画エンコードテスト
動画のエンコード時間を計測してみました。比較用に下位モデルのPentium G6950と4コアCPUのCore i5 750とCore2Quad Q9450のデータも載せました。(補足:DivX6.85は8コア、AVCは4コアまでの対応のようです。)

動画変換君を利用して自前で用意した約25分のDivX動画ファイル(704x396,動画1200kb,音声192kb,ファイルサイズ約250MB)をPSP向けに変換したときにかかる時間を計測しています。(動画変換君は当サイトで紹介している FFmpeg rev.18607 を導入したものを使用しています。)

Dr.DivXは動画変換君で使用したものと同じ動画ファイルを「2pass 最高画質、解像度704x396、ビットレート映像1200kb/音声192kb」の設定で変換にかかった時間です。

各CPUのOCしたときのクロックはまちまちですが、そのCPUで比較的設定が簡単で常用可能な数値となっています。(どれくらいOCして常用可能なのかもコストパフォーマンスに含めていると考えてください。)

<Core i3-530 2.93GHz(4.20GHz)>
・動画変換君:200秒(124秒)
・Dr. DivX:656秒(447秒)

<Pentium G6950 2.80GHz(4.20GHz)>
・動画変換君:181秒(124秒)
・Dr. DivX:744秒(500秒)

<Core2Quad Q9450 2.66GHz>
・動画変換君:167秒(140秒)
・Dr. DivX:603秒(398秒)

<Core i5 750 2.66GHz(3.60GHz)>
・動画変換君:142秒(114秒)
・Dr. DivX:484秒(393秒)

<Core i7-860 2.66GHz(3.80GHz)>
・動画変換君:148秒(116秒)
・Dr. DivX:448秒(354秒)

Pentium G6950同様に定格動作・OC時含めてCore i5/7などのクアッドコアに劣る結果となりました。HTTを実装しているといってもデュアルコアですので当然の結果とも言えます。

動画変換君はOCすることでかなり高速に変換可能になりますが、Dr.DivXについては4.2GHz化してもCore i7-860の定格動作と同等という結果となっています。Dr.DivXは8スレッドとSEE4に対応しているため上位モデルのCPUと差が出ているようです。

HTTの実効率が低いのか変換スピードは予想より遅く、全体的にPentium G6950と同じ傾向でした。Dr.DivXはPentium G6950より高速に処理できているようですが、HTTの効果というよりSEE4の効果が大きいのかなという印象です。

Pentium G6950同様に4GHzオーバーにOCすることで約12,000円のCPUでもここまで高速に動画を変換可能というだけでも価値はあるかと思います。


●感想
32nmプロセスで製造されたClarkdaleコアを採用するCore i3-530を試してみた感想です。

OC耐性についてはPentium G6950と同等と考えていたのですが、自分の入手したロットでは4.2GHz動作可能電圧で僅かに及ばす。GPUコアを533MHzにダウンクロックしてVcoreも1.300V近く入れないと4.2GHzで安定動作しませんでした。もちろん、比較しないで単体で考えれば1.300Vで4.2GHz常用可能ですから悪くないと思います。

OC耐性についてはコアの性能というより消費電力面の問題の可能性もありますので、さらに高クロックを狙うならCPU周りのフェーズ数の多いP55チップセットと組み合わせると良いかもしれません。P55チップセットとの組み合わせは後日試してみたいと思います。

3D系ベンチマークは定格動作ではPentium G6950に差をつけていますが、OC時はQPIリンクとGPUクロックを下げている影響なのかPentium G6950に若干劣る結果となり誤差範囲内とは思いますが少し気になります。QPIリンク速度については他のマザーボード(後日レビュー追加予定)では5.8GHz付近でも問題なく動作することを確認しています。

動画のエンコードに関してはDivX変換の場合はHTTとSEE4.1,4.2の効果でPentium G6950より良好な結果が出ています。HTTで4スレッドを同時実行可能のためクアッドコアCPUにどこまで迫れるかと期待して購入したのですが、はやり本物のクアッドコアには遠く及ばずといった結果となりました。HTTの実効率はアプリにもよりますが平均で20%くらいという検証結果がでているようですので、それに近い結果がでていると思います。まあ「折線グラフマニア」としてはタスクマネージャで使用率のグラフが4本表示されるだけでも満足ですが(^-^;

まとめると「Pentium G6950との性能差は価格相応。もう少しOC耐性や性能に差がつくと思いっていたのですこし残念でした。OCするにはGPUコアが足を引っ張る可能性あり。HTTの実効率には過度の期待は禁物。」といったところでしょうか。

Pentium G6950とCore i3-530の二種類を試した感想としては、32nmプロセスのおかげでOC耐性も高く消費電力や発熱も非常に低くなっているのでライトOCユーザーや静穏PC用に最適なCPUと思います。
  • 購入金額

    11,680円

  • 購入日

    2010年02月頃

  • 購入場所

    ソフマップ

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