現時点までレビューは掲載していませんが、実は以前JH Audio製イヤフォン、Angieを中古で購入していました。
何故レビューを書いていなかったのかと言えば、勿論良い点はあるものの、現時点での印象のまま書くとかなり辛口にならざるを得ない音しか出てこなかったからです。
私がそこそこ以上の価格帯のイヤフォンとして初めて購入したのが、このAngieの下位に存在していたJH Audio Michelleであり、Michelleは現時点でもまだまだ高い満足度を保っています。
現状で比較する限りにおいてはMichelleの方が中域以外の質が明らかに高く、下位のMichelleの方が明確に良いと書くのはどうしても抵抗があったのです。とはいえ、Michelleもいくつかリケーブルを試してみて、何となく買ったWAGNUS. Chocolat Lilyと出会ったことで明らかに満足度が向上した訳で、Angieもケーブルの交換を試した上で結論を出したいと思い、今まで敢えてレビューを掲載していなかった訳です。
JH 4pinタイプのケーブルは決して選択肢がない訳ではないのですが、普段使っているCIEM 2pinタイプよりは明らかに少なく、しかも試聴出来る機会が滅多にありません。そこで先日中野サンプラザで開催された、ケーブルメーカーWAGNUS.の試聴イベント「WAGNUS. FEST 2022 【Vol. 6 : "Aqua Augment"】」に出向き、用意されていた2本、「aenigma Variations」と「Oceanic Moon」を聴いてみました。
この2本を比較すると、aenigma Variationsの方は濃厚系、Oceanic Moonはクリア系とはっきりと傾向が分かれたのですが、実際のところ個人的な好みはOceanic Moonの方だったように思います。aenigma Variationsは濃厚系の音であるため、同じく濃厚系のCayin N6ii/R01との組み合わせではちょっと濃すぎる感もあったためです。しかし、もう1台持参していたAstell&Kern A&Futura SE100との組み合わせではaenigma Variationsも好バランスであり、どちらを買っても標準ケーブルよりは間違いなく満足度は高そうでした。
結果的にaenigma Variationsを買ったのは、単にWAGNUS.の担当者の方から「aenigma Variationsは在庫があるのでウインターセールで値下げされていてかなりお買い得、Oceanic Moonは在庫が無いのでセール対象外」と教えられたためでした。
試聴会から戻った後も各店の中古など色々調べてみたのですが、aenigma Variations以上のお買い得品は無さそうでしたので、結局数日後にWAGNUS.直販で注文しました。
このケーブルと組み合わせれば、上位モデルらしい貫禄が感じられる
今回は在庫品セールということで、プラグのカスタマイズ等は出来ませんでしたので、形状として2.5mm4極バランス端子だけを指定して注文したところ、翌営業日に出荷、その翌日には手元に到着しました。
今回aenigma Variationsは標準価格の40,000円から30%OFFとなっていたのですが、実は元々この製品は50,000円が標準価格でした。そう考えると28,000円は随分敷居が下がった価格ですし、実際に中古で出ていたものと大差ない価格だった訳です。とはいえ、私の懐具合ではかなり思い切る必要のある金額であったことに変わりはありませんが。
JH 4pin対応ケーブルの特徴である低域バリアブルコントローラがクリアパーツになっていますが、これはWAGNUS.公式サイト上の製品詳細を見ると旧仕様の部品であり、現在は黒いパーツになっているとのことです。
試聴はイヤフォンとの相性を重視してAstell&Kern A&Futura SE100を中心に使っています。
純正ケーブルで使っていたときのAngieは、低域の解像度も高域の質感も、率直に言えばMichelleを下回ってしまっていました。中域、特にクラシック系の弦楽器の美しさなどはさすがに上位モデルらしいものでしたが、特に高域方向の質の悪さが気になりあまり使う気になりませんでした。
しかし、aenigma Variationsと組み合わせた後のAngieは、装着感の悪さを我慢してでも使いたくなる程度の魅力は出てきたと思います。写真にある「怪物 from CrosSing / 鬼頭明里」辺りはやはりちょっと濃すぎるかなという部分はあるのですが、可聴帯域の両端の解像度や質感が別物のように向上した結果、当初あった不快感のようなものは消え去っています。
「ICONIC / David Garrett」はヴァイオリンの質感が絶品で、このような作品を聴くためであれば敢えてこのイヤフォンを選ぶ意味を感じられます。「アトムの子 / 山下達郎」も、あの圧倒的な低域方向のエネルギー感とヴォーカルの質が両立していて、安いイヤフォンではなかなか表現出来ない領域まで来たのでは無いかと感じられます。
強いて言えば空間の見通しの良さは、試聴イベントで感じられた通りOceanic Moonの方に分があると思いますし、高域方向の質や緻密さはMichelle+Chocolat Lilyの方がまだ勝っていると思います(というより、この部分において高域にBAドライバーを複数並べているイヤフォンでMichelleを明確に上回るものはあまり多くありません)が、現状のAngieは私にとってのメイン級である64AUDIO U4やUnique Melody MAVERICKに次ぐ稼働率となっているわけですから、aenigma Variationsが果たしている役割の大きさは十分に伝わるでしょう。
イヤフォンケーブルに3万円は重い出費ではありますが、決してさほど安いわけでは無いAngieを活用するためには必要な投資だったと割り切ることにします。
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購入金額
30,800円
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購入日
2022年12月14日
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購入場所
WAGNUS.直販
harmankardonさん
2022/12/30
Angieは元気な末っ子というイメージです.
jive9821さん
2022/12/30
私は逆にAngieIIの方がダメで、Angieはイヤーピースの組み合わせで
何とか使えるのです。
JHらしい音という意味ではRoxanneなのでしょうけど、個人的には
Angieの方がしっくりとくるようです。