ジェフ・ポーカロ亡き後実質的にTOTOのリーダーとして長らく活躍したギタリスト、スティーヴ・ルカサーのソロアルバムがリリースされました。前作はTOTOの盟友ジョセフ・ウイリアムスのソロアルバムと並行かつ共同作業で製作され、ほぼ同時に同じようなアートワークで発売されましたが、今回は単独でリリースされる形となります。
収録内容は以下の通りで、全曲本作のために書き下ろされた新曲です。
Side A
1. Far From Over
2. Not My Kind Of People
3. Someone
4. All Forevers Must End
Side B
1. When I See You Again
2. Take My Love
3. Burning Bridges
4. I'll Never Know
本作のタイトル「Bridges」について、スティーヴ自身は「自分のソロ活動とTOTOの橋渡し的な意味合いがある」といいます。というのも、今後TOTOがスタジオアルバムを製作することはないが、TOTO的なアプローチの作品はもう1枚作りたかったので、自分のソロ作にTOTOに関わった仲間達に参加して貰うことでそれを実現しようという意図があるのだそうです。参加ミュージシャンがそれを物語っているといえるでしょう。
自分自身の他には、TOTO名義のライブにおける相棒ジョセフ・ウイリアムスの他、TOTO結成メンバーであるデイヴィッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ死去後のTOTOを長年支えた名ドラマー、サイモン・フィリップス、アルバム「Falling in Between」前後に参加していたリー・スクラー、サイモン・フィリップス脱退後のツアー等を支え、エンジニアとしても貢献していたシャノン・フォレストといった、旧TOTOファミリーが多く参加しているのです。さらに、実の息子の4人兄弟で唯一ミュージシャンとなったトレヴァー・ルカサーも幅広く貢献しているそうです。
本作は国内仕様輸入盤のLPが用意されていましたので、それを購入しました。
最近のレコードとしてはプレスの質は良好でした。製造工程に起因すると思われるノイズも特にありません。
「TOTO XIV」のような、「Kingdom of Desire」のような…
本作からの楽曲はYouTubeの公式チャンネルで何らかの形で全曲公開されていますので、それを紹介しておきましょう。
オープニングの「Far From Over」を聴いた時点では、TOTOが急にヘビーなギターロックに舵を切って戸惑いを覚えた8作目「Kingdom of Desire」を思わせるサウンドと思いました。しかし3曲目「Someone」で、実質的最終作「TOTO XIV」にありそうなサウンドへと変わり、4曲目「All Forevers Must End」ではかつて「I'll Be Over You」などバラード、スローテンポで名曲を数多く生み出した名コンビ、ランディ・グッドラムとの良さを残した楽曲、さらに5曲目「When I See You Again」はいかにもジョセフ・ウイリアムス参加のTOTOという曲調と、「スティーヴ・ルカサーのテイストが強いTOTO」的な楽曲がズラリと並びます。
本作は「TOTOのスティーヴ・ルカサー」が聴きたいというリスナーには、ストライクゾーン真ん中という造りではないかと思います。プロデュースをジョセフ・ウイリアムスが担当していることもあり、かつてのTOTOらしいサウンドがきちんと保たれています。もっとも「TOTO XIV」の時に私が指摘した「凡作を演奏とアレンジで無理矢理引っ張り上げている」感は本作にもありますが、「All Forevers Must End」辺りは純粋に曲としても良い出来だと思いますし、「When I See You Again」などはTOTOのツアーで演奏されても違和感はない楽曲と思います。
「TOTOとしてのアルバムは今後製作されない」というのは他ならぬルーク自身の発言ですが、本当にそうであるとすれば本作が「TOTOロス」をほんの少しだけ埋めてくれる存在となりそうです。
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購入金額
4,510円
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購入日
2023年06月18日
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購入場所
ジョーシンWeb
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