先日日記にも記載しましたが、千葉市のPARCO千葉が、先月(2016年11月)末を以て閉店となりました。
一ヶ月以上前からそのための閉店セールが開催されていたのですが、催事場ではその期間中古レコード・中古オーディオ市が開催されていました。そこで特売品となっていたレコードの中に、ふと見つけたのがSimon&Garfunkelの名盤「Bridge Over Troubled Water」(邦題は「明日に架ける橋」)のLP盤でした。
実はこの作品のLP盤は何故か持っていなかったので、早速買おうと思って状態を確認していました。すると、どこかに違和感が…。
上部に「QUADRA PHONIC」の文字と、「SX68MARKII」(ノイマン社製カッティングマシンの型番)のロゴの下に「SQ」ロゴが。つまり、以前ChicagoのBlu-rayオーディオボックスを取り上げた際に触れた、4chレコードだったのです。
こちらのレビューでいただいたコメントに「通常の2ch環境では音が悪かった」というお話しはいただいておりましたが、コレクター的には面白いということで、結局そのまま購入してきました。
LP盤面のラベルも4ch盤専用のデザインとなっています。
ジャケット裏面はごく普通に見えますが、4chバージョンのミキシング等も、本作のエンジニアとプロデュース(S&G本人達との兼任)を担当したロイ・ハリーによるものであるとクレジットされています。
解散前の最後の到達点
本作の制作開始前後から、意見の対立が多くなったという2人ですが、それだけにお互いの主張を最大限に譲らず才能をぶつけ合った成果が、この作品の完成度となって表れているというべきなのかもしれません。
タイトル曲「Bridge Over Troubled Water」は、もはやこの曲を耳にしたことがない人も滅多にいないであろうと思われるほどの名曲ですし、先行シングルとなった「The Boxer」(邦題は単に「ボクサー」)もロック史に残る名曲です。タイトル曲はかつてNHK紅白歌合戦でも、Paul Simonのソロという形で披露されましたね。
また南米民謡をカバーした「El Cóndor Pasa」(邦題は「コンドルは飛んでいく」)は、この素晴らしい楽曲を世界中に広める結果となりました。その他収録曲もいわゆる捨て曲のようなものは無く、ロック調の「Baby Driver」や「Keep The Customer Satisfied」もあれば、メロディーラインの美しさが光る「Song For The Asking」「So Long, Frank Lloyd Wright」など、さほど知られていないと思われる楽曲の水準も素晴らしいものがあります。
とはいえ、本人達はこの作品だけが後々までずば抜けて高い評価を得ていることにあまり納得がいっていないようです。それまでの作品と何かが特別大きく変わった訳ではないという思いがあるようですが…。
もっとも、リスナー側としての意見を述べてしまうと、やはりタイトル曲の素晴らしさがこの作品全体のイメージを支配している部分が大きいのではないかと思うのです。この曲が先頭に入っているので、そのままアルバムを買ってしまったというリスナーも少なくはなかったでしょうから。
楽器のバランスや空間に不自然さが
ここからは作品そのものというよりは、今回入手したSQ盤についての話となります。
当然ながら私がSQ盤に対応した環境を持っている訳もなく、いつも通りKENWOOD KP-9010+audio-technica AT33Rという組み合わせで聴いています。
一応ですが、当時のCBS/ソニーは、SQ盤は通常のレコード再生環境でも全く問題なく再生出来ると明記しています。
しかし、実際に再生してみるとやはり随所に違和感が残ります。音場が突然ふわふわと揺れ動いてしまう部分もあれば、楽器のバランスが通常の2ch盤とは異なって聞こえたりする部分が多くあるのです。少なくとも「何等変わることなく」は言い過ぎではないかと思いますね。
もっとも、ヴォーカルやアコースティックギターの音色はさほど損なわれることなく、本来に近いイメージは保てているのではないかと感じられますし、普通に聴くことが出来るという水準は保っているのは確かです。
ジャケットの中に入っていた紙にはSQ方式の説明が詳細に書かれていました。この裏面はSQ盤のカタログとなっていて、当時はかなり本気でこれを普及させようとしていたことは伝わってきます。それでも、当時SQ盤と通常盤とが店頭に並んでいたら、やはり通常盤の方を買ってしまったとは思いますが。
なお、アイテム情報は通常の2ch盤の方にリンクされていますことを予めご了承下さい。
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購入金額
500円
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購入日
2016年11月10日
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購入場所
PARCO千葉
フェレンギさん
2016/12/04
一時日本盤はSQ盤しか売っていなかったんですよ。 ビクターのCD-4やマトリックス盤とかが競っていた時代でしたので仕方なかったのかもしれませんが、音質面では不利でしたね。
とはいえコレクターズ・アイテムとして十分価値があると思います。
jive9821さん
2016/12/04
SQ方式はそれだけ本気で普及させようとしていたんでしょうね。結果的には全方式が共倒れしてしまった訳ですが…。
折角の作品であるだけに、ごく普通に聴かせてくれるのが一番だったとは思いますが、これはこれで一つのコレクションとして持っておきたいと思います。
kensanさん
2016/12/07
jive9821さん
2016/12/07
私の場合は、世代的になかなかカラオケで出てくる曲ではないですね。洋楽だと辛うじて80年代というところでしょうか…。
私もこのLPを買うまでは、このアルバムはCDのみでしか持っていませんでした。何故か買う機会がありませんでした。全5枚のアルバムのうち、前半3枚+ライブ盤だけLPです。