レビューメディア「ジグソー」

端々にD&Dではこういう感じだけど、ウチは違うんだよねー。と感じられる描写がある事が、黎明期の大らかさを表しておりますw

  • by
    L2さん
  • 2017/10/06
  • (更新: 2017/10/09)

人生で初のTRPGセッションは、多分、D&Dでした。

小学生時代、友人達とお小遣いを集めて赤箱を購入し、コピー機で、色々とコピーしてキャラとシナリオを作ったものです。

 

そして、当時の友人達全員が、持っていたのは、「D&Dが良く分かる本」だったハズ。

今は、どこかに埋もれてしまっているので、レビュー出来ていないのですが、アレを読んで、そこに書いてあるルールとキャラクターシートを使って始めたのが、私のTRPG廃人への道。

 

え、と。

T&T関係無いな。

と、思った貴方、もう少し我慢してください。

これから、ちゃんと出てきますw

……多分。

 

さて、そういったTRPG方向への傾倒を深めつつ、歩んでいくL2さんの前には、ファミリーコンピューター、MSX、ゲームブック、といった誘惑が大挙して押し寄せてきます。

とはいえ、多人数で、順番待ちをしないで楽しめるゲームといえば、人生ゲームか、TRPG、の二択位の感覚でしたので、草TRPGサークル的に友人と集まって遊んでおりました。

 

その時、ちょっと問題になったのは、赤箱のレベル制限です。

 

小学生ですので、派手に成長したり、がっつりお宝を持ち帰ったりする冒険が大好きな訳です。

超強い魔剣など出した日には、D&Dのルール的には、「その価値」分の経験値を入手出来る(権利がある、のですが、小学生的にはそれを与えるのがGMの義務となっておりましたw)ので、あっと言う間に、キャラクターがルール的に未知の領域に突入するのですね。

五回もセッションすると勝手に作った亜神と対決する感じになりますw

でも、青箱とか、金とか黒とか、買える程には、D&D一本で生きていないのが小学生。

6面以外のダイスの入手性も良く無かったし、ね。

 

そして、次に、冒険の旅に出る世界として選ばれたのが、この、「トンネルズ&トロールズ(T&T)」です!

(やっと本題w)

6面体のみを使うというシンプル(個数は大量に使いますが)なシステムで、とにかく、強さの表現や調整が分かり易い。(計算はメンドクサイですがw)

モンスターも、シンプルなルールを用いれば、マニュアルなくても勝手に作成出来て、友人の間でルールブックを回覧しないとシナリオが作れなかった時よりも、簡単!

(ホントウハ、バランストカ、イロイロカンガエナイトイケナイカラ、ギャクニムツカシイヨ)

何よりも、高レベルキャラの能力などの追加ルールがなくても、十分強さを実感出来るルールで、天井知らずに成長してもルールから外れないという安心感がありました。

更新: 2017/10/09

明確にD&Dを意識しており、説明や紹介文が内輪向け、或いは経験者対象な部分あり。

能力値の数や、数値の平均値によるボーナス値の算出など。

D&Dと同じような基準が使われています。

その中で、差別化した能力値、ボーナス値の利用方法が考えられています。

 

また、D&Dでは使い分けられていた、数種類のダイスが、6面体一本化されていて、判定や戦闘の展開が予測しやすくなっています。

 

ルールでの差別化は、冒険報酬の決定方法にも現れていますね。

「かつては、持ち帰った財宝、魔法の品にたいしても冒険点(経験値)が与えられました。しかし、もう、冒険点はありません!

 正確に言えば、お金は、それ自体が報酬で、金貨一万枚の価値のダイヤモンドをたまたま見つけ、持ち帰ったキャラクターに1万点の冒険点が入る理由はありません。

 彼は、ダイヤモンドから、何かを学んだ訳では無いのです」

という感じ。

以前の元ネタとしてのT&Tでは、D&Dと同じく、冒険中に獲得した財宝の価値によって冒険点が出ていたのかな、とも。

D&Dの『それ』は、「大金を貯め込んだ怪物を退治しにいったら、怪物の強さによる経験値じゃなくて、貯め込んだ財宝の価値でレベルアップし放題やったやん」とも、言っているようにも読めます。

 

翻訳に際して、グループSNEのメンバーである安田均氏や清松みゆき氏が文章の組み立てを変えた可能性はありますが、それでも、財宝や魔法の品の価値で冒険点は出るのか、という項目に関しての書き方をみると、原著でも同じような言葉があったのでしょうね。

もしくは、むしろ、『D&Dでは』という言葉を削った可能性もあるのかな。

原著は読む力が無いので、これは推測ですけれども。

 

実は、このルールブックを読み解くにあたって、冒頭にリンクした「傭兵剣士」で遊んだ経験が凄く生きたと感じていました。

キャラクターの作成や冒険の準備などを解説するルールパートには、「傭兵剣士」でのキャラクター作成、戦闘の仕方、よりも、少しふわりとした説明と、サンプルキャラクターの「無敵のファング」を操ろうとするプレイヤーの視点が混ざった不思議な文章となっているのです。

正直な所、「傭兵剣士」の方が分かり易いです。

 

魔法の項でも、「魔法の力は、超能力であり、神や女神から与えられた力ではない為、魔術師は望むならば『冷たい鉄』を纏う事が出来るのです。使いこなせるならば、どんな盾も鎧も身に付けられます」という文面があり、これも、D&Dのマジックユーザーやクレリックなどの装備制限を意識している感じ。

 

ルールブックとしては、少し、読み難い部分があります。

それは、余談や例示が本文の中に含まれているから、かな。

これは、書籍の形を採っている為、仕方ないかも。

D&Dの赤箱だと、BOXの中にムックが入っている形なので、「ルールブック」では、ルールだけを参照できるように、例示などは、欄外的なコラム風だったり、別の章で纏められている部分があったり、もしくは、索引や表などを最後に掲載する事で、アクセスしやすくしています。

それ故に、読み物としては、読み難い部分があったりするので、発行形態の差かなあ。

 

ソロプレイ用のルールとしては、少しとっつき難く。

TRPGのルールとしては、余談が少し多くて、マスタリングの参照に用いるには使いにくい。

という感じを受けました。

これは、D&Dやそれの成り立ちに深く関わっているボードゲーム的な思考に囚われているからかもしれませんけれども。

 

※「傭兵剣士」と、この本を読み返してみました。

 「傭兵剣士」のルール部分

 

 「傭兵剣士」では、サンプルキャラクターの作成(コラム)と、キャラクター作成ルール(本文)は分けられていて、参照しやすくなっていました。

 この本のメインの翻訳者の清松みゆき氏の翻訳としては、2冊目位にあたるようですね。

 そうなると、原著の文節や段落を、読み易く組み替えたり、例示を別コラムの形式に変えたりする手法を取るべきかどうか、まだ、迷っていた可能性があったり、或いは、原著自体が、分かり易いように進化していた可能性もあるかもしれませんね。

 同じ翻訳者なので、どちらとも言えないのですが。

更新: 2017/10/06

武器索引は、かなり良い付録です。

T&Tでは、キャラクターの外見をイメージ通りにする為のフレーバーとして、武具の種類が豊富、というものがあります。(もしかしたら、ローグ辺りの影響かな?)

攻撃能力が全く同じで、しかし、名前と特徴が違う、という武器達。(装備する為の必要能力は違っていたりします)

お値段や重さなども違うので、有利不利で判断するならば、間違いなく、能力が許す範囲で「安く」「軽い」「攻撃能力が大きい」ものを買う、の一択です。

 

でも、安く軽いからといって、「棍棒」「腰巻」「毛皮の鎧」を装備したキャラクターは、イメージ的には騎士見習いを名乗れないデスヨネ。

シティアドベンチャーでは、真っ先に、官憲にマークされてしまいそう。

 

いや、まあ、文明レベル的には、中世にも到達していない感じなのかな。

銃器ありますけれどもw

 

キャラクタイメージ通りに装備をする拘りを持てるというのは、面白いな、と思います。

その為、武器の大まかな解説索引が巻末に付いています。

名前だけでは、やっぱり、イメージが湧きにくいですからね。

 

ただし、セッション開始したら、大抵、武器防具は有利不利だけで選んだ方が上手く行くw

更新: 2017/10/06

能力値そのものが成長するので、いつしか超人に。

T&Tの能力は、

・体力度 重量物の運搬能力や、一時的なスタミナ値

・知性度 物事を理解する力、魔力にも関わる

・幸運度 運勢の力

・耐久度 健康であるかどうか、生命力

・器用度 技術力や敏捷性 

・魅力度 外見や指導力、カリスマ性

の6つと。

・個人修正 戦闘時に攻撃力として加算できる数字。

 体力度、器用度、幸運度が6を下回る分のマイナス値と、12を上回る分のプラス値を合計したもの。

から成り立ちます。

 

決定方法は、全て3D6。

ドワーフやエルフといった種族でもキャラクターは作成可能で、その場合、算出した能力値に特定の係数を掛ける事になります。

ドワーフは体力度、耐久度が二倍、魅力度が3分の2に。

エルフは、知性度、器用度が1.5倍に、魅力度が二倍に、耐久度が3分の2に。

というような具合です。

 

戦闘の判定は、凄くシンプルです。

敵と味方が、攻撃力を算出し(武器のダイス数とボーナス、それに個人修正を足す。パーティの場合は全員分)、大きな数字の側が、攻撃成功。

数字の差の分だけ、ダメージ(隊列にもよるが、パーティ人数で均等割り、端数は割らずに誰かに余分に与える)を受けます。

つまり、引き分け(両者命中せず)はあるけれども、刺し違える(どちらも命中する)は存在しません。

例外として、魔法、射撃武器があります。

射撃の場合は、成功したら、指定された攻撃力の分をダメージとして与える事が出来るのです。

ただし、遠距離攻撃ですので、戦闘判定に加算は出来ないのです。

そして、魔法は射撃とは逆に、使用した場合、指定された攻撃力を戦闘判定値に加算しますが、攻撃の失敗、成功に関わらず、指定された攻撃力をダメージとして与える事が出来ます。

 

キャラクターの成長は、

レベルアップ時に、新しいレベルと同じ数値を体力度か耐久度のどちらか一つに加算。

レベルアップ時に、新しいレベルの半分(切り捨て)を知性度、器用度、魅力度のいずれか一つに加算。

レベルアップ時に、新しいレベルの二倍を、幸運度に加算。

レベルアップ時に、新しいレベルの半分(切り捨て)を、体力度と耐久度に加算。

といった7つのパターンがあります。

 

戦闘判定を有利にする為の、強い武器を使いこなせるかどうか、は、体力度と器用度で判定されます。

また、防具は必要となるのが体力度のみなので、強い装備を使いたい場合は、レベルアップ時の数値加算効果の大きい体力度優先が定石。

 

また、装備の強化には、一切影響しない幸運度が一番伸ばしやすく、かつ、個人修正に大きく関与するので、戦闘能力を追求すると幸運度特化する戦士が出てくる不思議w

 

そして、高レベルキャラクターは、能力が成長しているので、低レベル時には考えられなかった個人修正を持っている事があります。

D&Dだと、レベルアップで成長するのはHPと命中率だけですので、武具の良し悪しによっては、高レベルキャラクター相手でも攻撃が命中し、ダメージを与えたりする可能性はあるのですが。

T&Tでは、個人修正値は、命中率にして、ダメージともなりますので、魔術師では無い低レベルキャラクターは高レベルキャラクターに指一本触れられないという状況が起こりやすいです。

魔術師も、一矢報いるのが精いっぱいだった、という事になる訳ですが。

例えるならば、ドラゴンボールの戦闘力みたいな感じでしょうかw

 

その分、分かり易くて、レベルアップへの意欲が途切れ難いかな。

  • 購入金額

    680円

  • 購入日

    不明

  • 購入場所

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