レビューメディア「ジグソー」

「読者よ、これは誠実な書物なのだ。」

この第一文で始まり、「だからして、こんな、たわいのない、むなしい主題のために、きみの暇な時間を使うなんて、理屈にあわないではないか。では、さらば。」で締めくくられる献辞に惹きつけられました。
頭に入るというよりは自分の肉体と精神に浸み込むかのような、素晴らしくそして深遠な言葉の数々に出会えます。

宮下志郎氏の訳文のなんと読みやすいこと!!
この方が訳したラブレーも是非読みたいものです。

1580年に刊行され、デカルトやパスカル、ラシーヌなどといった知識人たちにも読み継がれてきた名作。
この書物が刊行された頃の日本史年表を見ると、
「1580年 本願寺顕如、信長と和睦」や
「1581年 宣教師ヴァリニャーノ、信長に謁する」・・・。
ちなみに話しは逸れてしまいますが、1582年6月に信長は本能寺で自尽し果てる。
モンテーニュがこの「随想録」に残している、明白な思考に古さを感じさせない、どころか現代にも通用するという事に驚きを感じます。

この名著を読むことで何が得られるのだろう?
いかに人間という生き物が進化していないものか、良しにつけ悪しきにつけ。
その人間のど真ん中に私がいたりする。

「が、それにしても、まじめな話、人間ほど悲惨な動物はいるのだろうか?
その本質からして、純粋で、完全な、ただひとつの快楽をもほとんど味わうことができないのに、
さらに理屈でもって、これを奪ってしまおうと腐心しているのだから。」

「なにを知ろうと、なにを享受しようと、われわれは、それでは満足できない自分を感じて、来るべき、未知のものを、口をぽかんと開けて追いかけていく・・・。」

全7巻中、1~3巻まで購入。訳者曰く「峻険なる峰・・・レーモン・スボン弁護」の4巻目も刊行されたようなので後日購入します。
  • 購入金額

    6,400円

  • 購入日

    2008年頃

  • 購入場所

5人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから