先日KS-Remastaの新フラッグシップ候補となる3モデルのシェルリード線と、従来のフラッグシップモデルとの聴き比べを実施しました。
上記レビューの中でも触れていますが、これは5月30~31日に開催されたアナログオーディオフェア 2026に間に合わせるべく、OFC線材のモデルを優先してまとめたものでした。実際には同時にPC-Triple C線材の製品も聴いていたものの、相談の結果アナログオーディオフェアではPC-Triple C製品は取り上げない方向となりましたので、そちらは後回しにして今回掲載することとなりました。
そのようなわけで今回はPC-Triple C単線を採用する前世代のフラッグシップKS-Stage903EVO.II-VKと、新製品となる予定のKS-Stage923シリーズ3種類を聴き比べるという趣向です。送られてきたのは以下の3製品でした。
・KS-Stage923EVO.II-VK(現代高級ハンダを独自ブレンドしたEVO.IIハンダを採用)
・KS-Stage923SR.I-VK(現代ソリッドハンダ採用)
・KS-Stage923SR-NVK(ビンテージソリッドハンダ+天然松ヤニ採用)
つまりEVO.Iハンダを採用したKS-Stage923EVO.II-VKは従来品とワイヤー部の研磨方法のみが異なるもの、他2種はこれまでビンテージワイヤーとだけ組み合わせていたハンダを組み合わせた新展開となるものです。
従来モデルKS-Stage903EVO.II-VKについては、他の第2世代Stageシリーズの試聴の際に取り上げていますので、そちらをご覧いただければと思います。また、上記ハンダの違いなどの詳細は前回のレビューでご確認下さい。
私はこのシリーズについてOFC単線とPC-Triple C単線の双方を概ね聴いていますが、個人的にはOFC単線の方を高評価していて、同じ値段で入手できるのであれば自分ならOFC単線をほぼ間違いなく選ぶといえます。PC-Triple C単線は高域の質だけでいえばOFC単線を超えていると思いますが、どうしても音色の中にギラッとする派手さが載ってきて、そこに若干の不自然さを感じるためです。それでもOFC単線モデルと、より1つグレードが上がるPC-Triple C単線モデルとの選択であればグレードが上がるPC-Triple C単線を選ぶという程度の差でしかありませんが。
今回も組み合わせたカートリッジはaudio-technica AT-OC9ML/II、ヘッドシェルはAT-LH15/OCCとなります。
また、前回も記載した通りこの4製品を含めた送られてきた全製品は2日間で連続して一気に聴いています。試聴曲や取り付けてから試聴開始するまでの時間やウォームアップの時間も可能な限り同一条件にして聴いています。
PC-Triple Cの音色は色濃く出ている
前回に引き続き、全ての製品で課題曲として計5曲を聴きました。いつも通りMOTU HD192で録音しておき、後で聴き直せるようにしています。
課題曲は以下の5曲です。
・It's A Feeling / TOTO (「TOTO IV」収録)
・First Time / David Paich (「Forgotten Toys」収録)
・Fields Of Gold / Eva Cassidy (「The Best Of Eva Cassidy」収録)
・Shostakovich: 3 Duets for 2 Violins and Piano, Op. 97D: I. Prelude / David Garrett feat.Itzhak Perlman (「ICONIC」収録)
・Sing, Sing, Sing / 井筒香奈江 (Black & Clear EP SetよりBlack盤)
まずはこれらをKS-Stage903EVO.II-VKで聴き、その後新製品の試作3製品で聴きます。
まず「It's A Feeling / TOTO」から。先に聴いたKS-Stage901EVO.I-VKと比較すると、やはり高域方向が少し派手で、クラッシュの響きの中にギラつきが感じられます。オーディオ的にはレンジが広く高解像度ですが、この高域方向の固有の音色をどう感じるかです。ポータブルオーディオ中心の人であれば、これ位のアクセントは心地よく感じるのでしょうけど、アナログ中心の私にとってはちょっと耳に付く印象です。
そしてここから新世代のKS-Stage923EVO.II-VKへと替えると、KS-Stage901EVO.I-VK→KS-Stage921EVO.I-VKの時の変化とほぼ同じ傾向です。低域方向が質・量共に明確に向上していることが目立ちますし、ヴォーカルの定位もより鮮明です。ただ、線材自体のオーディオ性能が高いためか、KS-Stage923SR.I-VKにすると低域方向の頭打ち感がKS-Stage921SR.I-VKの時以上に強く感じられます。そしてKS-Stage923SR-NVKではやはりKS-Stage903EVO.II-VK比でやはり音量感が僅かに下がると同時に、全体的に筆圧の濃い音へと変わります。
ちなみに先日のアナログオーディオフェアでは、KS-Stage921EVO.I-VKとKS-Stage921SR-NVKの聴き比べでは、かなりの大差でKS-Stage921SR-NVKの方が高評価となりました。予想はしていましたが、音量感の違いやレンジの広さよりは筆圧の濃い、押出しの良い音が評価される傾向が顕著に表れた格好です。ただ、個人的には現代ワイヤーの最高峰モデルとなるのであれば純粋な性能の高さを評価したいと思っていて、その観点からやはりKS-Stage921EVO.I-VKやKS-Stage923EVO.II-VKの方を高く評価しています。
次いで「Fields Of Gold / Eva Cassidy」ですが、エヴァ・キャシディの声についてはいずれもOFC単線モデルよりやはり硬く細身です。ただその中でも空気感やギターの低い方の音はKS-Stage923EVO.II-VKがよく出ていて、KS-Stage923SR-NVKはヴォーカルがかなり自分に近づいてくる傾向です。KS-Stage923SR.I-VKの低域方向の頭打ち感はOFC単線モデル以上にはっきりと感じられます。
「Shostakovich: 3 Duets for 2 Violins and Piano, Op. 97D: I. Prelude / David Garrett feat.Itzhak Perlman」は3モデルとも主旋律を奏でるイツァーク・パールマンの方が、デイヴィッド・ギャレットよりも明確に存在感を持ちます。KS-Stage921SR-NVKではヴァイオリンの音色で優位に立ったビンテージハンダですが、KS-Stage923SR-NVKではどのみち音色が明るく渋みに欠けます。そしてKS-Stage923SR.I-VKはどちらもストラディヴァリウスを演奏しているはずなのに、まるでガルネリのように感じられる強めの音に感じられる辺りにちょっと行きすぎ感が出てしまいます。PC-Triple Cの音色というものがはっきり感じられてしまうのがこの曲でした。
そして「Sing, Sing, Sing / 井筒香奈江」はイントロのベースの時点でKS-Stage923EVO.II-VKのベースの深さが好印象です。ソリッドハンダのKS-Stage923SR-NVKとKS-Stage923SR.I-VKではベースの深い低音の本当に低い方が少し足りていない気がします。ヴォーカルはOFC単線モデルより子音が強めに響いていて、これを生々しさと取るか目立ちすぎると取るかはその人次第でしょう。
総じてOFC単線モデルよりは高域のアクセントが強く、これを気に入るかどうかがPC-Triple C単線モデルを評価できるか否かのポイントとなるでしょう。
恐らく日頃から高音質録音されたデジタルソースを中心に聴いている人であれば、このPC-Triple C単線のキャラクターを好意的に解釈することが出来るのではないかと思います。逆にアナログにどっぷり浸かっている人であればOFC単線モデルのバランスを高評価するはずです。
私個人としては、やはりOFC単線モデルを高評価しますが、その中でも現代ハンダのEVO.I・EVO.II採用モデルを評価するというのが一般的なアナログ愛好家との違いだと思います。私は音色としてはアナログが好みですが、オーディオ的性能はワイドレンジかつ高解像度が好みで、この辺りはどちらかというとデジタル的なのです。アナログ・デジタルの双方の長所を感じさせるのはやはり現代ハンダモデルと思います。
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購入金額
0円
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購入日
2026年05月28日
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購入場所
KS-Remasta









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