レビューメディア「ジグソー」

効果はあるんだろうけど、体感できないのが残念。

注:本ソフトはダウンロード版で、店頭販売はされていません。

メーカーサイト
http://www1.ark-info-sys.co.jp/products/ssdsa1/index.html

最近出回っているSSDの多くはMLCタイプであることは皆さんもご存じの通り。しかし、MLCタイプのSSDは、SLCに比較してセルの書き込み回数に大きな制限があり、HDDよりも短命なのではないかとか、データ書き換えの回数を極力減らす必要があるなどと言われています。まだ市場に出回って間もないデバイスであり、寿命が来るまで使い切った、という情報が少ないのもユーザーが不安になる一因と言えるでしょうね。

また、昨年末以前に市場に出回っていたSSDは、コントローラーチップにJMF602チップが使用されているのがほとんどだったのですが、このタイプのSSDは読み書きの命令が集中すると一時的に応答が極端に遅くなる「プチフリーズ」と言う現象が問題となりました。

これらの問題を一気に解消するのがこのソフトです。

原理は至って簡単。SSDからのデータの読み出しは寿命や速度には無関係なのでそのままスルーさせますが、書き込み命令を受けたデータは直接SSDには書き込まず、パソコンの物理メモリ内に一時ファイル領域を確保してそこに溜め込んでおき、SSDには書き込みを行わないようにする、というものです。溜め込んだデータの中から必要なデータだけをSSDにまとめて書き込むことで書き換えの回数を極力少なくし、延命効果を発揮するわけです。

また、SSDの手前に高速なキャッシュメモリを置き、そこに書き込みをすることになるので、SSD自体の持つ性能にかかわらず見かけの読み書きの速度が飛躍的に高速になるという利点もあります。第一世代のSSDで問題となった「プチフリ」の解消にも役立つと言われています。

というわけで、私も試しに使ってみることにしました。

導入は簡単。上記メーカーサイトから購入ページに行き、購入手続きを済ませてファイルをダウンロードし、メールで送られてくるライセンスキーをインストール時に入力するだけです。なお、ダウンロードしたファイルとライセンスキーはUSBメモリなどに保管しておくことをお勧めします。

ソフトの設定画面では、パソコンに搭載されている物理メモリのうち何MBをキャッシュに割り当てるかを指定します。当然ながら、あまり領域を大きく取りすぎるとパソコンの動作に必要なメモリが圧迫されてしまうので、メモリは2GB以上搭載し、そのうちの512MB程度を割り当てておけば無難だと思います。(搭載メモリが1GBに満たないパソコンの場合、メモリ増設をお勧めします。)

注:
本ソフトではOS管理領域外のメモリをキャッシュに割り当てることはできません。

また、キャッシュがいっぱいになったとき、そのデータをどうするかという設定を行います。再起動やシャットダウンと言った方法でメモリをリフレッシュする方法もありますが、私はメモリがいっぱいになった時点でSSDに書き込みを行う設定にしています。その場合、一旦SSDの保護が解除され、データの書き込みが終わった時点で再びキャッシュが有効になります。アプリケーションをたくさん立ち上げてバリバリ作業をしているとすぐにキャッシュがいっぱいになり、そのたびにキャッシュが解除されてデータ書き込みが行われるのですが、これに20~30秒ほど時間がかかり、その間はパソコン操作ができないので少々イライラします。作業環境に合わせてキャッシュ容量を調整していく必要がありそうです。

なお、前述のようにデータの書き込みは直接SSDとではなく、メインメモリ上に確保されたキャッシュ内で行われるため、SSDの性能に関係なく高速に動作するようになります。

参考として、SSDのみ(OCZ Vertex30GB×3 RAID-0)の場合と、
SSD革命を使用した場合のベンチ結果を掲げておきます。
(CPU:E8500@3.8GHz MB:GA-EP35-DS3R MEM:DDR2-800@8GB)

…しかし、目を見張るほどのベンチの結果の割には、体感速度は導入前とさほど変わりません。おそらく、ベンチ測定時はデータの読み込みもキャッシュを通して行っていて、それが原因で高い転送速度を示しているのでしょう。でも、実際にはSSDからのデータ読み出しはキャッシュを介さずに行うので、体感速度が変わらないのだと推測してます。

上記のようなキャッシュのON・OFF時のもたつきなど、少々使いづらいと感じる点もありますが、そのとき以外は特にこのソフトが常駐していることを意識させません。データの読み書きはバックグラウンドで行われますので、普段は特に気にすることなく使えます。

ただし、このソフトの導入によって実際にどのくらい延命できるかは、SSDが天寿を全うするまで使い続けなければ分かりません。そのあたりの効果が目に見えにくいところが、何となく使っていてじれったく感じます。

結局、キャッシュから書き移す時にいちいち待たされるのが煩わしいので、今はこのソフトは使っていません。SSDがどのくらいで寿命を迎えるかという目安がないので、一旦この「寿命」を実感してみない限り、このソフトの効果は分かりませんからね。どうしても延命化にこだわりたいなら、「保険」のような感覚でこのソフトを常駐させていれば精神衛生上は好ましいのかもしれません。
  • 購入金額

    2,980円

  • 購入日

    2009年06月頃

  • 購入場所

    メーカーサイト

コメント (2)

  • 南部町さん

    2009/11/25

    こんにちは、
    僕はI・O DATAのRamPhantomを使っていま。
    http://www.iodata.jp/promo/soft/ram/ramphantom.htm

    ノートもデスクもSSDを使っているので、RAMディスクにはお世話になってます。
    SSD革命のような全書き込みの確認ではなく(こう言うのなんていうだっけ?)、
    HDDとして認識させてネットのキャッシュ、zipファイルのダウンロード&解凍に使っています。
    RamPhantomの利点としてはOS管理外も使用できるので、32bitOSの3GB以上なども有効活用できます。
    まぁ実際は2GBしか実装していないのでOS管理内しか使えないんですけど(笑)
    500MBほどRAMディスクに割り当てている上に仮想メモリは切っているので、FireFoxなどの重たいソフトを使うとよくメモリ不足になってしまいます(ノートではそこまで使わないけど)
    てなわけでメモリが高騰している中、ようやく買う気になったのでア○ゾンで2GBのメモリ2枚を注文してきたのですが、いまだに在庫確保の通知が来ない・・・まだぁ~?

    RamPhantom3からRamPhantom7が出ていますが、バージョンアップするかなぁ。
    7公式対応以外に何が違うんだろう?
  • GORO助さん

    2009/11/25

    南部町さん、こんにちは。

    私もRAMDISKを使っていますが、ソフトはフリーの「Gavotte Ramdisk」です。別にバックアップ機能は必要ではないので、RamPhantomを買うほどではありません。メモリを8GB積んで、うちOS管理外の約4.5GBをRAMDISKに割り当ててます。OS用にも目一杯メモリを使わせているので、やはり仮想メモリはゼロにして、IEのキャッシュや「環境変数」で指定できるOSのTEMPファイルもRAMDISKに移動させて使ってます。これだけでもシステムディスク(SSD)への書き込みはずいぶん減らせますしね。

    ちなみにRAMDISKのアクセス速度はメモリの種類やCPU、チップセットによって左右されるのですが、P55マザー+Corei7-860+DDR3-1333の組み合わせで速度を測ったら、シーケンシャルが1GB/sを超えたのにはビックリしました。動画編集で複数の動画をつなぎ合わせて1本の動画(約2GB)にする作業をRAMDISK内だけで行うと、ほんの十数秒で作業終了です。

    実際、RAMDISKを上手く使ってSSDへの書き込みを減らすことは可能ですし、複数のSSDでRAIDを組み、十分な空き容量を保ちながら使えば、結果として一つあたりのセルの書き換え回数を減らすことは十分に可能ですので、SSD革命を使わなくても十分実用的な寿命は保てるのではと思っています。買う前に気付くべきでしたが…(^^ゞ

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