奥田氏の作品はいわゆる「文学」ではなく「娯楽」に近い小説なので、肩の力も適度に抜きながら読めました。
でも、それは実は奥田氏の罠に掛かっている訳です(笑)
伊良部シリーズでは患者とそれを治療(?)する医者そしてそれを俯瞰する読者という三者の立場で話が進みます。
最初、読者は伊良部の奇想天外な行動とお馬鹿な発言に、「変な奴だなぁ」「困った奴だ」と苦笑いします。
そして、次にその伊良部に翻弄される患者の苦悩する姿を見て「可愛そうに」「哀れだねぇ」と思います。
そして、最後にその患者がまさしく自分自身であるという事に気が付かされるのです。
いや、患者の極大した鏡である伊良部自身である事にも気がつかされて、そうして、「やられた」とつぶやく。
ここまで読めて、ようやく本書を半分くらい楽しめた事になります(笑)
残り半分は秘密です(^^;;
ざっと本の中身も紹介します
・イン・ザ・プール
表題作。正体不明の不安感を解決するために伊良部の元を訪れる和雄は、伊良部に「泳いでみたら」と言われ、その内、水泳依存症になってしまう。その水泳依存症を解消するために伊良部がとった手段は……。
・勃ちっ放し
気弱な哲也は三年前に別れた妻との情事の夢を見る。目が覚めると股間にいきり立った息子が居た。息子をなだめるために、哲也は伊良部の元を訪れる。
・コンパニオン
広美はコンパニオンの曲がり角である24歳。最近、誰かに常に監視されているようなそんな視線を感じる。友人は自意識過剰だと言うが、広美は認めない。不安が募り、ついに広美は伊良部の元をたずねる事に。ところが、相手はとんでもない精神科医だった。
・フレンズ
雄太は四六時中携帯メールを打たないと気がすまないどこにでもいる高校生。カラオケに行くのも好きだし、色んな仲間に囲まれていると安心する。その、仲間と自分を繋ぐ携帯メールが届かないと不安で仕方が無い。両親の進めに渋々従いながら、伊良部の元を訪れるが……
・いてもたっても
義雄はタバコの火が消えていないのではないかという強迫観念に常に襲われるようになった。自分が狂っている事に気づきながらなんとか出口を探しだしたい義雄は伊良部の元を尋ねる。すると、伊良部はとんでもない事を言ってしまい、義雄の苦悩はますます増えて……
あらすじ書くの難しいですね(笑)
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購入金額
500円
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購入日
2008年頃
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購入場所
どこかの本屋さん
bokeboke@さん
2008/05/09
先生を松尾スズキが怪演をみせます。
かなり患者をオモチャにして遊んでるっって感じで、そんで最後はスカッと気分良い結末♪
小気味良い映画だった記憶。
Arc Cosineさん
2008/05/09
コメントありがとうございます~。
松尾スズキなら、怪演を期待できますね~(^^)
伊良部のイメージとちょっと違うかもしれませんが、演技力でカバー。
スカッとする映画なのでしょうか。ちょっと興味が出ました。
映画見たかったなぁ。
TABUTABUさん
2012/07/24
私も大好きです。
Arc Cosineさん
2012/07/24
コメントありがとうございます。
面白いですよねっ!