レビューメディア「ジグソー」

他者参加作品と違って、彼女のいろんな歌声を味わうことが出来る

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。最近すっかり音楽への出逢い方がネットの比重がほぼ100%となってきました。以前のように、まったく畑違いの未知の曲を街で聴いて、その曲を探し当てて購入する、という楽しみはなくなりましたが、オススメや関連動画、参加アーティストつながりで新しい曲に出逢うことも多くなりました。そんな出逢いをしたアーティストの作品をご紹介します。

 

最近、新しい音楽に注目するのが動画由来というのが増えてきている。以前はラジオでレコード/CDがかけられたりライヴ演奏されたりした楽曲や、足繁く通っていたレコード/CD店で流されていた曲を聴いて...というのが多かったが、ラジオはほとんどしゃべり中心のWebラジオ以外聴かなくなっているし、レコード/CD店は以前は通学・通勤ルートに存在したが、地方都市に転勤になったここ数年は車通勤で、店舗数も少ないことから、わざわざ大きく寄り道しないと寄れないのもあって実店舗に行く機会は激減した。

 

そこで最近はすっかり動画つながり。つべやニコ動、インスタなどで、音楽動画を見つけて、気に入れば入手する、というパターンが多い(識っているアーティストの作品を買うかどうか決めるのは、CDショップやダウンロードサイトの試聴曲を聴いたりするが)。

 

そんな出逢いで識ったのが、こぴ

 

つべの概要などからみると「歌手・俳優・YouTuber」ということだが、たぶんYouTuberがメイン(TikTokもあるので「動画配信/投稿者」かな)。YouTubeは「アーティストとしての発信」というよりは、結構旅動画や調理動画、家飲み動画やなんか食べてる動画w等が多くてゆる~い感じだが、歌もたまに投稿している。

 

ただcybecatが彼女を識ったのは、彼女がヴォーカリストとして参加した動画つながり。YOASOBIの「夜に駆ける」の弾いてみた動画を観ていた時に、コバソロというアーティストが曲自体をカバーしているのを識る。

 

そのカバーはギターのカッティングが気持ちよくて気に入ったのだが、そのときにゲストヴォーカリストとして呼ばれていたのが、「こぴ」だった。本家ikuraの上手さとはまた別だが、ラスサビに向けて感情を載せていく歌い方がイイナ、と思って関連動画に彼女の名があるのを見つけて観たのが、本作のリードチューンのライヴテイクだった。それが結構ファンキィで気に入って、入手することにしたのが、彼女の1stアルバム“あ”。

 

およそ半数の曲が彼女の手になるこのアルバム、「夜に駆ける」のカバーで見せた彼女よりもパワフルな彼女の声が楽しめる(ちなみに作詞は共作を含むと全て彼女が関わる)。

 

まず彼女の曲として最初に聴いた「嫌んなるな」。日向坂46や、ときのそら、A.B.C-Zにも曲を提供する原田雄一提供のハイスピード曲。スラップベースのフレーズが出てくるが、どうやら手弾きは原田のギターだけらしい。ギターの方がむしろ金属音が強くて合成っぽいんだけど。イントロとA~Bメロは結構ファンキィな造りだが、サビ前の♪なんなんだもう、嫌んなるな♪の1フレーズの「浮き方」が絶妙。この曲でのこぴの歌い方は結構ハードで蓮っ葉な感じ。

 

おい、」は、こぴ自身の作詞作曲。J-POPフォーク系バンド曲というか、40mPあたりのちょっと懐かしい感じのポカロ曲かといった風情。こぴも少し抜き気味に歌っているのがそれらしい?このアルバム唯一のバンド曲で、ところどころにセリフがあるのがおもしろい。

 

すしPこと5u5h1の曲「トローリング・ゲヱム」は、オルタナティヴでパンキッシュなテイストの曲で、深くモジユレーションかかったギターと張り合うように歌うこぴの声音のヴァリエーションがいい。基本若干吐き捨てるように歌っているのだが、若干演じ歌いのような部分もあって、複数の声音が聴けて「俳優」部分が出ているかも。

 

彼女のつべに上がっている動画は、カバーものが多いんだけれど、オリジナルも結構よい。「嫌んなるな」のライヴ音源で購入をしたが、アタリ、かな。曲も自分で作っているとは知らんかったし。

 

あとこういった動画から出てきた人って、モノしての作品を残してくれないことも多いんだけれど、本作は物理CD。なので、消えることもなく手元に残る。最近大手レンタルチェーンがCDの買取を終了したのもあり、「アイテム」として価値があるクラスのアーティストのもの以外、物理CDって廃れていきそうだけれど、配信サイトにのみ「元」があるというのは、いつサイトが閉じられてしまったり、サイト側/アーティスト側理由で公開が止められてしまうかわからんので、こういうマイナーな楽曲こそ「モノ」が重要。

 

そういう意味でも満足した作品でした。

結構こぴのいろんな声が楽しめる
こぴの歌い方がバラエティに富んでいて楽しめる

 

【収録曲】

1. 嫌んなるな
2. おい、
3. サステイン
4. 藍の記憶
5. トローリング・ゲヱム
6. セントエルモ
7. これで最後にしよう

 

「こぴ 1st mini album“あ”全曲トレーラー」

更新: 2023/01/10
必聴度

こぴのいろんな声が聴ける

「夜に駆ける」のようなカバー曲と違って、1曲の中でも声音の使い分けがあって楽しい

  • 購入金額

    2,045円

  • 購入日

    2022年10月19日

  • 購入場所

    Amazon

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