先日中古品でヘッドシェルを購入しました。これまでも数多く愛用してきたaudio-technica AT-LH15/OCCです。
ただ、購入価格は率直に言って新品を変わらない程度で、普通ならわざわざ中古で買うことはありません。それでも敢えて買った理由は商品写真にありました。
商品説明はあくまでAT-LH15/OCCだったのですが、どう見てもカートリッジが何か取り付けられています。針カバーを見る限りでは取り付けられているのはStylus 530という針先で、これが付いているカートリッジと言えばOrtofon 530ということになります。私自身、530の下位モデル520は遙か昔に新品で購入して持っています。当時のオルトフォンとしてはベーシックな製品群で、下位にはT4P形状でユニバーサル取り付けアダプタを同梱した300シリーズが存在していました。
530と520(というか500シリーズ全機種)はボディは完全に共通で、取り付けられている針先だけで製品が分かれます。日本では上から540/530/520という製品構成でしたが、デンマークのオルトフォン公式サイトで調べてみると更に下位に510という製品もあったようです。それぞれの針は以下の通りです。
・540:フリッツガイガー TypeII(カッターヘッド相似形)
・530:ファインライン(超楕円)
・520:無垢楕円
・510:接合楕円
ファインラインは楕円とラインコンタクトの中間のような存在で、今でもOrfotonの中堅モデルでは利用される形状です。
前述の通り私は既に同一ボディの520を所有していますので、針先が生きていれば520のグレードアップに使えますし、ボディだけが生きていたとしても後で540の交換針を購入すれば今となってはかなり安価に特殊針先のカートリッジを入手できるわけで、どのみち損は無いと考えて購入しました。
こちらが届いた「audio-technica AT-LH15/OCC」です。
当然裏面には商品写真の通りOrtofon 530の姿がありました。
やや情報量が薄いがバランスの良い音
取り敢えず、このOrtofon 530がこの状態で動くかどうか検証しておきましょう。
AT-LH15/OCCは標準添付のシェルリード線、AT6101も残されていましたので、そのまま音を出してみることにします。
ターンテーブルはいつも通りTechnics SL-1200Gですが、実はフォノイコライザーはPhasemation EA-200を入れ替えました。こちらについては後日改めて掲載しますので、暫くお待ちください。
外観上は針先も含めて問題は無さそうです。届いた時点では針先が真っ黒というほどに汚れていたのですが、audio-technica AT617aなどのスタイラスクリーナーを駆使して掃除したところ、写真の通り本来のダイヤモンドの色が出てきました。
「Chicago 18 / Chicago」(日本プレスの見本盤。非売品)を聴いているところです。
MMカートリッジの負荷容量が切り替えられるようになりましたので、100pfと300pf(カートリッジ指定は100~400pf)で聴いてみましたが、100pfだと旧世代のVMS30MKIIにも通じるような、中低域の厚みを感じる音になります。ただ少し音場の見通しが悪くレンジもやや狭めに感じられます。
これを300pfに切り替えると音場の見通しは一気に良くなり、爽やか系の傾向へと変化します。ただ低域方向の深みはあまり出ませんし、ちょっとあっさりしすぎているかなという感は正直ありました。
負荷容量はフォノイコライザー側で0に指定してもカートリッジからフォノイコライザーの間にある程度存在していますので、大雑把に言えば大体指定値+100pfが実際の値と言われています。つまり今回は200pfと400pfで聴いたわけで、いずれも公称値の範囲内ではありますが、出てくる音にはかなりの違いがありました。
さすがにファインライン形状の針先だけあり、内周部分のヴォーカルでもサ行の濁りなどは特に感じられませんし、当時ケチって520で妥協してしまったのをちょっと後悔する程度には違いがありました。
ただ、これを普段使っているMCカートリッジ(AT-OC9/IIIやAT-ART7等)に付け替えると、530とは明らかに格が違う音が出てくるのも事実で、この辺りはどうしても限界が見えてきてしまいます。
現在最上位540用の交換針Stylus 540IIは日本で3万円台半ば程度で販売されていますので、カッターヘッド相似形の針としては最も廉価な部類です。資金的な余裕が出来たら是非試してみたいところです。
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購入金額
6,050円
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購入日
2024年10月04日
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購入場所
ヤフオク
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