スウェーデン出身のギタリスト、ピーター・フリーステッドが憧れていたミュージシャン達と一緒に音楽を作ってみたいと思い立ち、伝手を辿って元シカゴ、サンズ・オブ・シャンプリンの主要メンバーであり、作曲によるグラミー賞受賞歴もあるビル・チャンプリンに連絡を入れ、自分の曲のアイディアを渡したことから始まったというプロジェクトが、CWF（Champlin Williams Friestedt）でした。一時期Williams Friestedtというユニットで活動したこともありましたが、Williamsことジョセフ・ウイリアムズはビル・チャンプリンの紹介で加わったそうです。

過去にフルアルバムは2作、EP盤やライブ盤などもリリースしている訳ですが、特に新生TOTOの中核メンバーでもあるジョセフ・ウイリアムズが参加できる時間は限られているため、不定期的な活動となっています。

前作「CWF 2」から約4年でリリースされた第3作目のフルアルバムが、この「CWF 3」となります。

リリースのペースは順調に見えるのですが、日本盤発売に際しビル・チャンプリンへのロングインタビューを敢行した金澤寿和の記述によると、実際の所は解散の危機を乗り越えてのリリースだったといいます。

いうまでも無くここ数年は世界的な新型コロナウイルスの流行があり、海外渡航などには大きな制限がかかっていました。「CWF」はピーター・フリーステッドが中心に動くユニットですが、彼はスウェーデン在住ですからアメリカで活動する残り2人と顔を合わせることすらなかなか出来なかったということで、ファイルでの音源やりとりのような手法を嫌うビル・チャンプリンはCWFで活動するモチベーションがかなり低下していたそうです。同じアメリカ国内にいるジョセフ・ウイリアムズもTOTO関連の活動で多忙を極めており、連絡しても捕まらないという日々が続いたことも響きました。

ビル・チャンプリンは気の合う仲間と顔をつきあわせて演奏したり曲を書いていれば自然に良い音楽が出来上がるという主義のミュージシャンですから、CWFへのモチベーションが保てなかったのもある意味当然でした。

それでもシカゴ時代のバンド仲間であるジェイソン・シェフなどとは頻繁に交流していて、ジョセフ・ウイリアムズが参加できない部分をジェイソンらのゲストで補うことで曲を作り、その出来に満足したピーター・フリーステッドもアルバム作りの準備を進め、さらに渡航制限の解除もあって3作目に取り組む事が出来たとのことです。多忙が続いたジョセフ・ウイリアムズは、結局曲作りに参加することは出来ず、ヴォーカルのみ何とか時間をやりくりして収録したそうです。

本作は日本先行発売ということで、実はスウェーデンのサイトでアナログ盤の購入予約はしているのですが、日本盤CDを先だって入手しましたので、今回はそちらを紹介しておきます。

本作はソニーミュージックから発売されていますが、その担当者が「アルバムが完成したら日本に呼ぶからライブを開催しよう」と、ビル・チャンプリンに誘いかけていたそうで、実際9月にCWFとしては今年唯一となる予定のライブツアーが日本で開催されます。私も一公演だけですがチケットは入手済みです。