レビューメディア「ジグソー」

少し古い音だが楽曲の質が高い

男性ソロシンガーソングライターとしては、世界的にもトップレベルに売れている歌手であるスティーボー・ワンダー。ほぼ盲目(全盲ではないそうです)ながら多くの楽器を操り、視覚的な歌詞を書くことで知られています。グラミー賞の最多受賞記録も持っていて、70歳を超えた今でも現役で活躍し続けている希有な存在といえるでしょう。

 

彼の代表曲といっても人によって思い浮かべる曲は全く異なるものとなるでしょうけど、日本において永遠の定番ともいえるほど馴染んだ曲といえば「Overjoyed」ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その「Overjoyed」の初出となったのが、今回取り上げる「In Square Circle」で、1985年に発表された彼の20枚目となるアルバムです。

 

実はこのアルバムは1985年に発売された直後に入手はしていました。ただ、その時に買ったのはミュージックテープ、即ちカセットテープでした。当時はまだレコードを使える環境を整備していなかった(プレイヤーはあったもののフォノイコライザーやアンプがありませんでした)上に、CDはまだまだ一部のマニアのものだった時期ですから、カセットを買うというのは自然だったのですが…。

 

その後レコードを使える環境を整備して、プリメインアンプもKENWOOD KA-990EXを入手(スピーカーは最初からあったSANSUI SP-50)し、プレイヤーもKENWOOD KP-9010(カートリッジはGLANZ G-40EXやaudio-technica AT-150Ea/G等)にグレードアップした後くらいのタイミングで、このレコードを買い直したと記憶しています。多分ごく普通に中古盤で3~400円程度だったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、当時の環境では「楽曲は良いけどとにかく音が安っぽいアルバムだな」という印象でした。それでたまに聴くけどそれ以上ではないという程度の扱いになっていました。

 

しかし最近になって改めて今の環境で聴き直してみると、音が安っぽいのは確かなものの、それ以上に作品としての出来の良さの方が感じられるようになったのです。そこで今回取り上げることにしました。

 

 

更新: 2024/07/12
総評

確かに音は古いが、楽曲の水準の高さが際立つ

私が所有しているのは、恐らく当時のビクター音楽産業から発売された初回盤だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

恐らくこれは初回盤の特徴だと思うのですが、ジャケットに写るスティービー・ワンダーの背後にある円形のオブジェの部分がエンボス加工されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内容物はLP1枚だけなのですが、ダブルジャケットとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当然ではありますが、重量盤などではない、ごく普通の国内プレスのLP盤です。

 

 

ここで収録内容を紹介しておきます。

 

 

01. Part-Time Lover
02. I Love You Too Much
03. Whereabouts
04. Stranger On The Shore Of Love
05. Never In Your Sun
06. Spiritual Walkers
07. Land Of La La
08. Go Home
09. Overjoyed
10. It's Wrong (Apartheid)

 

 

上で「Overjoyed」について書いていますが、実は本作の収録曲で当時最もヒットしたのは、1曲目の「Part-Time Lover」でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

確か本作が対象となったグラミー賞授賞式で披露したのもこの曲だったはずです。当時は簡略版ではあったものの、グラミー賞授賞式の模様が地上波のTVで放送されていたんですよね…。

 

それ以外にもシングルカットされた「Go Home」「Land Of La La」「Stranger On The Shore Of Love」や、シングル化されていないものの「Whereabouts」「It's Wrong (Apartheid)」などは人気の高い楽曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「It's Wrong」は副題に「Apartheid」(アパルトヘイト)とあるように、当時の南アフリカで行われていた人種差別を公然と批判するなど、社会問題にも向き合う姿勢を見せた充実した内容となっています。

 

1980年代半ばという時期は彼に限らず、多くのアーティストが後々まで残る名作を多く発表していました。

 

しかしその中にあっても「Overjoyed」という名曲、さらにはそれを含む本作は時代を超えて聴かれていくであろう本物なのだと思います。

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