Sense Of Wonder(センス・オブ・ワンダー)はキーボーディスト難波弘之のバンド。以前ご紹介したアルバムは
そのバンド名を冠したものだが、バンドとしてのSense Of Wonderが手がけた作品としては本作が先になる。メンツはこのバンドの中心人物、キーボーディストの難波弘之と、このあと長く行動を共にする盟友、ベーシスト兼ボーカリストの小室和之、ドラムスはこの時点では難波のソロデビュー作の頃からつきあいがあるパワフルドラマー、そうる透。そしてこのアルバムは、基本キーボード「トリオ」構成であるSense Of Wonderが唯一4人構成になった時期。加わったのはキーボーディスト厚見麗(厚見玲衣)!ちょうどVOW WOW
参加前夜で、TACHYON解散後ヒマしてた?厚見に声を掛けたらしい(←キーボーディストがキーボーディストに声を掛ける、というのも...(^^ゞ)。このSense Of Wonder史上最もロック寄りのメンツが集まった事と、小説のイメージアルバムというある意味実験的な試みが許される舞台が与えられた事で彼らが取ったアプローチは....ギターレスのプログレハードロック!
「ビッグプロローグ」で荘厳に、かつ、おどろしく始まったあとは「サイボーグ戦士ベガ」。4拍子で始まり、6拍子⇒7拍子⇒4(8)拍子とめまぐるしく変遷するプログレチューン。途中のボーカルパートはピアノの弾き語りからドラマチックな王道展開をみせるバラード。そこに入るキーボードソロはギター風音色と奏法を模したスピーディなもの。このソロは厚見のMini-Moog!
(↑当時当然MIDI化される前のものだけど)
最後にまた変拍子セクションに戻ってエンディング!パワフルなそうる透のドラムスがいい!
「サディスティック・サイキック・タイガー」=ザ・ハードロック!ハイトーンボーカル、ハーフオープンのハイハットの4つ打ち、ヘヴィなディストーションギt・・・いや、キーボードだ!w当然アームダウンを模した奏法を交えながら音が頭の中をパンニングで駆け回るソロもキーボード!こちらのソロは名機Prophet 5を使った難波自身によるもの。グイグイ引っぱるランニングベースは意外にも厚見のシンベ(MS-20)。8分音符で刻むAメロとサビのトコロの跳ね気味の喰った符割りでドライヴ感満点のところの対比がいい。古典的ハードロック文法が懐かしい。余談だがこの2曲は「K.C.ランキン」なる人物が作詞などで曲作りに加わるが、SHOGUN
の中心人物、故Casey Rankinとの関係は判らない。
「スーパー・バロック・プリンセス」はその名の通りバッハ!フーガの手法を使ったパイプオルガン風音色とピアノの荘厳な音で始まる定石通りの展開・・・と思いきや最後の方で、ディストーションギター風の音が出てきたり。エンドラ(懐かしのSIMMONS!)でスラッシュメタル風パターン(ドンチャンドドチャン)が入るところが「スーパー」?
現在のシンセサイザーは高サンプリング周波数高解像bitの実楽器からのサンプリング音源を加工するサンプラーの改良系が主流。加工前の音はギターならギター、管楽器なら管楽器そのもののサンプリングなのでまさにホンモノ。でもそれをキーボードや打ち込みで演奏したりすると今一歩合成音声のようで「ホンモノにはかなわない」。
でもそんなものがないシンセサイザーの黎明期、これだけのことができた!
人は不自由なことを打開するときに大きな創造があるのかも知れない、と感じる作品です。【収録曲】
1. ビッグ・プロローグ
2. サイボーグ戦士ベガ
3. サディスティック・サイキック・タイガー
4. ムーンライト・セレナーデ
5. スーパー・バロック・プリンセス
6. 太陽の戦士
7. ベアトリスの釵
8. ビッグ・インタルード
-
購入金額
3,200円
-
購入日
1986年頃
-
購入場所
yosyos888さん
2015/11/21
cybercatさん
2015/11/21