レビューメディア「ジグソー」

香川照之のスキャンダルが無ければ

見覚えのある太秦映画村のセット

 

 

 

舞台がが京都ということもありまして、とあるところからムビチケをちょうだいしました。

 

香川照之さん主演

 

脇を支える 津田寛治さん 尾美としのりさん 中越典子さん

 

監督集団「5月」による初の長編映画

 

期待しつつ 初めてのシアターを目指します。

 

 

更新: 2022/12/26
総評

香川照之さんのスキャンダルが響いたかも

烏丸御池にある商業ビル 新風館  

 

新装なってから かなりが経過しておりますが、私は初めて。

 

地下にあるアップリンク京都を目指します。

 

 

午後6時40分から 終映午後8時40分なら ワールドカップ対ドイツ戦にも間に合うしね。

 

100席ほどの部屋に 観客は私を入れてわずかに3人だけ。

 

あとのお二人は女性でした。

 

 

チケットを戴いた今日の今日まで、この映画の存在を知りませんでした。

 

内容を振り返ると、少なくとも京都市近郊なら もう少し前宣があっても良かったのにな。

 

思えば主演の香川照之さんのスキャンダルが響いているんだろな。

 

制作に関わった方々のお気持ちを思うと 残念でなりません。

 

 

フライヤーに映る香川さんの髪型は侍のそれ。 

 

でも背景に映るのはマイクロバスのマド越しの風景。

 

時代劇ではありません。

 

太秦で働いている宮松というエキストラを演じておられます。

 

そして宮松は記憶喪失。

 

意欲的でデザインされた構図と光 編集の妙

 

どこまでがお芝居なのか どこからどこまでが現実なのか 

 

物語はどんどん観客の心に入ってきます。 

 

それぞれの観客の「ひょっとしたら思い出したくない」ところに分け入ってきます。

 

コロナ禍とはいえ、館内の空調音が気になります。

 

無音部 それが大事な演出だと思うのですが、その時、空調の音が、、残念でした。

 

 

日本人は表情が乏しいよ、と宣う外国人には難解かもしれません。

 

半沢直樹で見る香川さんの顔芸とは一線を画します。

 

ドライブ・マイ・カー に通じる  観客に寄り添う映画だと思いました。

更新: 2022/11/24
追記

少し冷たい鉛

映画を観たあと ワールドカップカタール大会対ドイツ戦の勝利を味わった。

 

とても興奮したので、よく眠れないかもしれないと思いつつベッドに入った。

 

 

ドイツ戦勝利の興奮より
 
映画・宮松と山下の脳内再生が続いた夜だった。
 
整然と並ぶ瓦 
 
廻り続けるケーブルカー終点駅のギア 整然と並ぶ筆記具 
 
切られ役に充てがわれる配役 
 
内外野用のグラブとファーストミットとキャッチャーミット
 
几帳面な洗濯物の畳み方 と 餃子の皮をつまむ様子
 
いくつかの短い台詞の積み重ねが
 
ある日の灰皿に帰結
 
立川志の輔さんなら
 
きっと上手に落語に仕上げるだろう。
 
 
お腹の中に、体温より1度低い鉛を入れられた様な
 
そんな映画だった。
更新: 2022/12/26
迷品

ほんとは銘品という意味ですけど

現在、レビューの視点に「珍品」「逸品」「迷品」が使われたレビューを募集されております。

 

 

“銘品”だと思って買ったけど“迷品”だった

 

“逸品”モノは本当に絶品だった

 

ネットでなんとなく購入したモノだけど使ってみたら好奇心を掻き立てる“珍品”だった

 

もうすぐ締切なのに 迷品 はまだ登録されていない。

 

それも寂しい話だと感じましたので 迷品 というコトバの中にある「迷」を

 

この映画の有り様にこじつけたお話を少しだけ書き留めます。

 

 

 

ムビチケの柄は屋根瓦

 

映画の冒頭にも 苔のない 欠けのない ズレのない 非常にきれいな瓦屋根が映し出されます。

 

物語の中に

 

掃除の行き届いた機械室で 整然と一定のリズムで周り続けるギアが映ります。

 

昭和の薫りを残す古い一戸建ても まるで禅寺のように掃除が行き届いております。

 

机の引き出しの中の様子は、無印良品の宣伝のようにペンが綺麗に並んでおりました。

 

 

そんな部屋の住人が喫煙者なら、きっと灰皿の中は こんな風なんじゃないでしょうか?

 

 

時代劇のエキストラとして1日のロケの間、別人に変しつつ2度3度と死ぬ宮松、

 

仕事終わりに立ち寄った居酒屋で、暴力団の抗争に巻き込まれて撃たれる宮松

 

! と思うまもなく、再び別人に変して また死ぬ宮松、

 

帰宅すると帰りを待つ女が居る宮松

 

草鞋履きのまま小川で死ぬ宮松 

 

帰宅後 その足を炊事場で洗わざるを得ない宮松

 

観客は、どれが本物の宮松なのか 

 

映像の迷路に引き込まれる中

 

彼が記憶喪失で、本当は山下という人物であると告げられるシーンを見て

 

それが本当なのか、それとも 映画の1シーンなのか と、またも迷わずにおられません。

 

やがて訪れる静かなクライマックス

 

 

縁側でタバコを吸い続ける山下 

 

自分が山下のままだったとしても、宮松と気づいた後だったとしても、

 

吸い殻を乱雑に積み重ねた彼は どんな気持ちだったのでしょう?

 

 

演出家の依頼を受けない限り、感情を表に出さない彼は コトバも少ないです。

 

私達観客は、映画が提示する「画面」から それを探る必要があります。

 

自分が見つけた疑問の解を見つける必要があります。

 

自分自身の人生に落とし込む作業は 時に辛いものかもしれません。

 

しかし、記憶喪失という 私達の想像の外にある人の人生の一部を覗き込むことで

 

改めて過去と今と未来を考える切っ掛けになることは確かだと思います。

 

 

追伸

 

映画から帰宅後、すぐにサッカーワールドカップドイツ戦をテレビ鑑賞しました。

 

興奮して眠れないよ と思ったのですが

 

予想に反して、ベッドの中の私の脳内を支配していたのは

 

映画の方でした。

 

観客を迷路に誘い込む映画が、多くの観客を出口に導いてくれると良いと思います。

 

映像の映画でしたが 

 

立川志の輔師匠に 落語に仕立てて欲しい 

 

少ない登場人物の静かな台詞で作られた映画ですから 

 

落語との親和性が高いかも と思っております。

 

 

 

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2022年11月23日

  • 購入場所

    アップリンク京都

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