まずは、インテルマシンガンSSDレビューに当選させていただきましたこと、この場をお借りして関係者の皆様にお礼申し上げます。
intel X25-M SSDを使ってlenovo ThinkPad X61を快適にしよう!
ということで、優れたシーケンシャル性能と際だったランダムアクセス性能で人気を博している、intelのX25-M SSDを使って、ThinkPad X61のSSD換装方法についてレビューしていきたいと思います。
■SSDに換装する際のデータ移行について
SSDへ交換した場合の問題となるのが、OSおよびデータの移行です。
OSの移行にはいくつか方法があり、
・OSの再セットアップ
・DVDなどへバックアップ→リカバリ
・現在のOSをそのまま移動
の方法があります。
上記の3通りの方法のメリット・デメリットは下記の通りとなります。
また、手間、コスト、データの移行に関して3段階評価を簡単にまとめてみました。
1,OSの再セットアップ
OSの再セットアップには2通りあり、1つはHDDにあるリカバリ領域からの復旧、もう1つはリカバリメディアを作成し、そこからセットアップを行う方法となります。
HDDリカバリ領域からの復旧は、リカバリ領域をSSDに移動する必要があるため、専用のツールを使用しないとかなり難しい作業となります。
ですので、通常はリカバリメディアからの復旧がメインとなります。
メリットとしては、再セットアップを行いますので、古くなって動作が遅くなったOSが再セットアップにより機敏に動くようになり、SSDによる性能強化とあわせてきわめて快適な環境を得ることが可能です。
デメリットとしては、アプリケーションの再インストール、作成したファイルのバックアップなどが必要になり、作業にかなりの時間がかかります。
手間:× 非常に手間がかかる
コスト:○ DVDメディア1枚程度
データ:× 外部媒体へバックアップする必要がある
2,DVDなどへバックアップ→リカバリ
OSを含め、すべてのデータをDVDなどにバックアップを行い、リカバリで復旧を行います。
メリットとしては、使用している環境をそのまま移行できますので、SSD換装後の作業が比較的簡単な点にあります。
デメリットとしては、Windowsにもバックアップユーティリティがありますが、OSを入れた状態でないとリカバリできませんので、OSの入っていないSSDへリカバリを行うには、Rescue and Recoveryツールを使うか、あるいは市販のバックアップソフトウェアを使用する必要があります。
また、HDD→DVD→SSDと一度DVDメディアなどに焼く必要があるため、時間がかかるのも欠点です。
手間:△ OS再セットアップは必要ないものの、リカバリメディアを作る必要がある
コスト:○ DVDメディア1枚程度
データ:○ リカバリすれば元の環境にそのまま戻るため、個別のバックアップ不要
3,現在のOSをそのまま移動
HDDのパーティションをまるごと移動できるツールが市販されていますので、それを使い、HDD→SSDへ直接データを移動する方法です。
メリットとしては、HDDからSSDへパーティション丸ごと移動しますので、もっとも簡単な換装方法となります。
また、異なるドライブ容量であっても、自動的にパーティションの容量を変更してくれるツールがほとんどですので、とても便利です。
さらに、OSリカバリ用のパーティションも移動できますので、SSDからのリカバリが可能です。
デメリットとしては、専用のソフトウェアを購入する必要がありますので、SSDのほかにも出費が必要になる点です。
手間:○ HDDからSSDへそのまま引っ越しが可能
コスト:× ソフトウェアの購入が必要
データ:○ パーティションをそのまま移動するため、データの引っ越し不要
今回は、なによりも手間がかからない方法として、3番のパーティション丸ごと引っ越し作戦でデータの移行を行うこととします。
■検証のゴール
・HDDからOSおよびリカバリ用パーティション両方がSSDへ移動されること
・SSDから正常に今までのOSが起動すること
・リカバリ領域を使用し、SSDからThinkVantageを使用して出荷時への復旧が可能なこと
上記3項目を満たすことを、今回の検証項目とします。
■用意するもの
今回作業にあたり使用したのは、以下の機材・ソフトウェアとなります。
ソフトウェアは手持ちのものを使用しているため、バージョンが古くなっています。
新規に購入される場合は、パーティション変更用ツールが付属する、HD革命CopyDrive Ver.3 for Windows 7 Proが便利かと思います。
lenovo ThinkPad X61
intel X25-M 80GB SSD
HD革命 CopyDrive ver2.5 ※1
Partition Magic 8 ※2
USB接続 HDDケース(SATA用)
※1:HD革命CopyDriveは現在販売されているバージョンは3となっています。
※2:現在ではメーカー変更により製品名がPowerX Partition Managerとなっています。
HD革命 CopyDrive ver2.5
アーク情報システムのパーティションコピーに特化したツールです。
自動的にパーティションサイズを変更する機能も持っており、移行先のディスク容量が少ない場合であっても、対応可能となっています。
今回は120GB HDD→80GB SSDへの移行でも自動的にパーティションサイズを縮小してコピー可能かと思いましたが、エラーが出てしまい容量が小さいSSDへの移動ができませんでした。
Partition Magic 8
かなり古い製品ですが、まだ現役で使用しています。
HD革命 CopyDrive ver2.5でパーティションサイズを縮小しての移動ができませんでしたので、一度パーティションサイズを小さくするために使用しました。
フリーで似たようなツールもありますが、WindowsのGUIから簡単に作業できるメリットは大きいです。
■作業手順
下記手順にて交換を行います。
1,Partition Magic 8でパーティションサイズ縮小
2,X25-MをUSBで接続
3,HD革命CopyDrive 2.5でパーティションの移動
4,X61からHDDを取り外し
5,SSDに換装し、動作確認
6,パーティションサイズの拡大
■事前準備
作業前に必ず行ってもらいたいのが、X61に内蔵されているSecurity ChipをDisableに設定することです。
これがEnableになっていると、SSDへ換装した際にWindows起動→即シャットダウンを延々と繰り返してしまいます。
■Partition Magic 8でパーティションサイズ縮小
HDDよりも小さいドライブ容量のSSDへの移行ができなかったため、あらかじめパーティションを縮小することにします。
リカバリ領域が6GB程度ですので、多少のゆとりを考えて、適当に60GBに縮小することにしました。
■X25-MをUSBで接続
X25-M SSDをUSB用のHDDケースに接続し、X61へ接続します。
USBケースですが、2.5インチ用のものを購入しておくと、取り外した120GBのHDDを有効活用可能です。
今回は手元にあった3.5インチ用のHDDケースを使用することにしました。
SSDをUSB経由で接続した際に、パーティションの作成やフォーマットは不要です。
■HD革命CopyDrive 2.5でパーティションの移動
HD革命CopyDrive 2.5を使用して、パーティションの移動を行います。
Windows起動中に操作可能なEWF方式では正常に移行できませんでしたので、リブート方式での作業を行います。
操作は簡単で、コピー元ハードディスクにHDDを、コピー先ハードディスクにSSDを設定し、リブート方式を選択してスタートを押すだけです。
スタートを押すと自動的に再起動がかかり、OS起動中にコピー処理が開始されます。
コピーが完了すると再起動を要求されますので、何かキーを押して再起動をしてください。
■X61からHDDを取り外し
コピーが完了したらUSBケースからSSDを取り外し、X61のHDDと入れ替えを行います。
作業を行う前に、ACアダプタを取り外し、バッテリーも取り外しておきます。
HDDの取り外しは至って簡単で、本体右側面にあるHDD用のベイのふたを取り外します。
続いて黒いノブがありますので、先端を引き出してそのまま引っ張ると、HDDが外れます。
HDDはケースに固定されていますので、衝撃吸収用の左右のゴムパッキンを外し、ねじを4カ所外します。
簡単にHDDが取り外しできますので、SSDを同様にねじ止めし、ゴムパッキンを装着し、X61へ挿入します。
最後に、HDDベイのふたをねじ止めし、作業完了です。
■SSDに換装し、動作確認
正常に取り付けができているのを確認したら、バッテリーを装着し、ACアダプタを接続して動作確認を行います。
OSが起動すれば作業完了となります。
問題が生じた場合、再度パーティションコピーからやりなおしてみてください。
余ったHDDはUSBケースに入れておけば、バックアップ用としても使えますし、再フォーマットして外付けストレージとして使用しても良いかと思います。
■パーティションサイズの拡大
Partition Magic 8を使用して60GBに縮小したパーティションサイズを、SSDのサイズまで拡大します。
縮小する作業の逆を行うだけですので、それほど難しくはありません。
■リカバリ領域からのリカバリを試してみる
SSDに換装した結果リカバリ領域からのリカバリができないようでは、いざという際に困ってしまいます。
そこで、実際にSSDへ移動したリカバリ領域から出荷時への復旧が可能かテストしてみました。
電源投入後ThinkVantageボタンを押し、出荷時へのリカバリを行います。
結果としては、まったく問題なくリカバリが完了しました。
しかもランダムアクセスが非常に速いSSDだけあって、リカバリもきわめて高速でした。
■使用感
ノートPCのSSD換装によるメリットは、VAIO VGN-TX90PSのSSD化で非常にメリットが大きいことはすでに解っていましたが、やはりSSDの威力は絶大です。
特にSATA 2.5インチHDDを搭載可能なノートパソコンの場合、選択可能なSSDもきわめて多彩であり、対応製品があまりない1.8インチPATAのVGN-TX90PSとは雲泥の差です。
その中でも性能が高いintel製のSSDだけあって、非常にパフォーマンスは高いです。
SSD換装前は、せっかくCore2を搭載しているのに、HDDのアクセス速度が足を引っ張っていて性能を発揮できていない感じがしましたが、SSD換装後はきわめて機敏に動作します。
個人的な見解ですが、ノートパソコンのパフォーマンスのうち、もっとも体感に影響を及ぼすのはストレージかと思います。
デスクトップPCであればHDDも高速化していますし、RAIDを組むことで速度を上げることも可能です。
ただし、ノートパソコンの場合はデスクトップ用のHDDに比べてHDDの性能が低く、HDDがボトルネックとなることが多々あります。
その点SSDでは性能もきわめて高速であり、なおかつ駆動部が無いため耐衝撃性にも強く、消費電力も少ないなど、ノートパソコンとの親和性も非常に高いデバイスといえます。
2~3年ほど前のノートPCであれば、SSDに入れ替えることによって、第一線で活躍可能な性能に引き上げることも可能です。
実際、約5年前のVAIO VGN-TX90PSもSSDに入れ替えた結果、使っていて不満が無いレベルにまでストレス無く使えるようになりました。
2万円程度の出費で一昔前のノートPCが現役に返り咲くことが可能であれば、かなり満足度の高い出費といえるかと思います。
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2011/7/3
今まで頂いたプレミアムレビューのその後レビューをちょろっと追記コーナー
先日、とある用事で久々にHDDに換装する必要があったのですが、一度SSDに慣れてしまうとHDDって使えませんね。
今では320シリーズがリリースされ、価格も安価に設定されていますので、古めなノートPCを快適に使いたいと思われている方は、ゼヒSSDへ換装してみてはいかがでしょうか。
ぶったまげるほど(笑)速くなりますよん。
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