私はレコードで入手した音源をDAPやPCで再生するために、ハイレゾWAVファイルで取り込みをよく行います。
その際、オーディオからPC(厳密にはオーディオI/FのMOTU HD192)の間を、これまではTARA LABS製の映像(RGBコンポジット)ケーブル、PRISM 200vで接続していました。
これはオーディオ→PC間の距離の都合で、少なくとも4m以上のケーブルが必要となるため、過去に何本か5m程度のRCAケーブルを試したのですが、出てくる音が最も良かったのがPRISM 200vだったためです。一応試した中にはQED Performance Audioの5m版という、比較的まともなオーディオケーブルもあったのですが、比べてしまうと明確にPRISM 200vの方が良かったのです。少なくともこの音を聴いて映像ケーブルだと気付く人はいないだろうという程度には。
とはいえ、PRISM 200vはあくまで映像ケーブルです。長尺という条件は付くものの、これが最良の選択肢ということはあり得ないでしょう。私の懐具合ではそれほど高価なケーブルを買うことは出来ませんが、手頃な価格のものを見つけたらできる限りは試すようにしています。今回入手したAcoustic Harmony HQ30000もそのような流れで入手したものです。
実際のところ、私自身Acoustic Harmonyというブランドをそれほどよく知っているわけではありませんでしたが、カーオーディオの世界では結構知られていること、全体的にそこそこ高価な製品が多いことは知っていました。今回入手したHQ30000はかなり古い製品のようですが、カーオーディオの世界で定評があるブランドということで、耐久性もある程度は期待できそうということで購入しています。
当時の価格などの公式情報が残っておらず、グレード構成もよくわかっていないですが、HQ30000はAcoustic Harmonyとしては安価な製品ではあるものの、5.05mで80,000円(税別)であるらしいことは過去の広告画像から判明しています。1mで4万円弱クラスですから、最廉価モデルとはいえ結構高価ではあります。
基本性能の高さは感じられる
一応Internet Archive等を駆使して、何とか拾えたのが当時のAcoustic Harmony製ケーブルの仕様比較表です。
それによるとHQ30000は純銀線で、ETFE絶縁体を採用しているとのことです。ETFE絶縁体は一般的なPVCと比較して耐熱性、耐薬品性に優れ、比誘電率も低くオーディオケーブルに適した素材だそうです。
少なくとも15年ほど前のケーブルの筈ですが、外観は年期を感じさせません。
仕様表によるとプラグは黄銅製ロジウムコートのようです。メッキと比較してロジウム層が厚手になる筈ですが、音への影響はそれほど極端には感じられませんでした。接合部のハンダは銀入りのようです。
ケーブルに方向指示があるタイプです。この場合はオーディオを上流側、PC側を下流側と考えて接続することになります。
さて、TARA LABS PRISM 200vと差し替えてみましたが、銀導体でありながらPRISM 200vよりもやや硬めの音になります。この辺りはロジウムの特性なのかも知れませんが、ロジウムの弱点となる高域のギラつきがさほど感じられないのは好印象です。
音場はPRISM 200vの方が少し広いかも知れませんが、HQ30000の方が一音一音が鮮明に表現される傾向です。先日のJICO VN35MRBIIの音質チェックを行った際に、AT-OC9/IIIで取り込んでいた「Hero / Mariah Carey」で比較すると、バスドラムのアタックがより鋭いのがHQ30000で、ヴォーカルの実在感もPRISM 200vを上回っています。PRISM 200vは雰囲気はかなり良いのですが、やはり描写の緻密さなどは一歩劣っています。とはいえ、ふわりと拡がる音場と屈託の無い明るい音調はこのケーブルの大きな魅力であったことを再認識する結果ともなりました。
オーディオ的な正確さはHQ30000の方が上と思いますので、5年以上使ってきたPRISM 200vと差し替えて使うことにしました。元々5mもの長尺となると、一定クラス以上のインターコネクトケーブルでは特注仕様となるものが多く、金額もかなり高価なものとなってしまいます。
何とか許容できる範囲の金額としては、この音質で納得するべきなのでしょう。
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購入金額
8,800円
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購入日
2023年05月28日
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購入場所
HARD OFF
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