ここ最近、毎週末に秋葉原のオヤイデ電気直営店で、イヤフォン用ケーブルのワゴンセールが開催されています。
旧在庫や試作品、デッドストック等を集めて販売しているらしいのですが、ジャンク扱いである代わりにとにかく安いのが特徴です。
先日中野サンプラザで開催されたヘッドフォン祭miniに行く前に、秋葉原のいくつかの店(主にPCパーツ系)を覗いた後、オヤイデ電気の前を通りかかると、丁度このセール品が店頭に出てきていました。
SENNHEISER IE8/80系用やEtymotic Research ER-4系向けなどニッチな用途決め打ち品が多かったのですが、中にはごく普通のCIEM 2pin向けも混ざっていました。ただこれには型番などの表記がありません。つまりこれが試作品放出なのだろうということで、その中の一つを適当に選んで買ってみました。
普段あまりZEPHONE製のケーブルを見ていないので何とも言えないのですが、現在オヤイデ電気で取り扱っているZEPHONE製品を見たところ、皮膜の色はラインナップ中の「Red Condor」と「Blue Seagull」で使われている線材と同じなのではないかという気がします。もっとも左右で色が分かれていますので、全く関係ない何かなのかも知れませんが。
端子部の造りは1万円クラスのケーブルとして標準的なものではないかと思います。
この価格なら純粋に楽しめる
外観で判断する限り、それほどハイグレードの品にも見えませんでしたので、久しぶりに64AUDIO U2を引っ張り出してきて試聴してみることにしましょう。
U2にはLabkable製Silver Galaxy Mix+の3.5mm版が組み合わされていましたので、このケーブルと比較してみることにします。ちなみにSilver Galaxy Mix+はAZLA AZLA-01Rのセット品ですが、単品では2万円台で販売されていた製品です。DAPはAstell&Kern A&Futura SE100を使います。
楽曲は写真にある通り「Hey Nineteen / Steely Dan」(FLAC 96K)を聴きました。
まずSilver Galaxy Mix+との比較では、ZEPHONEケーブルはレンジ感がやや狭く、音場は水平方向はまずまずあるものの立体感に乏しくなります。このケーブルの美点は帯域内全体で押出しが良く、ちょっと派手目ではあるのですが、一音ごとの表現が明瞭で「ちょっと良い音」に聞こえやすいことです。
ドナルド・フェイゲンのヴォーカルはSilver Galaxy Mix+の方が太さが出ていて、ZEPHONEはちょっとハスキーに感じられます。
ドラムの音でいえば、スネアやキックが明瞭なのはZEPHONEですが、バスドラムの深さはSilver Galaxy Mix+の方が勝ります。ハイハットの金属感は意外とZEPHONEがよく出ているようです。
どうしても差が付くのは音場の密度感で、中低域の情報量に勝るSilver Galaxy Mix+と比べると、ZEPHONEは同じような広がりはあるものの、その広がった音場にちょっと隙間を感じます。
恐らく想定価格でも2倍以上の開きがあるだろうということを考えれば、ZEPHONEの方もかなり善戦しているのですが、やはりグレード差はそれなりに感じられました。もっとも、今回のZEPHONEは僅か1,100円で売られていたものであることを考えれば、コストパフォーマンスは極めて良好ですし、この価格でリケーブルならではの音の違いを楽しませてくれるのであればかなり面白い存在です。
週末のリケーブル放出セールはまだ続いているようですので、オヤイデ電気に行く機会があり、自分のイヤフォンに使えるケーブルが見つかるようであれば、くじ引き感覚で買ってみると面白いでしょう。
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購入金額
1,100円
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購入日
2023年02月11日
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購入場所
オヤイデ電気
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