先日開催された「2024 春のヘッドフォン祭」である意味最もインパクトが高かったのが、この一見ごく普通のイヤーピースでした。
RadiusのブースはNEKO TWSをメインで推していたのですが、脇に並んでいたのはイヤーピース各種でした。元々Radiusはイヤーピースの世界でもDEEP MOUNTシリーズで知られていましたが、そのシリーズに新製品が追加されたというのです。
今まで通常のDEEP MOUNTも現メインイヤフォンである64AUDIO U6tで試したわけではありませんでしたので、並んでいたものを一通り試してみることにしました。
従来のDEEP MOUNTも悪くは無いのですが、U6tにはその時点で装着していたAZLA SednaEarfit XELASTECの方が合っているかな、という程度の感触でした。
しかし、最後に新製品というZONEを装着して驚きました。明らかに装着感も音も従来のDEEP MOUNTとは一線を画しています。U6tとのマッチングも抜群で、XELASTECよりも明らかに満足度が高かったのです。
Radiusのブースでも「後でこれは買う」と言って出てきたほどのインパクトでしたので、宣言通り早速購入したわけです。
購入したのはSサイズ3ペアの箱です。各サイズ詰め合わせも用意されているのですが、事前に試していたのでSサイズで問題ないことは判っていたため、こちらを決め打ちで購入しています。
S/N感の良さと密度感の向上
一見すると形状的には何の変哲も無い、透明であることだけが特徴というイヤーピースです。
実はこのイヤーピースの肝は素材そのものなのです。最近ではAZLAを中心にメディカルグレードのシリコンを使っているイヤーピースは何種類か出ていますが、このZONEは日本の信越化学工業製のLSR(Liquid Silicone Rubber)つまり液状シリコンゴム素材を採用しています。これもメディカルグレードのシリコンゴムなのですが、従来のものと比べるとより耳に密着する性質があるようです。
形状的にはXELASTECと比べるとやや細身に見えます。その分より耳に深く入るのはDEEP MOUNTシリーズらしいところでしょう。
「ヘッドフォン祭」の試聴である程度結論は出ているのですが、改めて聴いてみましょう。DAPはCayin N6ii/R01、イヤフォンは64AUDIO U6t、ケーブルはWAGNUS. Petit NEUTRON Lily+Brise Audio STR7-CONVです。
イヤーピースの差が出やすいように、敢えてピアノの弾き語りである「And So It Goes / Billy Joel」(LP「Storm Front」収録)を聴いてみます。
実はXELASTECとの差は音を出す前からつきます。ZONEに替えると、U6tのapexモジュールによる外音の入り方に大きな差は無いのですが、明らかにS/N感が上がります。無音の時の静けさが明確に向上しているのです。
そして曲を聴き始めると、まずピアノの左手方向の厚みが増していることが明確に聴き取れます。またビリー・ジョエルのヴォーカルもややボリューム感が増し、肉声っぽさが向上します。
また音場の表現も広さに大きな差は付かないのですが、密度感がZONEの方が濃くなります。宣伝文句通り音楽に対する没入感が増すのです。
装着感についてもメディカルグレードであるだけに変な刺激などは無く安心して使えそうで、今までXELASTECやSednaEarfit Crystalを使っていたところを順次入れ替えていこうと思うほど気に入りました。Radiusというブランドがやや地味でアピールは弱いのですが、このイヤーピースについては是非多くの方に使っていただきたいと思える出来です。
-
購入金額
2,530円
-
購入日
2024年04月29日
-
購入場所
ヨドバシ.com
cybercatさん
05/01
新素材、とても良さそうなので今度使って見ますね。
jive9821さん
05/01
Radiusのイヤーピースは今まで全く使ったことが無いというわけでもなく、そこそこ好印象ではあったのですが、前メインの64AUDIO U4との相性があまり良くなく特に愛用したというほどではありませんでした。
しかし今回のZONEは使い始めで「あれ?何か違う」と思い、明確に無音時の騒音が耳に付かなくなっていることに気付きました。遮音性自体も向上しているのですが、特に耳に付く帯域の音を効率的に吸収しているという印象です。U6tには当分これで良いと思うほど気に入りました。