昨年末に秋葉原で開催された「ポタフェス」で、主に中国製のポータブルオーディオ機器を取り扱う伊藤屋国際のブースで、旧製品の特価販売が行われていました。
中には10万円オーバーの機種を5千円で叩き売ったという例もあったらしいのですが、私は開場からそこそこ時間が経過してこのブースにたどり着いたため、そのような圧倒的なお買い得品には出会えませんでした。
ただ、3千円均一の箱を眺めていると、そこそこ実績のある中国ブランドのイヤフォンが結構入っていることに気付きます。中でも一度聴いてみたいと思っていたTFZの製品がいくつか入っていましたので、たまたま手に取った中で状態が良さそうだったTFZ KING PRO Greenを一つ買ってみることにしました。ここで品定めに時間を食って、当初顔を出す予定だったオーディオテクニカのブースをスルー(この日はポタフェスは1時間少々だけの滞在で、吉祥寺で開催されたレコード針の聴き比べイベントに移動する予定でした)してしまい、後日別の機会に顔を合わせたときに「ポタフェスでウチのブース、スルーしていったでしょ」と軽く責められたのはここだけの話です…。
それはさておき、伊藤屋国際の処分品は保証無しなので、会計が終わったら一度動作確認しておいて欲しいとのことでしたので、起動済みだったCayin N6ii/R01で音を出してみましたが、動作は正常でしたし、音も意外と悪くないということが判りました。年末で忙しかったので、きちんと試聴したのは年明けになってからですが…。
シェルはアルミとステンレスの複合構造で、仕上げも悪くありません。デザインは好みが分かれそうですが、品質感はなかなか良いと思います。ドライバーは12mmと結構大型の、グラフェン振動板DD1基のみ、ケーブルは銀コートOFCとOFCを4芯ずつ使った8芯で、CIEM 2pin形状ですので交換も容易です。
イヤーピースは半透明のシリコンが、形状違いで2種類3サイズ添付されています。なお、今回購入した個体はこれとは別に1ペア装着済みです。
3千円なら一切の不満なし。通常価格でも十分お買い得
今回はCayin N6ii/R01が充電中というタイミングだったため、Astell&Kern A&Futura SE100で試聴します。
まず第一印象としては「目立った弱点がない」というものでした。弱ドンシャリで聴きやすいバランスにまとめられていて、多くの人が好印象を持ちそうな音です。
細かくいえばより高価な製品と比較して高域の金属音の質感がもう一つ出ていないことや、低域もそこそこ量はあるものの深い沈み込みまでは出ないなど、色々と気付く点はあると思うのですが、普通に普段聴くような楽曲をこれで聴いていて、すぐに他のイヤフォン(64AUDIO U4やUnique Melody MAVERICKなど)に替えようという気分にはならないのですから、この製品のレベルがそれなりに高いことを示しています。
「Oh Lady Be Good / 小川理子」では、ややピアノにソリッド感を強く感じること、ハイハットの質がもう一歩という辺りは若干気になりますが、ジャズピアノ的な音であっても雰囲気はなかなかよく出ています。他の高価なイヤフォンでこれよりもこの類の音楽がキチンと鳴らないものもいくらでもありますからね。
「First Time / David Paich」では、リードヴォーカルがやや細身で、空間の密度がやや薄いものの、これもバランスとしてはまずまず良好です。女声コーラスの声はなかなか良いのではないでしょうか。
やや明るめでドライ傾向の音ではありますので、Astell&Kern A&Futura SE100よりは、恐らくCayin N6ii/R01の方が相性は良さそうな気がします。組み合わせるDAPが高価格帯の製品であった方が、恐らく密度感や落ち着きが出てより良好なバランスとなるのではないでしょうか。
今回は3千円で購入していますので、その価格として考えれば何一つ文句はありません。純粋に約2万円のイヤフォンとして評価しても、まずまずの高評価が与えられるだけの音は実現出来ています。逆に言えば、これで不満が残るようであれば恐らく5万円以下で納得出来るイヤフォンは無いのではという気がします。
-
購入金額
3,000円
-
購入日
2022年12月17日
-
購入場所
ポタフェス 伊藤屋国際ブース
harmankardonさん
2023/01/16
jive9821さん
2023/01/16
3万円前後クラスくらいまでで納得出来るのが、ある意味
一番幸せかも知れませんね。
この上を求めてしまうと、まさに底なし沼ですから…。