自作PCをガンガンやっている人なら1回くらいは自分以外の人が使うPCを組んだ事があるかもしれない。私は何かおかしいパーツを選んでよろしくないので、最近はBTOPCを押し付けるorあくまでパーツ選択の相談程度に納めるのだけど、一時期ノリノリで知人用PCを作っていたりした。
その1台がこのAthlon 64 X2 3800+ EE版搭載PC。知人用PC1台目が939版Athlon64 3200+、母親用PCがAM2版 Athlon64 3000+、そしてこれが自分で組んだ中では3台目のAthlon機。
しかし私の部屋は新旧問わずインテルCPUばかり。当時のPentiumD&Pentium4の発熱を考えると、自分で判っていて使うにはいいが、人に勧めるのはなんだかなーという訳で自作・メーカー問わずAMDを候補に出す事が多かった。
実際この3800+マシンを組んだのは2007年頭で、IntelのCore2シリーズが登場した直後。今更Pentium系は買う気にならないし、Core2Duoは初物で高価。コストパフォーマンスを考えたら自然とこれになったという訳。
作ってから丸5年以上このPCに関しては音沙汰なし、てっきりこのPCは一線を退いているのかと思いきや、なんとグラフィックボードの増設以外は手付かずで「メインPC」として動いていたらしい。OSはVistaだってのに!
戻ってきたそのままの状態で起動するとものすごく遅い。まあだからこそアップグレードの為に引き上げてきたのだが…いくらなんでも遅すぎる。俺のAthlonがこんなに遅い訳が無い。
と思ったらCドライブの空き容量が2GB。中途半端なパーティーション別けして引き渡した5年前の自分が主犯だった。とりあえず今時の500GBHDDにデータをクローン、更に変な動きを見せていた常駐ソフトをいくつか停止させると…Vistaもなかなかしっかり動くではないか。
サブPCとして使うというのならこれでHDD代だけ請求して押し返すところだが、知人宅では正真正銘のメインPCでこれ1台が命綱。さすがに電源もガタが来てそうだし、性能も上げてほしいと言われている。5年ぶりの再会の余韻に浸るヒマもなく直後にCPU・マザー・電源を総入れ替え。
私の手元にはこのAthlonをはじめとした5年前の主要パーツが残されて、OSバンドルのUSBカード以外中身がほぼ別物になってまた旅立っていった。
思い出話に逸れまくっているので現品を。先ほどちらっとEE版と書いたが、後に入手したPhenomII X3 700eだの、Intel Core i5 2500Tだのと同じいわゆる「低TDP」モデル。箱にも専用のシールが光る。
但しモデルナンバー自体に変化は無いので紛らわしいっちゃ紛らわしい。
ちなみに私が「TDP」という言葉を知ったのもこのCPU購入時。まあまさか当時は家に「e」だの「T」だの揃えることになるとは思っていなかったが。
AM2としては最初期のモデルになりWindsorコアを採用。発売は2006年中旬。
通常の3800+がTDP89Wとなるのに対してこのEE版は65Wと当時のデュアルコアとしてはかなり低く抑えている。
実クロックは2.0GHzと低め(アイドル時は1Ghz)だが、Pentium4&Dに比べるとクロック辺りの性能は高く、うっすらと「あちらさんの3.8GHz+αだぜ!」という意識が見れるモデルナンバーだ。しかしIntel陣営がCoreアーキテクチャを導入しだすと性能面でのアドバンテージを保つ事が難しくなり、価格競争に巻き込まれる。とはいえ基本アーキテクチャを変更せずに長年対抗できたのだから、名機といって差し支えは無いだろう。
という訳で、自室にAMDマシンが無いし、低TDP版デュアルコアなんて我ながら興味をそそられるチョイス。ここはPCを1台でっちあげて消費電力やパフォーマンスをテストしてみよう。
先述の通り知人PCの構成一式が残っており、ASUS M2NPV-VM&1GBメモリ*2が装着されたママなのだが、家には1世代後のASUS M3A78-EMが余剰で浮いているのでそちらを使う。
メモリも移植するが更に512MBメモリを2枚追加して3GB構成に。更に以前廃品からほじくりだした80GBHDD&DVDドライブを組み合わせ、電源は長年使った老兵SilentKingをチョイス。
それらを収めるケースはいつの間に買ったの!とツッコミ食らいそうなSARA3。
OSはWindows7の大量購入で有り余っているXP(オイ)、おまけでUSB3.0カードもつけておいた。
何せこのケース、中途半端にバラックでパーツを保管しておくよりコンパクトに収納できるくらいなので今回のような余剰パーツ組み合わせにはピッタリ。但しせっかく780Gを搭載しているのでグラフィックボードは無し。全体的にファンが光っているのは気分。
いざ起動すると音がうるさい。元々静音性はあきらめるタイプのケースなのだが、それにしてもリテールクーラーが耳障り。
よくよく見るとリテールクーラーケーブルが3pin。今回使用したマザーは4pinタイプでないとファンコントロールが効かないタイプらしく、設定を弄っても4000rpm以上の固定回転数を維持してしまうようだ。しかしロープロファイルのSARA3に収まるAM2用クーラーは他に持っていない。とりあえず抵抗入りケーブルを間に挟んでお茶を濁しておいた。
無事一通りのセットアップ完了。HDDが古いのでボトルネックになるが、正真正銘のデュアルコアなので、バックグラウンドでセキュリティソフトを動かしても余裕がある。780Gチップとの組み合わせでライトゲームやインターネットの動画サイトも快適だ。
そして抵抗をはさんで回転数を下げたリテールクーラーでも、十分冷却が間に合っている辺りさすが低TDPモデルといったところ。
実クロックが低いのもありベンチマークのスコアの伸びは、今時の廉価CPUにも劣ってしまうが…。
消費電力はシステム全体でアイドル時は58.9W、Prime95時で102Wといったところ。これまた5年以上前の電源を搭載しているだけに十分低い。
いつもの80PLUS ST電源「Antec EA-380」を使用してマザーボードにのみ給電する計測方法も行ってみよう。以前の計測に条件を近づけるべく、拡張カード無し、メモリは1GB*2に減少。
計測結果はPrime時が81.3W、アイドル時が42.6Wだ。
以前計測した消費電力で言えばPhenom II X3 700eが97W/53W、Cleron DualCore E3400が65W/34Wとなっているので両者の間に位置する値。それらと比べると当然性能も劣る訳だが、どちらも2010年頃のCPUなので3年以上の差があるのだから、このワットパフォーマンスは立派だろう。
極端な例だが2008年のIntel陣営デュアルコア PentiumD 830はVGA分を考慮しても194W/82Wという数値をたたき出している。
確かに今あえて使い出すCPUかと言われれば、答えに困る。しかしまだ「実用品」として働けるだけのポテンシャルは残っている。
何より5年前の時点で手ごろな価格・デュアルコア・抑え気味の発熱・消費電力の低さをバランスよく実現した隙の無いCPUだったのは間違いない。
恐らく知人用PCがノーメンテ&廉価電源・メモリの組み合わせで生き残っていたのも、この低負荷なCPUがあってこそだと思う。
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購入金額
0円
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購入日
2012年07月頃
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購入場所
リーダーさん
2012/07/26
下小川さん
2012/07/26